処分撤回の訴えを棄却したCASも「非人道的」とした規定とは? インド女子選手の「100グラム超過問題」に余波続く

2024年8月24日(土)7時0分 ココカラネクスト

パリ五輪の大舞台で体重超過のミスを犯してしまったビネシュ。(C)Getty Images

 わずか100グラム、されど100グラムである。

 現地時間8月19日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、今夏のパリ五輪で100グラムの体重超過により決勝戦当日に失格処分となった女子レスリングフリースタイル50キロ級のビネシュ・フォガト(インド)の処分撤回と銀メダルの権利を求める訴えを棄却。あらためて失格の正当性をリポートした。

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 快進撃は思わぬ形で止まった。初戦で東京五輪金メダルの須﨑優衣を撃破するなど、快進撃を見せていたビネシュだったが、決勝戦前日の晩に規定から2キロの体重増加が判明。水抜きはもちろん、散髪や採血も実行する壮絶な減量に励んだが、決勝当日の早朝に実施された公式計量で100グラムの超過。無念の失格となった。

 大会後にCASに異議申し立て行っていたビネシュ陣営。だが、CASは24ページの文書を公開し、いかなる状況でも例外を認めないと指摘。「体重リミットの50キロを超過し、2日目の計量に失敗したという点は議論の余地がない」と前置きし、「体重リミットのルールは明確であり、すべての参加者に同じく適用される」と断じた。

 さらに「リミットを超えないようにするのは、明らかに選手自身の責任」とも指摘したCASは、「競技者は初日だけでなく、2日目の計量も成功しなければならなかった」「彼女への銀メダル授与を認めるべき理由がない」と断固して訴えを認めない意思を示した。

 正式にメダル獲得の可能性が消えた。この結果を受け、ビネシュの母国インドでも反響が拡大。日刊紙『Hindustan Times』は「CASはビネシュに対する救済措置の一切を認めなかった」と報道。その上で、五輪のレスリング競技を統括している世界レスリング連合の設ける体重ルールを「厳しすぎる」としたCASの報告を紹介している。

「2回目の計量での失格は申請者側(ビネシュ)の違反、もしくは不正行為に起因するものではなく、単独仲裁人の意見では、非人道的で、過酷である」

 今回のような“アクシデント”を繰り返さないように、どのようなルール改善を行っていくべきか。レスリング界での議論は続いていきそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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