日本とオーストラリアのハーフ。フランスF4でランキング首位につける飛雲・バーターの素顔

2022年8月17日(水)15時30分 AUTOSPORT web

 オーストラリア人の父と日本人の母のもと、2005年に名古屋で誕生した飛雲(ヒュー)・バーターは、オーストラリア・メルボルン育ちの17歳のドライバーだ。2022年はスペインとの国境に近いフランスで両親と暮らし、フランスF4とスペインF4に参戦している。


 2022年シーズン、全7ラウンド21戦が開催されるフランスF4。第4ラウンド12戦が終了した時点でバーターは、7回のポールポジションを獲得、8回のファステストラップ、そして7勝を記録。161ポイントを獲得し、ランキング2位につける荒尾創大に21ポイント差のランキングトップにつける一方で、並行して参戦するスペインF4でもポイントランキング2位につけるなど、今後の活躍が期待される若手ドライバーのひとりだ。まだ、あどけなさの残る17歳、飛雲・バーターの素顔に迫った。


* * *


──レーシングカートのキャリアと、フランスF4参戦のきっかけを教えてください。


飛雲・バーター(以下、HB):カートはオーストラリアで7歳から始めました。2020年にはF1で活躍するダニエル・リカルド選手が運営する『リカルド・カート・ファクトリーチーム』のリードドライバーとしてサインするなど、良い成績を出せていたと思います。


 レーシングカートでの走りを認めて頂いたことで、2020年10月には世界から選ばれた10名のカート選手のひとりとして、ビレルARTからフランスのリシャール・ミル・ヤングタレントアカデミーに招待されました。そして、FFSAアカデミーのスカラシップ生に選出され、2021年からフランスF4選手権へ参戦しています。


──フランスF4初挑戦となった2021年は、デビューイヤーながらファステストラップ3回、優勝2回。2年目の挑戦となる2022年は第4ラウンド12戦が終了した時点で、他を寄せ付けない好成績を残していますが、手応えはありますか?


HB:2021年はフランスF4参戦までに、オーストラリアで1日しか練習する機会がありませんでした。その後、慌ただしく開幕戦を迎えたので、ほぼフォーミュラカーの経験がないまま、4輪ドライバーとしての研鑽が始まりました。


 2021年シーズンは、ヨーロッパでの生活もフォーミュラカーのドライブも初めてで、右も左もわからず、学ぶことばかりでした。裕福な家庭のドライバーは、シーズン開幕前から十分に練習の機会を得られているかと思いますが、僕はその機会がなかった分、レースを通してさまざまなことを学びました。その経験を2022年のレースへたくさん活かせたこともあり、それが自信に繋がっていると思います。

フランスF4に参戦する飛雲・バーター


──第4ラウンドのスパ・フランコルシャンではとても楽しそうにレースをしていましたね。


HB:大好きなスパ・フランコルシャンサーキットでポールポジションが獲れて、とても嬉しかったというのもありますね。ただ、僕はすでにスペインF4でスパを走っているので、たとえ優勝できたとしてもポイントは一切加算されないんです。でも、ポイントが得られないとしても、どうしても大好きなスパで勝ちたいと思っていたのですが、それが叶いました。


(編集注:フランスF4では、すでにレース経験のあるサーキットで優勝した場合、ポイントを獲得できないという独自のレギュレーションを敷いている。今年バーターはフランスF4スパ大会で3戦中2勝を飾ったが、すでにスペインF4のスパ大会でも優勝を飾っているためポイントは加算されなかった。)

フランスF4スパ大会で3戦中2勝を飾った飛雲・バーター


──フランスF4と並行して参戦しているスペインF4では、シリーズランキング2位ですが、こちらの手応えは?


HB:いまはさまざまなことをひとつずつ学んでいる状況です。決して簡単なレースではありませんが、エンジョイしています。開幕戦のポルティマオのレース1では優勝でき、自分ではいいレースができたと思います。


 ただ、第2ラウンドのヘレスではエンジントラブルに見舞われ、第3ラウンドのバレンシアではポールポジションを獲れたにもかかわらず、自分のミスでいいペースが掴めず難しいレースになりました。第4ラウンドのスパでようやくいいペースに戻れたという感じです。残る後半戦の3ラウンドで巻き返せるように頑張りたいと思います。

スペインF4へはカンポス・レーシングから参戦する飛雲・バーター


──ヨーロッパでの生活について教えてください。


HB:2020年まではハイスクールに通っていましたが、いまはオーストラリアのハイスクールのオンライン授業を受講しています。去年はまだヨーロッパの生活状況がよくわからなかったこともあり、フランスのル・マンにあるFFSAの寄宿舎で生活をしていましたが、今年はスペインF4にもシリーズ参戦しているため、オーストラリアから両親が引っ越してきてくれて、スペイン国境に近い南フランスのモンピリエという街の郊外に家族と一緒に住んでいます。


──趣味はありますか?


HB:鉛筆で絵を描くのが好きです。天文学にも興味を持っています。料理も好きなので、朝食を自分で作ったり、家族の分の昼食を作ったりもします。


──好きな日本食はありますか?


HB:お母さんが作ってくれる唐揚げです!


──オーストラリアからフランスへ引っ越し、カルチャーショックもあったのではないでしょうか。


HB:フランスでは朝から糖分の高いペイストリーのような甘い朝食を食べる、ということに一番のカルチャーショックを受けましたね。僕はお米が大好きなので、日本の朝食が大好きです。


──昨年、レーシングカートからフォーミュラへと昇格したばかりですが、これからの目標をお聞かせください。


HB:F4に参戦しているドライバー全員がそうであるように、僕も将来はF1ドライバーになることを強く願っており、F1へ到達できることを目指して日々ベストを尽くしています。いま目の前にあるレース、与えられたチャンスにひとつずつ取り組み、目標に向かって自分のすべてを懸けたいと思っています。


 今シーズンのフランスF4では残り3ラウンドの第1と第2レースはすべて勝ちに行くつもりです。そして第2レース(リバースグリッド)はできるだけ上位に入賞することを目指して頑張ります! 日本のみなさん、飛雲・バーターの応援をよろしくお願いします!

オーストラリアのライセンスで参戦する飛雲・バーター。しかし、レーシングスーツとピットガレージにはオーストラリア国旗とともに日の丸も掲げている。
2022年、フランスF4とスペインF4に参戦する飛雲・バーター

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