【ベルギー戦プレビュー】「犠牲心」だけでは勝てない、大事なのは「エゴ」とのバランス
2018年7月2日(月)21時18分 サッカーキング
日本はその決勝トーナメントでまだ一度も勝ったことがない。さらに言うと、ゴールを決めたことさえない。2002年の日韓大会はトルコに0−1で屈し、2010年の南アフリカ大会ではスコアレスのままPK戦の末にパラグアイに敗れた。
一発勝負の決勝トーナメントでは常に波乱が起こり得るが、波乱を起こすためにはゴールが必要だ。そのゴールを奪うためには何が必要か。W杯初戦を前に本田圭佑はこう言っていた。
「究極、サッカーは個。戦術でゴールは決められない。誰かの一振りがゴールに入るか入らないか。その意見は初めてW杯を経験した時から変わっていない」
セネガルとのグループステージ第2戦が終わった頃から、日本の選手たちは「犠牲心」という言葉を口にし始めた。誰かのミスは全員でカバーする。足が動かなくなるまで走り切る。そんなフォア・ザ・チームの精神だ。それは日本に大きな成果をもたらしたが、一方でグループステージでは11人の相手に一度も勝ち切っていないという事実も横たわる。勝ち切ることが求められる今後の戦いでは、時に「エゴ」も必要なのではないか。
フランス対アルゼンチンで勝敗を分けたのは、ベンジャマン・パヴァールの“一振り”と、キリアン・ムバッペの「俺が試合を決めてやる」という強い気持ちだった。ウルグアイ対ポルトガルではルイス・スアレスとエディンソン・カバーニの「ゴール欲」がクリスティアーノ・ロナウドのそれを上回った。勝つために献身的なプレーは必要だが、重要なのはエゴとのバランス。どちらが欠けてもベスト8への道は開かれない。
取材・文=高尾太恵子