「今のところはいいことばっかり」巨人・中川皓太の激変 防御率は昨季8・76から1・89へ 復活を支える新境地
2025年5月30日(金)5時30分 スポーツ報知
新球のフォークを駆使して好投を続ける中川
巨人の中川皓太投手(31)が鮮やかな復活を遂げた。昨季は苦しいシーズンを過ごしたが、今季はここまで21登板で防御率1・89の成績を残して、勝ちパターンの一角を担っている。新たな武器としてフォークを携え、奪三振は投球回(19)大きく上回る27。左腕の変化に「Gを読む」で迫る。(取材・構成=宮内 孝太、臼井 恭香)
中川が新境地を開拓して頼もしい姿で帰ってきた。開幕2軍スタートながら4月6日に1軍昇格すると、ここまで21試合に登板して1勝0敗13ホールド、防御率1・89。現在は勝ちパターンの一角を任されている背番号41の表情に充実感がにじむ。
「やりがいはある。一試合一試合という気持ちでやりながら、内容が良くない時もあるけど3人で終わることを目指して投げている」
鮮やかな復活劇を新球種が支える。昨季は15登板で防御率8・76と苦悩。もがく中で、試行錯誤を重ねて今季から本格導入したのがフォークだ。19イニングを投げて27奪三振と、高い奪三振率を誇るが、その半数近い13個を同球種で仕留めた。130キロ台中盤の鋭く落ちる新たな武器が絶大な威力を発揮している。
「フォークは最初なのでバッターもどういう球か分かっていないというアドバンテージもあると思うけど、フォークを投げることによる効果が出ている」
これまでは主に直球、スライダー、シュートの3球種による横の揺さぶりでの勝負だったが、全く異なる縦の変化があることで、相手打者は対応に苦慮。新たな手札が加わり、投球の幅が格段に広がった。
「そんなにフォークに期待はしてなくて、僕のイメージはスライダーが多いのでちょっとでも変化させられたら、という思いだった。似た球種だったら嫌がらないけど、全然違う球なので多少なりとも意識させられてる」
相乗効果を直球でも実感している。昨季の直球の被打率は3割2分1厘。今季は平均球速がほぼ同じながら1割6分7厘と大幅に低下。真っすぐがより生きるようになっている。
「直球のスピードは満足いくものではないけど、フォークがあることで差せたり、効いている部分もある。今のところはフォークが投げられるようになっていいことばっかりかな」
チーム2位タイの21登板とフル回転する日々で、交代浴を取り入れるなど体に気を配って戦っている。同じ左腕のバルドナードや高梨が2軍調整する状況で、中川は今後も期待に応え続ける覚悟だ。
◆G中川の経過
▽22年 前年21年は58登板も、腰痛でシーズン実戦登板なしに終わりオフに自由契約。背番号「041」の育成選手で再契約。
▽23年 5月に支配下登録に復帰。背番号「41」に戻り、44登板で14セーブと復活。
▽24年 「8回の男」で開幕も、左膝痛で離脱もあり15登板で防御率8・76。
▽25年 2月のキャンプは2軍スタートも4月6日に今季初の1軍昇格。同19日のヤクルト戦(神宮)で681日ぶり白星を挙げる。