IMSA新規則“LMDh”導入の1年先送り案をプライベーターたちが支持

2020年6月24日(水)18時2分 AUTOSPORT web

 IMSAウェザーテックスポーツカー選手権でプロトタイプマシンを走らせるいくつかのプライベーターたちは、先行き不透明な世界経済と、自動車メーカーの参戦に疑問符がつく状況を鑑みて、現在2022年からとされているLMDh規制の導入を、2023年へ延期することを支持している。


 IMSAとWEC世界耐久選手権の双方で2022年にデビューすると発表されたLMDhは、現在のIMSAトップカテゴリーで採用されているDPiレギュレーションの進化版で、共通ハイブリッドシステムの搭載などを定める骨子が、2020年1月のデイトナで発表された。


 同時にLMDh規則ではWEC/ル・マンのハイパーカー(LMH)規則と相互参戦が可能となることも明らかになったが、IMSA社長のジョン・ドゥーナンは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって、このジョイントルールの採用が一年遅れるかどうかは「マーケットが決定する」と認めていた。


 これについて、現在DPiクラスに2台のキャデラックDPi-V.Rで参戦しているJDCミラー・モータースポーツの共同オーナーであるジョン・チャーチは、2023年への延期は現在の状況を鑑みて「賢明なこと」と考えている。


「現時点では、導入が1年遅れることに賛成だ」とチャーチはSportscar365に対して語った。


「いまだ最悪の状態 (感染拡大のピーク)に達していないことを心配している。今後も1年かそれ以上、かなり大きな影響は続くと考えている」


「いま賢明なことは、ものごとを1年間先送りすることだと思う。しかし、それはマーケットが決めるものでもある。ただ、多額の費用を負担しているメーカーがいて、彼ら全員がLMDhを実現するために頑張っているのであれば、(いつかは)必ず導入しなければならない」


■F1は新規定導入を1年遅らせるが……


 実現すれば、ひとつのマシンでル・マン24時間やデイトナ24時間、そしてセブリング12時間などさまざまな耐久レースに出場できるようになるLMDh規則。現在、この規則をめぐっては、1ダース(12)以上のマニュファクチャラーがIMSAおよびACOと話し合いを持ったとされている。


 だが、ドラゴンスピードのチームオーナーであるエルトン・ジュリアンが指摘したように、新型コロナウイルスの影響による約3カ月のシャットダウンは、意思決定プロセスと実際のマシン開発の双方に影響を与えてしまった。


 WECの2018/2019シーズンにLMP1からエントリーしたジュリアンは、LMDhにおけるワークス、ないしはワークスサーポートチームとしての参戦可能性を視野に入れ、ものごとを進めてきた。


「私はインディカーについても新しい規制の導入を遅らせるようプッシュしてきたし、F1は実際に1年、導入を延期している。我々は何をそんなに焦っているのだ?」とジュリアンは言う。


「今年もいくつかのレースは予定されているし、我々もできる限りのことはやっている。だが、2020年はいまだかつてない年になるだろう」


「(LMDhに関わる)すべてのデザイン作業は遅れており、誰も(正式な)規則を手にしていない。だから私は1年の先延ばしは賢明だと思うが、自動車メーカーの決定権を私が握っているわけではない」


 LMP2エントラントであるピーター・バロンも、多くの自動車メーカーが参戦をコミットできていないのであれば、2022年からのLMDh導入は「より多くの障害を招く」とジュリアンの考えに同意する。


「私の理解では、そもそも(2022年からの導入を)望んでいる者もいれば望んでいない者もいて、意見は入り混じっていた。そこへきて、自動車産業の危機が加わっている」


「2022年に導入するとなれば、間違いなく障害は増えることになる」


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