豪州スーパーカーに2019年参戦予定の『フォード・マスタング』、初号機外装の完成間近

2018年7月23日(月)17時4分 AUTOSPORT web

 オーストラリアの人気ツーリングカー・シリーズ、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーに2019年から投入される予定の『フォード・マスタング・スーパーカー』。関係者によれば、このプロジェクトはすでに開発の“キー・ステージ”に差し掛かっており、デザイン部門の初期設計作業を終えて、最初のボディワークが実装間近となっている。


 VASC史上初の2ドアボディモデルとなるマスタングは、フォード陣営の強豪チームとして戦うDJRチーム・ペンスキー(DJRTP)と、米国フォード・パフォーマンス、フォード・オーストラリアのパートナーシップにより開発が進められている。


 VASCシリーズに2013年から導入済みのCOTF(カー・オブ・ザ・フューチャー)と呼ばれる車両規定に即し、シャシーはFIAインスティテュート製のロールケージを使用した共通フレームを全マニュファクチャラーが採用。


 さらに2017年より発効の“Gen2規定”により、従来までのV8自然吸気、4ドアボディのみならず、2ドアや5ドア、V6や直4の各直噴ターボなど、自動車市場の動向に合わせたボディやエンジン技術の選択も可能だ。


 フォードの車両開発を担当するワークス指定チームのティックフォード・レーシング(旧プロドライブ・オーストラリア)とも協力体制を築き、ペンスキーは“DJRTP02”のシャシーナンバーを持つ2016年の実戦用シャシーをスタンバイ。


 ファルコンFG-Xとして同チームのファビアン・クルサードがドライブしていたこのシャシーが、最初の『フォード・マスタング・スーパーカー』として生まれ変わることとなった。


 DJRTPのマネージングディレクターを務めるライアン・ストーリーによれば、この共通シャシーに架装するボディの位置決めや最終デザインはすでに完了しているとし、目標設定対してやや作業は遅れているものの、ほぼ順調な推移をみせているという。


「開発設計作業はほぼ遅れなく順調に進んでいる」とストーリー。


「我々はスーパーカー・シリーズの技術部門と頻繁にミーティングを開き、開発の進捗状況に関して緊密に情報共有を行っている。フォード、VASC、チームの全員が同じページを見ているんだ」


「現在は最終設計とデザインの確定作業が終わり、ファイナライズされたデータが製造部門に送られたところだ。本来は2018年から投入を目指していたが、契約がわずかに遅れたためその分だけディレイが発生しているが、それほど極端なものではないよ」


 DJRTPでスコット・マクローリンのレースエンジニアを担当し、現在チャンピオンシップ首位とシリーズを席巻しているルード・ラクロワは、5月下旬にデトロイトに渡りフォードのモータースポーツ活動をグローバルで統括するフォード・パフォーマンスの施設本部で作業を進めているとのこと。

DJRチーム・ペンスキー(DJRTP)と、米国フォード・パフォーマンス、フォード・オーストラリアのパートナーシップにより開発作業が続く『フォード・マスタング・スーパーカー』
参戦発表会の席上で展示された、ロードバージョンにカラーリングが施された『フォード・マスタング』
開発作業はデトロイト本社のフォード・パフォーマンスを中心に進められている


 ここでラクロワは車両のエアロダイナミクス開発のワークショップに参加して意見交換を行い、その後すぐにフォード・パフォーマンスのCFD部門がデザイン作業をスタート。このCFDチームはWEC世界耐久選手権に参戦するLM-GTE車両のフォードGTや、マスタングのGT4モデルの開発も手掛けたチームだ。


「このプロジェクトは多くの関係部門とコミュニケーションを取る必要があり、その点でもルードが参加して北米と豪州のパイプ役になるのは理にかなっている」と続けたストーリー。


「ルードの役割は技術と人材のコーディネーターで、参加者の顔と能力を一致させることも役割のひとつだ。DJRTPのデザイナーであるペリー・キーパーも、デザインの細部に関して重要な役割に担っているよ」


「さらに大事なことは、豪州だけでなく本部デトロイトのフォード・パフォーマンスが懸命に働いてくれていることだ。我々の『フォード・マスタング・スーパーカー』プロジェクトは、かなり大掛かりなグループで作業が進んでいるんだ」


 一方、ライバル陣営のホールデンは、ワークス指定チームであるトリプルエイト・レースエンジニアリングに所属する大ベテラン、クレイグ・ラウンズが2018年シーズン限りでレギュラー参戦から退く意向を発表したばかりだが、その代替ドライバーとしてシモーナ・デ・シルベストロの獲得を模索しているという。


 現在、ニッサン・モータースポーツに所属しL33型のアルティマをドライブしているシモーナは、F1でのテストドライバー経験を筆頭に、複数回の表彰台を経験した北米のインディカーやフォーミュラEなど、シングルシーターでの国際的キャリアを提げてVASCに参戦した。


 トリプルエイトの代表を務めるローランド・デーンは、チームの功労者であるラウンズの去った後、現在のように3台目のマシンを走らせるかどうかを明言していないが、レッドブル・レーシング・オーストラリアの2台、王者ジェイミー・ウィンカップとシェーン-ヴァン・ギズバーゲンに加え、サテライトにシモーナを迎えて30%を女性クルーの構成としたチームの立ち上げを計画しているという。


 まだ詳細は明かされておらず、チームは「ラウンズの去就と2019年活動計画を数日以内に明らかにする」と語るに留めているが、シモーナはすでに今季始めにチームの本拠地に近いクイーンズランドに拠点を移している。

今季、フル参戦2年目のシーズンを戦っているシモーナ・デ・シルベストロ
ニッサン・アルティマやコースの習熟を経て臨んだ2年目だが、度重なるアクシデントなどで苦戦が続いている
トリプルエイトとしても、マーケティング上で強力な要素になると計算しての動きか


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