SUGOで新たな名バトル。チャンスを待ち続けたAstemo塚越広大 vs タイヤ選択で誤算があったARTA大湯都史樹

2023年9月18日(月)12時5分 AUTOSPORT web

 途中に赤旗中断があるなど大波乱の展開となった2023スーパーGT第6戦『SUGO GT 300km RACE』。再開後のレース後半は17号車Astemo NSX-GTの塚越広大と8号車ARTA NSX-GTの大湯都史樹によるトップ争いが白熱し、最後まで緊張感の高いバトルが繰り広げられた。


 赤旗からの再開時は17号車が先行していたが、その背後につけていた8号車の大湯が52周目の1コーナーで一瞬の隙をついてインに飛び込みトップに浮上。その後はGT300クラスとの兼ね合いで2〜3秒のギャップができることはあったが、常に2台が接近した状態でレース終盤に向かっていった。


 そして、チェッカーまで残り10周を切った76周目の最終コーナーでGT300の車両をアウトから処理しようとした8号車に対し、17号車はイン側から抜きにかかり、そのまま8号車も攻略。最後は7秒のリードを築いてトップチェッカーを受けた。


 結果的に17号車が再車検不合格で失格となり、8号車が繰り上がりで優勝という何とも言えない決着のつき方となったものの、約30周以上にわたって繰り広げられた白熱のバトルは、サーキットに詰めかけた多くのファンを魅了したのは間違いなかった。


 振り返ると、後半スティントの最初は8号車が優勢で、終盤になると17号車のパフォーマンスが高かったように見えた。お互いのタイヤ選択や戦略などが影響しているのかと思われたが、実際にはふたりとも全力を尽くしたスティントだったと振り返る。

GT500内でも常にトップクラスの早さと言われる17号車 Astemo NSX-GTのピット作業。今回の決勝でも大きな武器となった


■「GT300との混走でチャンスが生まれないとなかなか抜けない」塚越広大


「タイヤのマネジメントが必要だというのは(以前から)課題としてあったので、そのあたりは考えながら走っていました。ただ、そこで大湯選手をわざと前に出したということはなかったですし、後半はああいうチャンスが出てくるか分からないなか、残り周回数のなかで自分たちがどうしなきゃいけないかは考えていました」


 そう語るのは17号車の塚越。サクセスウエイトでは8号車より32kg重い状態ということもあり、GT300との混走でチャンスを探るしかない状況だったという。


「サクセスウエイト的に8号車の方が有利だということは分かっていました。僕たちはクルマのペースとしてはすごく良かったですが、GT300を使ったチャンスが生まれないとなかなか抜けないなと思っていました。そのチャンスが出てきて本当に良かったです」


 ただ、8号車の先行を許してしまったところは、塚越自身も悔しさが残っている様子。


「大湯選手にあそこで抜かれないで押さえられていたら、もう少し違う展開に持っていけたかもしれません。そこは反省して、次回走りに活かしたいと思います」と塚越は語った。


 このときは暫定結果で1位の状態だったが、再車検でスキッドブロックの厚みが規定値を満たしておらず失格の裁定に。自身のSNSで「申し訳ない。車検失格となってしまいました。たくさんの応援ありがとうございました。残り2戦で巻き返します!!」とコメントを投稿していた。




■「選んだタイヤが予定より保たなかった」大湯都史樹


 一方、トップを守りながらも最後は逆転を許してしまった大湯。「行けるタイミングで行こうと思っていました」と、序盤から隙があれば17号車の攻略を念頭においてレースを進めていた。


 52周目のオーバーテイクについても「あれはすごく良いオーバーテイクになりました」と語る大湯。そこから先の走りで“想定外のこと”が起きていたという。


「(17号車を)抜いてから少しの間はペースが良かったですけど、そこから怪しくなっていきました。もちろんマネージメントはしていましたけど、そういった問題ではないくらい(パフォーマンスが)落ちていきました。最後は本当に大変でしたが、そこを何とか耐えながら走っていました」


 それでも「個人的には展開を含めてうまくいっていれば、ペースが悪いにせよ抑えきれていたかなと思う部分はあります」と大湯。残り9周で迎えた最終コーナーでのGT300車両の処理は、致し方ない状況だったという。


「あのときは、GT300との兼ね合いで行く場所がなくなったところで、後ろ(17号車)の方が(動く方向を)選べるので、それで抜かれてしまいました。あれ自体は防ぎきれなかったですけど……あれがなければ最後まで抑えきることができたのかなと思います。僕自身としてはベストを尽くせましたけど、悔しさはあります」


 また、17号車と比べてもスティント後半でペースが落ち気味になってきていたことについては、路気温の低下によるコンディション変化よりも、選択していたタイヤの特性が大きかったと分析する。


「(路気温が)下がることは予想していましたので、その部分は問題なかったのですが、選んだタイヤが予定よりも保ちが良くなかったのが予想外でした」


 暫定表彰式後は悔しい表情を見せていた大湯。しかし、17号車の再車検不合格により繰り上がり優勝となり、グランドスタンドを埋め尽くしたファンが皆帰り、照明も落ちた表彰台で野尻智紀とともにトロフィーを持っている写真がSNSで公開された。



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