「残留を求められているようには…」リヴァプールからサウジ移籍のヘンダーソンが心境を明かす

2023年9月6日(水)22時58分 サッカーキング

現在はアル・イテファクでプレーするヘンダーソン [写真]=Getty Images

写真を拡大

 イングランド代表MFジョーダン・ヘンダーソンが、今夏の移籍を振り返った。イギリスメディア『アスレティック』が5日に同選手のコメントを伝えている。

 今夏のマーケットでリヴァプールを離れ、サウジアラビアのアル・イテファク加入を決めたヘンダーソン。2011年夏にサンダーランドより完全移籍加入してから12シーズンを過ごし、元イングランド代表MFスティーヴン・ジェラード氏の退団した2015−16シーズン以降はキャプテンを務めていたが、このタイミングで別れを告げることとなった。

『アスレティック』のインタビューに応じたヘンダーソンは「警鐘を鳴らすようなことがいくつかあったんだ。ユルゲンとは素晴らしい関係だし、彼は僕に対していつだって正直だった」と前置きした上で、自身が移籍を決断した理由を説明。今夏にブライトンからアルゼンチン代表MFアレクシス・マック・アリスター、ライプツィヒからハンガリー代表MFドミニク・ソボスライらが加入したことにより出場機会の減少が予想されたこと、クラブが積極的に残留を望んでいたわけではなかったことを明かしている。

「プライベートな内容はあまり詳しく話せないが、僕のプレー時間が少なくなることは確実だった。僕のポジションに新しい選手たちが来ることもわかっていたからね」

「もし、リヴァプールの関係者の誰か1人でも『君には絶対に残ってもらいたい』と言ってくれれば、このような話をすることなんてなかっただろう。彼らが僕をクラブから強制的に追い出そうとしたことはなければ、出て行って欲しいと言われたこともない。だが、残って欲しいと思っているようには感じられなかった」

 このように感じたヘンダーソンが新天地として選んだクラブは、かつてリヴァプールで共に戦ったジェラード監督が率いるアル・イテファクだった。今夏の移籍マーケットにおいて“サウジアラビア勢”は大型補強に動いており、ブラジル代表FWネイマール、元フランス代表FWカリム・ベンゼマ、同MFエンゴロ・カンテら数々のビッグネームの加入を発表した。クラブの多くはスター選手たちに対して“高待遇”を用意しており、ヘンダーソンが受け取ることになる週給は70万ポンド(約1億3000万円)ほどと報じられている。この金額はリヴァプール時代と比較しておよそ4倍となるが、ヘンダーソンはこの金額を「事実ではない」と否定。「信じるか信じないかは人それぞれだ。でも、僕の人生とキャリアにおいてお金がモチベーションになったことは1度もない。決してね」と話し、移籍の決め手は金額面ではないと語った。

 また、ヘンダーソンのサウジアラビア移籍を巡っては、LGBTQ+に関連する多くの団体が反発を示したことでも話題となった。というのも、ヘンダーソンはイングランド代表の一員としてEURO2020に出場した際に「レインボーレースキャンペーン」(※LGBTQ+などへの連帯を示すため、性的指向の多様性を表す虹色の靴紐を付ける動き)の支持を公の場で表明するなど、イングランドサッカー界を代表するLGBTQ+への理解者の1人でもあった。だが、サウジアラビアでは同性愛は違法となっており、違反した場合は死刑を宣告されるケースもある。LGBTQ+のイングランド代表サポーターグループである『3LionsPride』やリヴァプールの『Kop Outs』は公式声明を通してヘンダーソンの移籍に反感を示していた。

 ヘンダーソンはこれら一連の動きにも言及。「僕は誰かを傷つけようと思って今回の移籍を決めていない。常に大義やコミュニティを助けることを大事にしてきた」とした上で「自分が関わってきた様々な活動だけでなく、それ以外の活動についても、常に気にかけている。これらの行動を批判され、僕が彼らに背を向けたと言われたことは、本当に、本当に傷ついた」と率直な心境を明かした。「今の僕にできることは謝ることだけなのだろう。だが、僕はこの移籍を受けて人として変わったわけではない。LGBTQ+コミュニティには家族も友人もいるんだ」と発し、これまでの行動も自らの正直な気持ちで取り組んだものだと主張している。

「僕はこれまで、LGBTQ+コミュニティのために自分にできる最大限のことをしてきた。靴紐だって、キャプテンマークだって、嘘偽りの気持ちを持って着けたものではない。自分のプロフィールを使って彼らの力になろうと、そんな想いからコミュニティの人たちと話をしてきた。それが僕がこれまでにしてきたことのすべてだ」

「(サウジアラビアでの同性愛について)宗教の一部だから、すべてを知って理解するのは難しい。僕は新天地でも虹色のキャプテンマークを巻きたいと思っているが、それが彼らの宗教を軽んじているのであれば、それも間違っている。僕は誰もが宗教や文化に敬意を払うべきだと思う」

サッカーキング

「イングランド」をもっと詳しく

「イングランド」のニュース

「イングランド」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ