FIA F2、2024年から導入の新型マシンを初公開。コンセプトは「F1マシンに可能な限り近づける」

2023年8月31日(木)19時47分 AUTOSPORT web

 8月31日、FIA F2はF1第15戦イタリアGPが行われるモンツァ・サーキットで2024年より2026年までFIA F2で使用される新型車両を初公開した。シャシーはダラーラが手がけ、エンジンは引き続きメカクローム製3.4リッターV6ターボエンジンを搭載する。


 FIA F2では2018年シーズンよりイタリアのダラーラ製シャシー『F2・2018』にメカクローム製3.4リッターV6ターボエンジンというパッケージで6シーズンにわたり開催されてきた。当初このパッケージは2018年より2020年までの3シーズンのみを予定していたが、コロナ禍にともないさらに3年延長された経緯がある。


 待望の新型車両は引き続きイタリアのダラーラ車が手がけ、「F1マシンに可能な限り近づける」ことをコンセプトに、ホイール・トゥ・ホイールのレースとなるよう幅の広くなったフロントウイングやリヤウイングなど、最新F1マシンのエアロデザインを反映したものとなった。


 また、新車導入コストを抑えるべく、エンジンとギヤボックスをはじめ、一部のパーツは『F2・2018』から引き続き使用される。ただ、メカクロームが手がける3.4リッターV6ターボエンジンには、2025年に導入されるサウジアラビアの国有石油会社アラムコ製の持続可能な合成燃料に対応するための新機能も備わったとしている。なお、2024年に関しては今シーズンと同じくアラムコの55%混合の持続可能燃料を搭載するとも明らかにされた。


 この新型車両は7月にイタリア・ヴァラーノでタチアナ・カルデロンの手でシェイクダウンされた。今後年内には2022年FIA F2王者のフェリペ・ドルゴヴィッチを含む数名がステアリングを握るテストが複数回予定されている。なお、この新型車両では正式導入後も開発を続け、2027年にはFIA F2でも100%持続可能な合成燃料でのレース実施を目指すとしている。

2024年シーズンよりFIA F2に投入される新型車両


 FIA F2のブルーノ・ミッシェルCEOは、「今後3年間レースを戦う新たなFIA F2マシンを発表できることを大変誇りに思う。FIAとともに、若いドライバーにとってはF1へのトレーニングとなり、そしてファンがFIA F2に期待する素晴らしいレースとたくさんのオーバーテイクのチャンスを提供し続ける、パワフルでチャレンジングかつ安全なマシンを設計した」とコメント。


「また、ステアリング操作に関するFIAの配慮を考慮し、あらゆるタイプのドライバーにフィットするように設計されている。マシンのドライバビリティと快適性を向上させることで、このスポーツをより包括的なものにするための鍵となるだろう」


「我々の主眼のひとつはコスト管理だ。そのため、エンジンとギアボックスは同じものを使用し、前車からのキャリーオーバーできるパーツも多い。そして我々は、チームがこの新しいマシンをスポーツレギュレーションに従い12人で運用・管理できることも確認している」


「このマシンの安全性、信頼性、そして若いドライバーをF1に送り出すための最高のレーシングマシンを作ってくれた、アラムコ、ピレリ、ダラーラ、メカクロームに感謝したい」


 この新型車両は各チームへ2023年12月末までに1台は引き渡される予定で、2台目は2024年1月より順次引渡しされる計画だ。また、2024年最初の公式プレシーズンテストを前に、各チーム1台ずつのシェイクダウンが行われる見込みだ。

2024年シーズンよりFIA F2に投入される新型車両
2024年シーズンよりFIA F2に投入される新型車両


■2024年より使用されるFIA F2車両諸元


・寸法:
全長5284mm/全幅1900mm/全高1097mm(FOMロールフープカメラを含む)
ホイールベース3135mm


・エンジン:
メカクローム製V6 3.4リッター・シングルターボ
最大出力:620HP/8750rpm
最大トルク570Nm/6000rpm


・モノコックとボディワーク:
ダラーラ製サンドイッチカーボン/アルミハニカム構造/ザイロン素材のアンチ・イントリュージョンパネル


フロント&リアウイング:ダラーラ製カーボン構造
ボディワーク:カーボン/ダラーラ製のケブラーハニカム構造


・安全基準:
2024 FIA F1安全基準準拠
チタニウムヘイロー/F1仕様


・ギヤボックス:
ヒューランド製6速縦型シーケンシャル
ギヤ操作:パドルシフトによる電気油圧制御
クラッチ:ZFザックス製カーボン
車載スターター:非搭載
非油圧式ランプディファレンシャル


・サスペンション:
プッシュロッド式ダブルスチールウィッシュボーン
フロント:ツインダンパー&トーションバー
リヤ:スプリング
ダンパー:コニ製/フロント2方向/リア4方向調整可能
調整可能アンチロールバー前後


・タイヤ&ホイール:
OZレーシング製造マグネシウムホイール
フロント:18インチx12インチ
リア:18インチx13.7インチ
F2専用のピレリ製スリック/ウエットタイヤ
TPMS(タイヤ空気圧監視システム)搭載


・ブレーキ:
ブレーキキャリパー:6ピストンモノブロックキャリパー
ブレーキディスク&パッド:カーボンインダストリー製カーボン

AUTOSPORT web

「新型」をもっと詳しく

「新型」のニュース

「新型」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ