石浦、国本、山本が語るSF19。おおむね好評価も課題あり。HALO導入には「慎重な議論」求める

2018年8月1日(水)21時3分 AUTOSPORT web

 8月1日、富士スピードウェイで行われた全日本スーパーフォーミュラ選手権の次期型シャシー『SF19』の開発テスト。午後に行われた2度のセッションの間にはテストに参加した山本尚貴、石浦宏明、国本雄資の3ドライバーによる会見が実施され、それぞれがSF19とドライバー保護デバイス『HALO』についてのインプレッションも明かした。


■SF19にはおおむね好印象も「ミラーが見にくい」部分も


8月1日午後には3ドライバーによる会見が行われ、SF19やHALOへのインプレッションが語られた

 SF19というニューマシン自体の印象を、国本は「まずは昨日、トラブルなく乗れたことを関係者のみなさんに感謝したいと思います。SF14とは多少の違いがありますけど、パッと乗って、最初から問題なく走れました。セットアップ変更への感度もありましたね」とコメント。


 石浦も「最初からレーシングスピードで普通に走れて、セットアップ作業に入れる。やっぱりのダラーラのクオリティはさすがだと感じました」と同意する。


 山本は、「昨日の時点では正直、SF14より(パフォーマンスが)大きく上回るとまでは感じられなかったんです。どうしてもタイムを見てしまうので」としながらも、「今日は(ラバーも入るなどして路面の)コンディションも良くなったのか、温度条件は厳しいなかでもタイムが(SF14の実戦レベル)に近づきましたし、2日目の方がSF19のポテンシャルの高さを感じています。(マシンが)できたてでこのタイムで走れているんですからね」と語り、やはり新車への好印象を示した。

富士スピードウェイを走行したSF19


 午前のセッションでは山本がベスト1分23秒046なら、石浦はそれをわずかに上回る1分22秒952がベストだった。山本も石浦も、「ニューマシンの開発テストだと分かっていても、やはりドライバーやエンジニアはタイムを争う気持ちになってしまう面がある」旨を苦笑混じりに語り、午前中はともにタイヤテスト中心であったなか、最後はソフトタイヤでの疑似タイムアタック合戦的状態にあったことを吐露。ベストはSF14での予選さながらにほとんど同じタイムだが、石浦はセクター1、山本はセクター2でミスがあり、石浦はロス幅を「コンマ2〜3秒ですかね」としている。


 また、SF19は「フロントタイヤが幅広になり、ホイールベースも短くなったことで、コースやセットによっては曲がりすぎるかもしれない」キャラクターをもっていることも異口同音に報告された。「SF14とまったく同じセットで走れるわけでもない。そういうキャラクターをセットでみんながどう解決していくか、一旦(勢力図が)リセットされて戦いが面白くなると思います」(石浦)。


 3名のドライバーからは好印象が語られているSF19だが、国本は「エアロパーツの影響などで、ミラーが見にくくかったですね」との課題を提言すると、石浦、山本もこれに同意。当面の要解決ポイントになってきそうだ。


 また山本からは「僕はルックス的にSF19のようなローノーズは好きなんですが、担当エンジニアの阿部(和也)さんが『俺はハイノーズ派なんだよ』と。一心同体だったのに、初めて意見が分かれて心配です(笑)」というこぼれ話も。


■スーパーフォーミュラ初登場のHALOは「慎重に議論してほしい」


 ハロに関しても、3選手の現段階での評価は基本的にポジティブだ。ただ、単純に装着すればいいというものではなく、各サーキットのドライバー救出体制確保など、課題をクリアしたうえで装着する方向に進んでほしい、との内容が語られている。


 国本はまず、ハロ装着状態での乗り降りに関して「ジャングルジムみたいですね」と笑顔で話し、ドライビング時の感触については「最初こそ若干の違和感はありましたが、数周で慣れました。コーナーではまったく気にならないです。ストレートでは真ん中の(縦の)棒が視界に入りますけど、それも慣れました。安全性が増すのであれば、やはり導入してほしいですね。スタートシグナルも富士のグリッドでは完全に見えないようなところはなかったです。もちろん、今後は各コースでの確認が必要だと思います」。


 178cmと長身の石浦は、ハロ装着による規則面でステアリング位置の前後方向の自由度が狭まることからくる「ドライビングポジションへの影響を心配していましたが、走り始めたら最終的にはまったく気にならないレベルで走れました。ただ、僕は比較的ステアリングを近めにして乗るタイプなので、そういうことを考えると僕くらいの体格がギリギリなのかな、とは思いますけど」と話す。また、やはり不安で前夜から緊張していたという脱出テストに関しては「無事に終わって大満足です。(長身の)僕が大丈夫なら、(ほかのドライバーも)まず大丈夫だろうと思います」とコメントした。

午後に脱出確認を行った山本尚貴


 そして石浦は、「つければいいというものではないので、これからもテストして慎重に議論してほしいです」と続ける。初日の時点でハロ装着には相当に前向きだった山本も、「いいことばかりではないという部分はもちろん感じています」という。


 国本を含めた3人がもっとも懸念するのは、たとえば横転して裏返しになって火災が生じたような場合の脱出だ。最近は発生事例が稀な火災はさておくとしても、裏返しの状態からの脱出に際して、すべての開催サーキットで万全な体制を整えられるのか、という不安を強調していた。

HALOの支柱はドライバーの真正面に立つデザイン。実戦投入となれば各チームが用意するデバイスにも改良が求められる


 また、ハロ装着によるドライバーへの直接の弊害はほとんどないものの、メカニックの作業への影響を3人は心配しており、「脱着がもっと簡易にできるようになればいい」との意見も聞かれている。


 まだまだ課題は多くあり、JRPも現段階では来季のハロ装着について「検討中」との姿勢を崩していない。今後のテストでの検証や議論が重ねられていくことになるだろう。ドライバーがピットで眼前に置く小型モニターも、ハロ採用となれば新調や改良の必要がありそうだ。


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