インディカー第9戦ロード・アメリカ:パロウが残り2周の逆転劇で今季2勝目。ペンスキーは再びトラブルに泣く

2021年6月21日(月)12時30分 AUTOSPORT web

 ロード・アメリカで開催されたNTTインディカー・シリーズ第9戦。20日に行われた決勝レースは、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が残り2周のリスタートでトップに立ち、今シーズン2勝目を挙げた。


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、接触で後退するも最後はオーバーテイクを見せ8位フィニッシュとなった。


 レースを支配していたのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。シーズン9戦目にして、ようやくチーム・ペンスキーが勝つ時が来たと思われた。


 しかし、彼らはまたしても勝利を逃した。ギヤボックスにトラブルを出し、残り2周でスローダウンしたのだ。先週のデトロイト・レース2でも目前で勝利を逃したニューガーデンは、2戦連続の悪夢に言葉を失った。

ポールポジションからリードを広げるジョセフ・ニューガーデン


 ゴール後しばらくしてからニューガーデンは語った。


「リスタートで6速ギヤにシフトアップできなかった。ターン1で走らざるを得ず、みんなにラインを譲った。自分は何が起こったのか、まだわかっていない」


 全長4.014マイルの高速コースを55周して争われたレースは、ポールポジションからスタートしたニューガーデンがリードを続けた。彼に勝負を挑める唯一のドライバーとなったのは、予選5番手だったアレックス・パロウだった。


 12周目までにウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、ジャック・ハーベイ(メイヤー・シャンク・レーシング)、コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポー)をパスした彼は、ニューガーデンにアタックするところまでは行かないものの、離されることなくチャンスを待ち続けていた。


 52周目、エド・ジョーンズ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)のマシンの左リヤサスペンションが壊れてコースオフし、ストップ。フルコースコーションが出された。


 ペースカーの背後を走るニューガーデンのマシンには、トラブルの兆候は一切出ていなかった。それが、残り2周でグリーンフラッグが振られ、背後につけるパロウを突き放したかに見えた直後、ストレートエンドで加速が鈍り、トップの座を奪われた。


 その後の彼はスピードを失い、リードラップの最後尾、21位にまで順位を落としてゴールした。パロウは悠々とチェッカーフラッグまで走り切った。


 プッシュ・トゥ・パスもニューガーデンはパロウより多く残しており、順位が入れ替わる可能性は低いと見えていた。


 パロウは「自分たちはリスタートが速かった」とレース後に話していたが、今回のレース中、彼がニューガーデンとの一対一の勝負で前に出たことはなかった。

ジョセフ・ニューガーデンを追いかけるアレックス・パロウ


「ターン1で何度かチャレンジしたけれど、成功させることができなかった。最後のリスタートでもそれを狙って、もしダメだったらターン11が勝負所になると考えていた。あのコーナーへのアプローチはストレートに近く、ドラフティングも使えるからね」とパロウは言った。その勝負が見たかったところだ。


「嬉しい。2勝目を挙げることができた。何を言えばいいのか……」とパロウはニューガーデンとは違い、喜びで言葉を失った。


「最後のリスタートはもちろん狙っていてプッシュ・トゥ・パスを使った。でも、近づき切れなくてボタンから指を離した。その後さらにストレートを進むと一気に彼に近づき、パスできた」


「相手がトラブルに見舞われているとは、その時すぐには思わなかった。“ホンダ・エンジンが凄くパワフルだな”と感じていた」とパロウは振り返った。


 開幕戦ウイナーの彼はこれでキャリア2勝目となるシーズン2勝目。シーズン2勝はパト・オーワードと並んでシリーズトップだ。表彰台は9戦で4回目。安定感も備えているパロウはポイントリーダーの座に返り咲き、ランキング2位に下がったオーワードには28ポイント、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)には53ポイントの差をつけている。

パロウの活躍にご満悦なオーナーのチップ・ガナッシ


 2位はハータで、3位はパワー。そして、ディクソンが予選13番手から4位まで順位を上げてのフィニッシュを達成した。5位は予選7番手だったロマン・グロージャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)のものとなった。


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は20番手スタートから8位でゴールした。1周目の接触、ピットタイミングをずらす作戦などから、順位のアップダウンが非常に激しくなった戦いで、最後にレッドタイヤを選んだ作戦もヒット。ゴール前の2周で4人をパスしての8位フィニッシュ達成となった。


「ロード・アメリカでの自分たちはスピードが不足していたけれど、ロードコース用セッティングを良くするヒントを見つけることができたと思います。高速コーナーと低速コーナーのハンドリングの違いを、今日トライしたセッティングでは小さくするおとができていましたから」と琢磨は手応えを掴んだことを語った。


「今日はチームの作戦がとても良く、大きく順位を上げることができました。8位フィニッシュは、スタート位置を考えればとても良い結果。シーズン後半戦もプッシュし続けます。次のミド・オハイオはレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングにとっては地元で、とても重要なレースです」と琢磨は語った。

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