SCに泣かされうなだれるRed Bull大湯都史樹/STANLEY山本尚貴が最終周にまさかの大クラッシュ【第5戦GT500決勝】

2022年8月28日(日)21時20分 AUTOSPORT web

 予選最後尾の12号車カルソニック IMPUL Zが大逆転で優勝したことからもわかるように、オーバーテイクやバトル、そしてアクシデントやトラブル、ミスやペナルティ、セーフティカーのタイミングを活かしたピット戦略など、レースで起こる出来事がすべて詰め込まれたような濃密な内容となったスーパーGT第5戦鈴鹿のGT500決勝レース。そのなかでも、レース直後の取材で判明した情報を速報でお届けする。


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 予選3番手からスタートし、最初のピットイン後の32周目、トップの23号車MOTUL AUTECH Zを130Rでオーバーテイクして首位に立った16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT。ステアリングを握る大湯都史樹は、後ろからハイペースで追い上げる38号車ZENT GRスープラの石浦宏明を何度も抑え続けた。その時の状況を大湯が振り返る。


「(38号車が追い上げてきて)最初は『かなりキツイな、普通に行ったら抑えられないな』と。あの時は本当に38号車は速くて、かなり苦しい状況ではありました。そのなかでなんとか堪えて、とにかく『この順位は守る!』と頑張って走っていました。そこまでは完璧なレースでした。全力で守って走り切れていたレースだったかなと思います」


 大湯が「そこまでは」と話すように、トップを走行中の50周目、大きな転機が訪れる。GT300のマシンが130Rでクラッシュし、すぐにセーフティカーが導入。そこで大湯を含むトップ4台のマシン以外は2度目のピットインのタイミング済ませ、戦略的に大きなアドバンテージを得ることになった。その状況は走行中の大湯も把握していた。


「(セーフティカーが入った瞬間)『すべてが終わったな』……という感じでしたね。本当にそこまですごくいいレースができていたのに……あのままなら(SCが入らなかったら)優勝はできていたはずですし、タイヤ交換したあとのペースもよかったですし、路温が下がっていたときだったので……とにかく、残念です……」


 レース直後の大湯は、疲れ切った表情でうなだれたままだった。


「ちょっとまだ、気持ちは切り替えられないですね。やれることは全部、チームも含めてやれていたところでしたし、あとは流れですね……」


 最初のピットアウトではトップの23号車を1コーナーでなんとか抑えようと先頭にクルマの鼻先をねじ込んだ。ここでは先にピットインしてタイヤが温まっていた23号車にすぐに抜かれてしまい、さらに黒白旗を受けることになったが、優勝への気持ちの強さが表れたシーンでもあった。


「もう、気合いでしたね。なんとか抑えたかった。気迫というか、絶対に前に行かせたくなかった」


 ダンロップタイヤ、そして16号車のクルマもパッケージとして勝てる強さを今回の鈴鹿では見せたが、大湯としてはまだ満足はしていないようだ。


「レースで速い瞬間もありましたけど、その分、苦しい時間もあって、安定性に関してはまだまだ課題があります。けれどもそのなかでも、今日のようなパフォーマンスを出せたところは、見ているみなさんもそうですし、ライバルチームにも脅威を示せたんじゃないかなと思っています」


 実際、タイヤのピックアップでペースダウンするシーンもあったようだが、ダンロップが得意とする鈴鹿でタイヤメーカー、そして16号車のチームとしても期待が高かっただけに、セーフティカーで優勝を逃すという惜しい一戦になってしまった。

第2スティントでトップを奪ったRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが後続を抑える


優勝が見えたトップ走行中のセーフティカーで涙を飲むことになった大湯都史樹

 その16号車とトップを争っていた38号車ZENT GRスープラもまた、表彰台が確実な状況でセーフティカーに泣かされてしまった。16号車を追う2番手を走行中に、同じくセーフティカーのタイミングで上位のチャンスを逃しただけでなく、最後はGT300マシンをオーバーテイクする際、130Rで飛び出して砂利や芝生をフロントグリルのダクトに入れてしまい、緊急ピットイン。その後にコースインをするも、結果的にリタイアとなってしまった。


 また、最終ラップでは100号車STANLEY NSX-GTがクラッシュするシーンが中継され、観客を驚かせた。100号車は23号車MOTUL AUTECH Zと5番手を巡ってバトルをし、130Rで100号車のインに23号車松田次生が入り、100号車の山本尚貴は並走する形に。レース終盤の130Rの外側はタイヤかすが溢れており、そこでグリップを失った山本が飛び出してバリアにクラッシュしてしまったという。100号車は2回目のピットインでタイヤ無交換戦略で順位を上げることができたが、その分、タイヤのライフはかなり厳しい状況でもあった。


 チームによると、クラッシュした山本の身体に大きな怪我はないようで、無事が確認されたが、クルマはレース直後の取材時はまだチームに戻ってきていない状況ではあるものの、大きな衝撃を受けてかなりの損傷が予想されている。

ファイナルラップで5番手を争ったSTANLEY NSX-GTとMOTUL AUTECH Z

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