U-21日本代表に見える“仲間意識”と“競争意識” 勝利のために一丸で第3戦へ

2022年6月9日(木)13時21分 サッカーキング

笑顔と激しさを見せつつ、第3戦へ調整するU-21日本代表 [写真]=川端暁彦

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 初めてU−21日本代表の練習を取材に来た人が決まって漏らす言葉がある。「明るいチームですね」とか「にぎやかだね」といったことだ。主将のMF藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)にその点を問うと「馬鹿が多いんで、うるさいんですよ」と笑う。その上で、こうも語った。

「モチベーションの高い選手がすごく多いですし、いつでも誰が出ても質の高いチームだと思うし、誰もが準備をできている」

 2年後のパリ五輪を目指し、日本はAFC U23アジアカップ ウズベキスタンに挑んでいる。相手より2歳年少のチームで挑みつつ、2試合を戦って1勝1分。9日のタジキスタン戦で負けなければ突破が決まる状況となった。酷暑の連戦という点を踏まえると、自ずとここまで出番のなかった選手たちを使っていきたいタイミングだろう。つまり、「ウズウズしている」と率直に語るMF松木玖生(FC東京)のような選手たちだ。

 大岩剛監督は大会前から「出番のないときに何をしていたかが、結局は自分に跳ね返ってくる」という話を繰り返し選手たちに聞かせてきた。「若い選手なので感情のコントロールが難しい部分は絶対にある」としつつ、だからこそ代表選手としてのあるべき姿を説き、また求めてもきた。その成果が問われる機会にもなるだろう。

 もっとも、冒頭で語ったように、控えに回った選手たちの気持ちが落ちているというムードもなく、戦う準備が整わないということもなさそうだ。今大会、鈴木彩艶(浦和レッズ)に出番を譲る形となっているGK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)は「当然悔しい気持ちはある」としつつ、こうも語る。

「自分が最年長ですけど、みんな上下関係なく、(年少組の松木)玖生や(チェイス)アンリまで本当に仲がいい。(中島)大嘉とも初めてやりますけど、初招集の選手も打ち解けられている。自分は誰かが一人でいるというのはあんまり好きじゃないので、そういう選手がいたら駆け寄っていくし、全員にそういう共通認識があるようなチームですね」

 唯一の大学生として参加しているMF佐藤恵允(明治大)は「サブだからどうこうじゃなくて、サブだからこそできることもあるし、違う形で試合に出ていない側からチームを勝たせることもできると思っている」と語った上で、トレーニングでは「意識して雰囲気を良くしようと思っています」と意欲的にプレー。その上で「代表に来るたびに勉強になることがあるし、いつ出てもいいように、最大限の準備をし続けている」と前向きに過ごしている。

 また、第1戦でベンチに回ったDF半田陸(モンテディオ山形)が「内野(貴史)選手のプレーから刺激を受けた」と第2戦で先発するにあたって、より攻撃的なプレーを心がけたと言うように、悔しさを成長へのエネルギーに置換していく意識もある。

 このあたりは「チームとして明るい、プラス、全員に目標があるチーム」と小久保が評価するとおりで、継続して持ってもらいたい姿勢だろう。単なる仲良し集団というわけではなく、自分自身を高め、チームで勝つという意思を持った上での仲間意識こそ、代表選手に求められるものだ。

 第3戦の相手となるタジキスタンはここまで2連敗ですでに敗退しているチーム。勝ち切るのは当然のことながら、先も見据えた試合にしておきたいところだろう。

 日本は1位抜けすれば準々決勝の相手がベトナム、2位抜けならば韓国となるシチュエーション。韓国戦を回避するために1位抜けしたいという考え方もあり、そのためには大量点も望まれる。「まだ得点王を狙っているんで」と鼻息が荒い中島、「常にゴールは意識している」と言う松木といった、飢えている選手たちの爆発にも期待しておきたい。

取材・文=川端暁彦

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