東京V北島祐二、独占インタビュー後編「結果を出さないとJ1に戻れない」

2023年6月30日(金)18時0分 FOOTBALL TRIBE

東京ヴェルディ MF北島祐二 写真:©TOKYO VERDY

2023明治安田生命J2リーグで、2008年以来のJ1リーグ昇格を目指す東京ヴェルディ。現時点首位のFC町田ゼルビア、2位の大分トリニータを追いかけ3位につける。そんな東京Vで高い評価を受ける1人が、今季J1アビスパ福岡より期限付きで加入した、プロ5年目のMF北島祐二だ。


2019年にプロデビューし、福岡時代から武器であるドリブル、質の高いクロス、創造性溢れるパスやシュートでスタンドを沸かす北島。今季序盤戦は東京Vでベンチ入りを争っていたが、そこからいかにして中心選手の1人となったのか。


シーズンのちょうど半分となるJ2第21節のザスパクサツ群馬戦(6月18日2-2)から数日後、知名度を上げつつある22歳の北島が、独占インタビューに応じてくれた。後編では、今季からの覚悟、仲の良い選手、城福浩監督の凄さ、オフの日の過ごし方などを伺っている。


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東京ヴェルディ MF北島祐二 写真:©TOKYO VERDY

今季からの覚悟の理由


ー昨2022シーズン(福岡でプレー時)までとはどこか表情が違い、覚悟が感じられます。


北島:J1(福岡)から来て、ここ(東京V)で試合に出れなかったらJ1に戻れないと思っています。ここで結果を出さないと「駄目だよね」という評価をされると思います。ずっと福岡でやってきて外へ出て修行するということは、結果を出さないといけない身。そういう覚悟を持ってきました。


だからと言って試合に出られない時にも気負いすぎることなく、あんまり深く考えずに目の前の毎日の練習をやってきたことが、今のこの立ち位置に繋がっています。メンタル的な部分も、成長しているのかなと思います。


ー今、所属元の福岡の試合はチェックしていますか?


北島:しますね。自分の試合と被ってなかったら(リアルタイムで)見ます。ルヴァン杯はハイライトのチェックですけど、どんな選手が出ていてどんなサッカーをしているのか、今も確認しています。


ー福岡時代から、今も密に連絡を取っている選手はいますか?


北島:ケネディ(三國ケネディエブス/アビスパ福岡)、福岡1年目に一緒だった喜田選手(喜田陽/現セレッソ大阪)、ユースから一緒に上がった桑原選手(桑原海人/現鈴鹿ポイントゲッターズ)。その3人とはLINEグループで連絡を取っています。


お互いの状況、チームの状況などを誰かがポーンと投げかけて、みんなが(同じように)して。三國選手と喜田選手はJ1で試合に出ていますし、桑原選手は今JFLですけどずっと試合に出ているので、「ナイスゴール」「ナイスアシスト」とか、よくみんなで言い合って刺激をもらっています。




東京ヴェルディ MF北島祐二(右)写真:©TOKYO VERDY

昇格争い意識よりも積み上げ


ー福岡でも2020年にJ1昇格を経験されましたが、自身が多くの試合に出ながら昇格を争うのは今季が初めてですよね?


北島:まだ(消化試合数が)半分なので、昇格争いというよりかは、勝つ、積み上げる。近い順位のチームのことを考えるんじゃなくて、自分たちがどうやって勝ち点を積み重ねるかということだけに集中しています。まだそんなに「昇格争いしているな」という感覚はありません。試合に出てチームのために毎日、毎試合やっていたら最後、終盤になって昇格が見えてくると思います。目の前の1試合に自分の持っている力を出し切ることに集中してやっていきます。


ー継続的に試合に出るようになり、試合が近い日の練習への取り組み方は以前と変わりましたか?


北島:これまで自主練を結構やり込むタイプだったんですけど、最近は全体練習の後の自主練を控えめにしています。自主練によって感覚を磨いたりはできますが、その分身体に負担がかかり、次の日の練習や試合に少し影響があるからです。疲労は残るので。今は怪我のリスクを抑えるように取り組んでいます。


ー現在、課題に感じている部分があれば教えてください。


北島:やっぱり細かなミス、イージーなミスというのはまだまだありますし、試合によって波があるのが課題です。毎試合一定のパフォーマンスを出せるようにするのが、今の課題ですね。


ーその課題を克服するために、ルーティンなど試合前にしていることはありますか?


北島:ルーティンは特にないですが、試合前日には、試合で自分がうまくプレーできる姿と、逆にあんまりうまくいかない自分を想像します。その時にどういうメンタルになるのかを想像しておくと、仮にそうなったとしても切り替えられるんです。ミスしたから焦っちゃうということはなくしたいので、ミスした時のメンタルを準備しておくことで引きずらない、というのを、最近メンタルのトレーナーの方とやっています。




東京ヴェルディ 城福浩監督 写真:Getty Images

城福監督の相手の弱点を突く力


ー現在東京Vを率いる城福浩監督は、Jリーグの中でも特に実績を残している監督の1人ですが、実際に指導を受ける中で、どういった部分に凄さを感じますか?


北島:(城福監督の)相手の弱点を見つける力、その弱点に対して自分たちがどうやって突くのか、その弱点を突いてどうやって試合を優位に運ぶのか、というマネジメント力や戦術が凄いなと感じます。試合をやっていると実際本当にそこが攻めるポイントになっていますし、これまでのキャリアで培ってこられたものなのかなと感じますね。


ー熱さも伝わりますね。


北島:はい。選手と一緒に戦っているというのを、本当に感じます。勝利への執念は誰よりも強く、選手と一体となって戦ってくれる監督です。


東京ヴェルディ DF谷口栄斗 写真:Getty Images

オフの日はサウナや揚げ物


ー現在チーム内で特に仲が良い選手は?


北島:仲が良いのは谷口(栄斗)選手ですね。1つ年上なんですけど、(東京Vに)来たときからよく話しかけてくれて。最近はオフの日も、一緒にサウナに行ったり買い物に行ったりしています。


ー北島選手は先輩に好まれやすいイメージですね。


北島:谷口選手にも「懐に入るの上手いね」と言われました(笑)。(インタビュー中に誰かに頭を撫でられていたが)実はさっきここ(カメラの裏)の見えないところに谷口選手がいました。ちょっと恥ずかしいですね(笑)。


ー練習後やオフの日の楽しみを教えてください。


北島:温泉とサウナは絶対行きます。あとは、なんか身体が重くなりそうだなって思って、オフの日にしか揚げ物を食べないと自分の中で決めていて。(揚げ物を食べるのは)週1の結構大きな楽しみの1つですね。オフには気にせずに食べたいものを食べます。とんかつを食べに行くのか、天ぷらを食べに行くのか、その日の気分で決めています。


ー初めて福岡から離れて、困ったことはありますか?


北島:困ったことは特にないです。なにか欲しいなと思ったら(東京には)絶対にありますし。福岡だと、このメーカーは東京や大阪にはあるけれど福岡にはない、みたいなことがありました。でも東京は、東京にないなら日本にないので。困ることがないのは、さすが東京だなと感じますね。


ー食生活は問題ありませんか?たとえば、九州と東京では醤油が違うと思います。


北島:ああ、そうですね。刺身定食とか頼んだときにあの九州の醤油がいいなとは思うんですけど、お店に持っていくわけにもいかないので(笑)醤油とか、豚骨ラーメンは恋しくなりますね。




東京ヴェルディ MF北島祐二(右)写真:©TOKYO VERDY

東京Vと福岡サポーターへ


ー最後に、東京Vと福岡、それぞれのサポーターにメッセージはありますか?


北島:まず東京のファン・サポーター。この前の試合(第21節群馬戦2-2)もそうでしたけど、勝てなくても本当に精一杯の応援で後押ししてくれます。選手全員にチャントを作ってくれています。ホームではその応援に応えられてない。みんな勝ちたくて必死にやってますけど、なかなか結果がついてこない。1試合でも早くホームの皆さんの前で勝てるように僕たちは毎日やっているので、厳しい時期、難しい時期も来ると思いますが、(シーズン)残り半分これまで通り応援してくれたら嬉しいです。


そして福岡のファン・サポーター。こうやってカテゴリが違うチームに来てても気にかけてくれます。そして結果が出たら喜んでくれているのをSNSなどで見るので、本当に応援してくれてるんだなと感じます。それが僕のモチベーションにもなっていて、より大きな結果を伝えることができたら1番いいと思っています。今はチームは違いますけどこれからも応援してくれると嬉しいです。




東京V、福岡、双方のサポーターから愛される北島。練習、食事、試合後まで、自信を持つに至ることを積み重ねてきたからこその「今」がある。サッカーのことを話す際のキリっとした表情と、オフについて話す際の満面の笑み。表情からも、充実が伝わってくるようだった。


均衡を保った試合のバランスを崩して突破する能力は、プロの中でも一部の選手しか持たないもの。ついに発揮した創造性で、シーズン後半戦、城福監督下東京Vのキーマンとなることを期待したい。

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