スーパーGT富士500マイルの沼津で立ち寄った本物のバー。そのプロの技に仰天【大串信サーキット徒然旅日記】

2019年8月27日(火)17時33分 AUTOSPORT web

 スーパーGT第5戦、夏の富士500マイルはホント混みますよね。でも今年もいいレースだったなあ。サポートイベントのFIA-F4も「これぞフォーミュラカーレース」だったし、お客様にとっては猛暑で大変な観戦だっただろうけど、入場料のモトはとれたかなと、ちょっと安心しました。


 でもこの時期は夏休みの行楽と重なるもので、やっぱり大変ですよね。ぼくも今回は御殿場に宿が確保できず金曜は沼津、土曜は三島に宿泊しました。


 案外当日まで待つとキャンセルが出て御殿場に泊まれたりするものですが、大事な仕事を抱えている場合は当日まで待ってどこにも泊まれないようなことになると困るので、安全策を選びました。クルマで1時間ちょっとと遠いは遠いけど、沼津、三島とも比較的ホテルが多くて混雑期も宿を確保しやすいし、御殿場に劣らず夜は楽しい街だから苦ではないですね。


 今回、沼津では夕食の後、バーに寄りました。以前もこの連載で紹介したけど沼津には素晴らしいオーセンティックバーがいくつかあって、バー密度がとても高いんです。今回はそのうちの1軒、ビクトリーへ。


 10年ぶりくらいだったかもしれないなあ。前回紹介したフランク同様、ここも入り口のドアを開けるといきなり2階へ上がる階段があって、初めてだと面食らいます。慣れない店は怖いんですよね、階段を上がってみたら怖いお兄さんお姉さんがいて引き返せなくなったりしたらどうしよう……と。でもここは心配することはありません。上っていきましょう。


 そこにあるのはしっとりとしつらえられた上品なバー空間です。フランク同様、物腰の柔らかいバーテンダーのみなさんが迎えてくれます。


 オーセンティックバーが苦手な人は、何をどう注文すれば良いのかわからないとか、そもそも何を喋ればいいのかわからないとか、シロウトが行くとバカにされるのが心配だとか言いますが、本当のバーは、何もわからない客を気持ち良くもてなしてくれるものなんです。


 だから、わからないことはわからないと言えば、親切に教えてくれます。バーテンダーはお酒を供するだけではなくて、客をもてなすという修行を積んできたプロフェッショナルです。「何か香りのいいカクテルを呑んでみたい」でも、「サッパリしたウイスキーを飲みたい」でも、何でもいいから注文してみましょう。「今のワタシのイメージにピッタリのカクテル作ってください」も……あまりオススメはしないけど(笑)、真顔で聞いて応えてくれるはずです。会話はそこから始まりますね。


 今回ぼくは満腹だったので、最初ぼくを迎えてくれたバーテンダーに食後酒のつもりで「何かグラッパください」とお願いしました。出てきたのは知らない銘柄だったけど、これが大変美味しい。で、「今日は暑かったな〜」と思いつつしみじみ呑んでいたんです。


 そうしたら、しばらくして女性バーテンダーがさりげなく「神奈川も暑かったでしょうね」と話しかけてきました。びっくりしたなあ、もう。確かに最初に注文を聞いてくれた男性バーテンダーには「神奈川から来た」とは言ったんですよ。でもそのときこの女性はカウンターの隅で他の接客をしていて、話は聞こえていないはず。


 仰天して「なぜぼくが神奈川から来たって知ってるんですか」と聞き返しました。そうしたら、ほんの短時間のうちに、しかもぼくにはまったく気づかせず、カウンターの向こうで、もてなしのためのメモがバーテンダーからバーテンダーに渡されたらしいんですね。すごいなあと舌を巻きました。


 プロのバーテンダーの仕事ってこうなんですよ。こっちがオタオタする必要はなくて、勝手にきっちりともてなしてくれるんです。それにしてもそのメモには他にどんな情報が書かれていたんだか。それは見せてもらえませんでした。「このオッサン、助平そうだから気を付けろ」、くらいは書き添えてあったかもなあ(笑)。


 手の込んだオードブルが付いて、お勘定は2500円。おいしいグラッパとオードブル、それから上品な空間と厚いおもてなしで時間を過ごしてこのお値段はリーズナブルでしょう。次回沼津泊まりのときもまた来たいと思わせますよね。


 残念ながらなのか幸いにしてなのか、来年はオリンピックイヤーなので、この時期富士スピードウェイでレース開催はないらしいんですけども。

ビクトリーの店内。おもてなしのプロの技にびっくり


沼津で訪れた本物のバー、ビクトリー

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