ほぼ量産仕様の新型トライトンがAXCRで3位。全車完走に「方向性は間違っていない」と三菱ラリーアート増岡総監督

2023年8月22日(火)20時41分 AUTOSPORT web

 三菱自動車がタイのタント・スポーツに技術支援を行い、“チーム三菱ラリーアート”の体制で参戦したAXCRアジアクロスカントリーラリー2023が8月19日(土)に閉幕した。


 計3台の新型ミツビシ・トライトンのT1仕様(改造クロスカントリー車両)でAXCRに参戦した同チームは、前年覇者であるチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組が総合3位を獲得。日本人コンビの田口勝彦/保井隆宏組が総合8位、同じくチームメイトのリファット・サンガー/シューポン・シャイワン組は総合32位で完走を果たした。この結果チーム三菱ラリーアートは、2台以上のエントリーですべての車両が完走し、うち上位2台の合計タイムで争われる“チーム賞”を受賞している。


 8月13日(日)に開幕した2023年のAXCRはタイ南部のパタヤをスタートし、19日(土)に隣国ラオスのパクセーでフィニッシュを迎えた。この間およそ2030km。道中には大きな穴が開いた道やぬかるんだ路面、川越え等、さらにドライバーたちの行く手を阻む険しいコースが続いた。


■表彰台とチーム賞、2度のステージベストを記録した新型トライトン


 チーム最上位の総合3位を獲得した101号車を駆るヨーターは、競技2日目のSS2で2番手タイムをマークし、新型ミツビシ・トライトンのパフォーマンスをアピール。総合でも4番手に順位を上げラリー前半を折り返す。国境を超えて迎えた後半戦ではさらに順位を上げ、SS4終了時点で3番手に。その後の二日間も安定したペースを発揮し、今大会がデビュー戦となった新車を表彰台に導いている。


 FIAアジアパシフィックラリー選手権の2冠王者で、WRC世界ラリー選手権や全日本ダートトライアル選手権などに参戦し豊富な経験持つ一方、クロスカントリーは初参戦となった田口は、持ち前の正確なハンドリングとそのスピードを活かし、初日のSS1はトップタイムを記録した。


 しかしトラブルを抱えたライバルに前をふさがれてペースを上げられなかったり、複雑に枝分かれするジャングルの道に悩まされるなど、その後は苦戦を強いられ、初のAXCR挑戦は総合8位というリザルトに終わった。


 ヨーターと同じく2年連続でチーム三菱ラリーアートからの参戦となったサンガーは、競技初日のSS1で丈の高い雑草でフロントグリルが覆われたことによる冷却系トラブルで大幅にタイムロス。8時間のペナルティを受けて大きく後退したため、以降はチームメイトの2台をサポートする役割を担っての走行となった。SS5でステージトップタイムを記録するなど好走を見せるも、ペナルティの影響は大きく総合32位でのフィニッシュとなっている。

初挑戦となったAXCRで総合8位完走を果たした田口勝彦/保井隆宏組(112号車ミツビシ・トライトン) アジアクロスカントリーラリー2023


■市販車の部品を使って参戦し、3台すべてが完走


 7日間にわたるラリーを戦い追えたチーム三菱ラリーアートの増岡浩総監督は、出場した新型トライトン3台全車が無事にラリー完走したことを受け、ミツビシのクルマづくりの方向性が間違っていなことを確信したという。


「雨季にもかかわらず雨がほとんど降らない夏の強烈な暑さに加え、近年稀にみる悪路が続くなかをハイスピードで駆け抜ける過酷なコース設定でした」と今大会を振り返った増岡総監督。


「我々は発表したばかりの新型トライトンで、短期間でラリーカーを製作しましたが、随所でそのパフォーマンスを発揮することができ、総合3位となりました。残念ながら2連覇はなりませんでしたが、ほぼ量産車と同じ仕様で、市販車の部品を使って参戦し、1台も欠くことなく3台すべてが完走でき、私たちのクルマづくりの方向性は間違っていないと確信できました」


「また、ラリーカーとしてどう戦闘力を上げていくかという課題や、市販車にもフィードバックすべき技術的な情報も得ることができ、大変有意義な大会となりました。協賛各社様からの多大なるご支援、世界各地のファンのみなさまからの熱いご声援、本当にありがとうございました」

106号車ミツビシ・トライトンをドライブし総合32位完走となったリファット・サンガー/シューポン・シャイワン組(チーム三菱ラリーアート) アジアクロスカントリーラリー2023
チャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組(101号車ミツビシ・トライトン) アジアクロスカントリーラリー2023

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