86/BRZ第8戦:寿一と服部の猛攻防いだ菅波が初優勝。クラブマンは最終戦前にチャンピオン決定

2018年9月25日(火)12時29分 AUTOSPORT web

 GAZOO Racing 86/BRZ Raceの第8戦が、9月22〜23日にツインリンクもてぎで行われ、クラブマンシリーズは水谷大介(ネッツ東京レーシング86)が初優勝。そして2位となった庄司雄磨(OTG DL 86)が、最終戦を待たずにチャンピオンを獲得した。プロフェッショナルシリーズでは菅波冬悟(OTG DL 86)が、初優勝を飾っている。


 金曜日に行われた練習、そして専有走行は雨に見舞われたこともあり、土曜日の予選はまさにぶっつけ本番にも近い状況となっていた。


 直前にも雨が降り、すでにライン上は乾いていたとはいえ微妙なコンディションのなか、1組の後半から走り出した庄司は、それまでトップだったスーパーFJ岡山チャンピオンでもある大島和也(Team MDI/BSR86)にほぼ1秒の差をつけて逆転。3番手には神谷裕幸(N中部GRGミッドレスDL86)がつける。


 続いての走行となった2組では、路面状況がより向上したことで、全体的にタイムは1組を上回り、トップタイムをマークした中島佑弥(GB CAMP 86)がポールポジションを獲得することとなり、その後ろに水谷大介(ネッツ東京レーシング86)と北見洸太(ケーエムエスフェニックス86)が並ぶこととなった。


「FJ1600から始まって、もてぎはいろんなカテゴリーでそれなりに走っているので、ミスしてもごまかし方はなんとか(笑)。アンダーステアがきつかったし、ミスもいくつかしているんですが、クルマに合わせて走るイメージにしたら、けっこうタイムが出たという感じです」と、初ポールを喜ぶ中島。


 これに対し「ポール獲り逃して『クッソ〜』という感じです。路面が良くなかったのもあるので、仕方ないというか、まぁ大丈夫です」と庄司は悔しそう。それでもチャンピオンに王手をかけていることもあり、「今回で決めちゃいます!」と力強く宣言していた。


 続いて行われたプロフェッショナルシリーズの予選で路面はドライに転じていたが、やはり後半の方がコンディションは良くなっていったため、それぞれアタックは1周のみというのは普段と変わらなかったものの、アタックのタイミングは3グループに分かれる格好となった。


 まず計測開始と同時にアタックしたグループでトップは、密山祥吾(埼玉トヨペットGB86)が獲得。「僕もびっくりしました。けっこういい感じで走れたので、最終コーナーのところの電光掲示板で『どのあたりのポジションかな?』と見たんですが、僕の番号がなくて。がっかりしてピットに戻ってきたら、みんな大喜びしていて、3桁ゼッケンだから全部表示されないと、そこで聞かされました」と密山。これに菅波、服部尚貴(OTG DL 86)、松井孝允(NETZ富山Racing 86)が、まずは続く。


 次のグループは、10分経過のところから走行を開始。ここで一躍トップに立ったのが青木孝行(ケーエムエスフェニックス86)で、菅波と服部の間に、脇阪寿一(ネッツ東京レーシング86)が割り込んでくる。


 最後のグループは残り4分を切って、ラストアタックにすべてを賭けていた。失敗しても、チェッカーが振られて取り戻せないタイミングではあったが、なんと先頭で行ったはずの谷口信輝が「失敗しちゃった。トラブルではないよ」と最下位のタイムに甘んじたと思ったら、なんとその直後に行った佐々木雅弘はミッションから白煙を上げ、コース脇にストップ……。


 嘆願書で佐々木は決勝レース出場を許されたが、ランキングのトップと2位が最後列からスタートする羽目となっていた。


「僕は予選の途中から先頭で行って、みんながスリップストリームを欲しがっていて、僕は我慢できずに行ったんです。こういう雨上がりの路面だから、後から走った方がいいんですが、後ろに行くほど前のクルマの影響を受けやすいというか、前でスピンされたら後ろの車両は“全滅”ですよね。その兼ね合いが難しいけど、今回は僕のタイミングが良かったかな。まぁ、まわりに誰がいようと、いつものように自分のレースをやるだけです」と青木。


 決勝レースはクラブマンシリーズ、プロフェッショナルシリーズともに、日曜日は天候にも恵まれたこともあって、完全なドライコンディションのなかで行われた。


 まずはクラブマンシリーズの決勝レース。中島、庄司とも好スタートを切った一方で、大島はスタートに出遅れたばかりか、後続集団に飲み込まれて順位を落とす。そこは経験の少なさか。


 1周目を終えた段階で早くも中島、庄司、水谷が後続を引き離し、トップグループを形成。そのなかで早々と動いたのが水谷だった。


 まずは3周目の90度コーナーで庄司をかわす。続いて水谷は中島にも襲いかかり、6周目のヘアピンでトップ浮上。中島は90度コーナーで庄司にも抜かれて、3番手に後退した後は、思うようにペースが上げられなくなり、トップグループからも脱落してしまう。

クラブマンは水谷大介(ネッツ東京レーシング86)が初優勝


 一方、水谷と庄司のトップ争いは最後まで続くも「序盤は徹底的に、タイヤもブレーキもセーブしていたので、最後までペースを抑えず走り続けることができました」と語る水谷が逃げ切りに成功。嬉しい初優勝を飾ることとなった。


「チャンピオンは現実的に無理だとわかっていたので、だったら優勝を。1回は勝っておかないといけないんで。木曜日から調子が良かったんで、これはいけるかもと思ったんですが、そこで調子こいてやらかすのが、いつものパターンなんで、今回は本当に気をつけて走っていて良かったです」と水谷。


 そして神谷が序盤の接触で順位を落とし、さらにペナルティも受けてノーポイントに終わっていたことから、2位でゴールした庄司が最終戦を待たずにチャンピオンを獲得した。


「勝って(チャンピオンを)決められたら、もっと良かったんですが、自分の未熟な部分が出たレースではありました。先を見据えて走らなかったから、後半きつくなってしまって。チャンピオンを獲れたのは、すごくいいことだと思いますけど、ちょっと課題も残してしまいました」と、栄冠を獲得した直後だからこそ、そう自分を冷静に分析していた。


 3位は花里祐也が獲得し、予選7番手からのジャンプアップで初の表彰台へ。中島は5位でのゴールで終わっていた。

86/BRZ第8戦プロフェッショナルシリーズ決勝


 プロフェッショナルシリーズの決勝レースは、青木がスタート直後に突然失速、「十勝の第7戦と同じトラブル」というから、エンジンが吹けなくなってしまったようだ。これにより、3コーナーで密山がトップに浮上し、菅波、脇阪、服部を従えて1周目を終了。青木は3周目にピットに戻って、リタイアすることに。


 トップを行く密山は防戦一方で、ブレーキやタイヤの酷使が中盤以降のペースを乱してしまう。そこに迫ってきたのが、菅波だった。7周目の1コーナーのチャージこそかわされてしまうが、次の周のやはり1コーナーで勝負をかけて、菅波は密山の前に出る。


 それで密山が動揺したわけではなかろうが、3コーナーでは脇阪と服部にも相次いでかわされ、その後に接触まであって5位でゴールするも、ペナルティで大きく順位を落とすこととなる。


 一方、トップに立った後の菅波は、若手らしからぬ堂々たる走りを見せて、最後までレジェンドのふたりを寄せつけず。見事初優勝を飾ることとなった。

プロフェッショナルシリーズで初優勝を飾った菅波冬悟(OTG DL 86)


「本当にホッとしました。走っていても終始ミラーに映っていたのが服部さんと寿一さん。もうすごいプレッシャーでした。でも、用意してもらったクルマがすごく良くて、ペースで優っていたと思うので、勝てて良かったです。前半、前を追いかけている時は離されるほどではなかったので、ブレーキとタイヤをセーブして、後半ちゃんと勝負をかけられるところで前に出ることができました!」と菅波。


 2位の脇阪は、これが参戦3年目の初表彰台に。「やっとですね。このチャンスを逃したら、いつチームのみんなに表彰台がプレゼントできるか分からないし。気持ち良くやってくれているので、優勝じゃなかったけど、表彰台をプレゼントしたいという目標がかなって良かった」と、スタッフの努力に感謝の思いも欠かさなかった。


 4位は予選14番手だった織戸学(サミー☆K−one☆MAX86)が獲得。抜きどころの少ないもてぎにも関わらず、激しい追い上げを見せていた。一方、谷口も佐々木も入賞圏には届かなかったものの、ファステストラップを谷口が記録して1ポイントを追加。


 その結果、谷口のトップは変わらず。10ポイントを加えた織戸が、2位に再浮上して14ポイント差で追いかけ、3位となった佐々木までが18ポイント差で、王座獲得の権利を残すこととなった。最終選が大いに楽しみだ。


 全8大会9戦で構成されている2018年のGAZOO Racing 86/BRZ Race、その最終ラウンドは10月27〜28日に鈴鹿サーキットで開催される。


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