2周遅れからクラス優勝のコルベット、新SC規則の運用ミスに憤慨「レースコントロールのせいで台無し」/ル・マン24時間
2023年6月12日(月)19時25分 AUTOSPORT web
2023年ル・マン24時間レースで、一時2周のビハインドを負いながらもLMGTEアマクラスの優勝を手にしたコルベット・レーシングの33号車シボレー・コルベットC8.R。ニッキー・キャツバーグ、ニコ・バローネとともにウイナーとなったブロンズドライバーのベン・キーティングは、「感情のジェットコースターだった」と波乱のレースを振り返った。
レース序盤にダンパーの不具合に見舞われた33号車だったが、その後挽回し、最終的にはORTバイ・TFの25号車アストンマーティン・バンテージAMRを下して勝利した。これにより、コルベット・レーシングはル・マンにおける9勝目を手にしている。
■開始早々のダンパー交換
「これはル・マンでのGTE最後のレースだ」とキーティング。
「100周年記念レース、コルベットの25周年記念レース、それらすべてが本当に特別なものだ」
「ル・マンでアメリカ国旗を掲げ、アメリカ国歌を聴くことは、本当に感動的だ。星条旗の下でシャンパンファイトをするのは、とても印象的なことだよ」
「感情的なものだった。レース開始から1時間以内にダンパーを交換しなければならず、もうダメだと思ったからね」
「予選でポールポジションを獲得し、決勝では2周遅れになったんだから、感情のジェットコースターだったよ。夜中に妻に『7位を狙えるかもしれない』と言ったんだ」
「そして朝起きて、『レースを見直さないと。どうやってここまで順位を回復できたのか分からない』となったんだ」
彼らはレース中に失った2周を取り戻した。そのうちの1周は3回目のセーフティカー(SC)ピリオドの際のパス・アラウンド(今年の新SCルール。SCと各クラストップとの間にいる車両が1ラップを取り戻すことができる)によって取り戻したが、それ以前の段階で、同一ラップを取り戻すチャンスを逃してしまっていた。
それは、3時間目に突然降り出した雨による2回目のSCで、LMGTEアマのトップ車両がピット出口から早すぎるリリースをされてしまったことにあった。このためコルベットはパス・アラウンドを受けることができず、キーティングは憤慨した。
「2回目のSCでは、完全にやられたよ。僕らはパス・アラウンドを受けられるはずだったのに、それができなかったんだ」
「僕らはそれを受けられるはずだったのに、そうはならなかったので僕はめちゃくちゃ怒ったね。ピット出口のオフィシャルがミスを犯したのに、レースコントロールはそれを修正しなかったんだ」
「僕はこう思った。『もう終わった、僕らのレースはレースコントロールによって台無しになった』と。そのすべてに、とても腹が立ったんだ」
夜を通じたリカバリードライブにより、日曜日の朝には、コルベットは優勝候補の一角へと浮上した。
バローネの力強いスティントにより、チームは21時間目にはレースをリードし、最終的にはキャツバーグが1位でフィニッシュを果たした。
「感情のジェットコースターだよ」とキーティング。
「レースが残り3時間くらいになったとき、僕らはその計算を始めたんだけど、他のクルマとピット戦略がずれていたことを考えると、本当にクレージーだったと思う」
「そして3〜4番手付近、さらに先頭へと近づいていったんだ」
「そのとき、彼ら(ライバル)のブロンズとシルバーのドライバーは、まだ最低乗車時間を消化しなくてはいけないことに気づいた。僕はそれを消化していたし、これですべてが揃ったんだ。本当に特別な勝利だったね」