WEC:「コロナの影響でレース以外に資金を費やしてしまった」とスパ欠場&ル・マン1台参戦のジネッタ

2020年7月23日(木)15時40分 AUTOSPORT web

 WEC世界耐久選手権のLMP1クラスに参戦するジネッタのボス、ローレンス・トムリンソンは、新型コロナウイルス流行拡大の影響が彼らのLMP1プログラムに「経済的に大きな打撃」を与えことにより、チームLNTがスパ・フランコルシャン6時間レースから撤退することになったと語った。


 2台のジネッタG60-LT-P1・AERは、8月15日に行なわれるWEC第6戦スパのエントリーを取りやめている


 トムリンソンは、会社がコロナウイルスの影響でシャットダウンされたことによって生じた、レース以外の事業における残務が、エントリーを取りやめるに至った主な理由であると説明する。


 ジネッタはイギリス国内外のワンメイクレースなど、自社のスポーツカーをベースにした非常に大きなカスタマーレース・プログラムを展開している。


「残念ながら、スパに行くことはできない」とトムリンソン。


「我々が優先すべきは、我々のコアビジネスとカスタマーの基礎を、迅速かつ安定して回復させることだ。(政府により)シャットダウンが強制されたことによって、これらの業務のワークフローに多大な影響が出ている」


「残念ながら、COVID-19の影響によって変更されたWECのカレンダーは、我々のプログラムに財政的な打撃も及ぼしている」


「他の多くのWECチームとは異なり、我々のプログラムのコアメンバーの多くは、ジネッタにおいてレース以外の定期的な業務も担っているんだ」


「カスタマーを満足させるためには、我々の主力製品を迅速かつ効率的に提供しなければならない。そのためには、厳しい決断をしなければならなかった」


「カスタマーを満足させ続けることは、モータースポーツ界のすべての人が得意にしていることではない。それが我々の強みであることを、誇りに思っている。ACOとWECのすべての人々が、この決定を尊重してくることを願っているよ」


「スパでレースをしたいと思っていた我々全員にとって非常に残念なことたが、いまは非常時だ。シャットダウンのあと、難しい決断を迫られたレースチームは我々の他にもあるだろう」


 チームLNTはWECの2019-2020シーズンの最初の4レース、すなわちシルバーストン、富士、上海、バーレーンで2台のジネッタG60-LT-P1を走らせた。だが2020年に入ってからは、コロナウイルスのパンデミック以前にも、そしてその渦中にも、カレンダーの変更によりチームは深刻な影響を受けたという。


「今シーズンは(自社エントリーとしての)デビューシーズンであり、そもそものカレンダーにおいても開幕のシルバーストン戦後のフライアウェイレースの連続は、どのチームにとっても厳しいものだった」とトムリンソン。


「マシンに開発が必要なのは明らかだったが、レースカーがコンテナに詰められてアジアを転戦している間にそれできる時間はなかった」


「バーレーンのあとには、リビルドや修復、いくつものアップグレードなど、かなり広範囲におよぶ作業リストがあった。そのためマシンをいったんガレージに戻してインテルラゴスまでに間に合うよう作業にあたったが、レースはキャンセルされてしまった」


「その後、代替レースであるオースティンには参戦できなくなってしまったが、セブリング戦に向けてアメリカへとマシンを送り出した。しかし、その後になってレースのキャンセルが発表されてしまった。さらにはそのマシンがチームに戻る前に、今度はファクトリーがシャットダウンされてしまったんだ」


「つまり、我々はレース以外の部分で多額の資金を費やしてきたことになる」


 トムリンソンによれば、9月に行なわれるル・マン24時間のエントリーリストに記載されている1台のジネッタは予定どおりレースに参加する方向だという。だが、これはWECにおけるチームLNT最後のレースになることが予想されている。


「我々はこのシーズンのために資金を振り絞っている。1台のマシンでル・マンを戦えることを期待しているよ」


「マシンは強さを見せることができるだろう。可能な限り力強く、サーキットに戻りたいと思っている」

WEC第6戦スパ・フランコルシャン6時間レースのエントリーを取りやめたジネッタ。


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