【F1インタビュー】タイトル争いを2度経験したフェルスタッペンの強さは「ある意味当然のこと」と元ホンダ山本雅史氏

2023年8月8日(火)16時15分 AUTOSPORT web

 元ホンダの山本雅史氏が、2023年F1第13戦ベルギーGPの現場を訪れた。今シーズン初めてサーキットを訪れたという山本氏は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)の強さや、開幕連勝記録を更新したホンダ/HRCの活躍について語った。


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──お久しぶりです。今シーズン、F1グランプリが開催されているサーキットでお会いするのは初めてですね。


山本雅史氏(以下、山本氏):はい、今シーズンはこのベルギーGPが初めての現場です。


──昨年、独立してレッドブルとアドバイザー契約をしていましたが、今年は?


山本氏:今年も契約はしていて、何かチャンスがあれば、日本の企業を紹介することになっていますが、昨年のようなパーマネントでの契約はしていません。簡単に言えば、出来高契約です。

スパ・フランコルシャンを訪れた山本雅史氏


──今シーズンのF1をどのように見ていますか。


山本氏:現場はこのベルギーGPが今年初めてですが、フジテレビで解説をしているので、中継を通してF1は今年も全戦見ています。そこで感じるのはレッドブルの強さとマックス(・フェルスタッペン)のすごさ。ベルギーGPではついに開幕からの連勝記録を更新しましたが、後半戦もこの調子で優勝を重ねて、記録をできる限り伸ばしてほしいと思っています。


──今年のフェルスタッペンの強さは山本さんにはどのように映っていますか。


山本氏:2021年にルイス(・ハミルトン/メルセデス)と究極のチャンピオンシップ争いを演じて、タイトルを手にした経験がさらにマックスを大きく成長させたと思います。2021年のマックスはそばで見ていて、本当に厳しい戦いをしていました。特に後半戦はピリピリしているのが伝わってくるほど、ギリギリで戦っていました。それが、昨年は6回ほど現場を訪れてマックスとも会っていますが、2021年とは全然違って、とても穏やかな印象だったのを覚えています。


 2022年もシーズン中盤まではシャルル・ルクレール(フェラーリ)とチャンピオンシップ争いを行っていましたが、2021年のような緊張感は感じられませんでした。「チャンピオンを獲ると、ドライバーってこんなにも自信がつくんだな」ということを実感しました。そのことを昨年の日本GPで会ったときに肌で感じ、「これからしばらくはマックスの時代が続くだろう」と思っていたら、実際2023年はそうなった。もともと速くて強かったマックスがその経験を2回もした今年、さらに強くなって手がつけられなくなるのは、ある意味当然のこと。25歳とは思えない落ち着きと貫禄がすでに備わっています。そんなドライバーがレッドブルの素晴らしい車体と信頼性が高いホンダRBPTのパワーユニットを手にしているのだから、向かうところ敵なしですね。


──ホンダも好調ですね。


山本氏:ホンダは2021年限りでパワーユニットマニュファクチャラーとしてのF1参戦を終了したので、ホンダのスタッフたちが歩む道はそれまでとはまったく同じではなくなったわけですが、それでも2021年からさらにパワーユニットを進化させて、現場でもきめ細かなレーシングサービスを行うというのは、簡単なことではなかったと思います。本当によくやっている。ただ、忘れてはならないのは、その基礎を築いたのは田辺豊治と本橋正充というふたりの元テクニカルディレクター。田辺がしっかりとした軸を作り、本橋さんがそれをサポートしていた。彼らふたりには本当に感謝です。


──レッドブルも素晴らしいチームですね。特に今年の5月にホンダが2026年からアストンマーティンにパワーユニット(PU)を供給すると発表した後も、ホンダとの関係を損ねることなく、プロフェッショナルな対応をとっていますよね。


山本氏:この世界は契約で動いています。契約が終わるまではその契約を結んだパートナーと全力で戦うのは当たり前です。それはパワーユニットマニュファクチャラーとチームとの関係だけでなく、ドライバーとチームも同じだし、エンジニアだって、よく移籍していますよね。関係が切れた相手に対してジェラシーを募らせるのは、極めて日本人的な発想であり、文化。ヨーロッパでは契約が終了して、関係が切れるパートナーに対して妬みつらみを抱くことはありません。だから、レッドブルが2025年まで契約があるホンダとあと2シーズン半、全力で戦うのは当たり前なんです。

クリスチャン・ホーナー代表(レッドブル)&HRCの渡辺康治社長
HRCメンバーの海老原拓也、吉野誠、湊谷圭祐

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