全日本F3選手権:第8ラウンド富士で坪井翔の連勝&最多勝記録更新なるか!?
2018年10月5日(金)15時0分 AUTOSPORT web
10月5〜6日に、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された全日本F3選手権の第7ラウンド。このレースでは4レースとも坪井翔(カローラ中京 Kuo TOM’S F317)が優勝を飾り、第15戦で2018年のチャンピオンを決めている。今季の全日本F3は10月19〜20日の富士大会のみだが、ここで坪井には記録更新のチャンスが出てきそうだ。
全日本F3選手権参戦3年目となる坪井は、今季は開幕ラウンドの鈴鹿で連勝。さらに続く第2ラウンドのSUGOでも連勝を重ねた。第3ラウンドの富士では、5連勝を飾るも、続く第6戦でまさかのスタート失敗。ファイナルラップで1秒差まで追い上げるも、チームメイトの宮田莉朋(カローラ中京 Kuo TOM’S F317)に初優勝を譲っていた。
さらに岡山での第7戦でも、宮田がポールポジションスタートから坪井を抑えきり連勝を飾ったが、そこからはふたたび坪井の連勝が続く。第5ラウンドのもてぎではポールポジション、ファステストラップとすべて獲得するパーフェクトな戦いをみせ、さらに雨に見舞われた第6ラウンド岡山でふたたびパーフェクト。SUGOでの第7ラウンドでは第16戦のファステストラップこそ逃したものの4連勝。第8戦からの連勝は10となり、年間の勝ち星も15となっている。
この坪井が打ち立てた10連勝/年間15勝という数字は、2001年に全日本F3選手権が1ラウンド2レース以上で開催されるようになってから、最多タイのものとなっている。これまでの記録は、連勝記録は2010年に国本雄資(PETRONAS TEAM TOM’S・10年にチャンピオン獲得)が開幕からマークした10連勝、最多勝は01年にブノワ・トレルイエ(無限×童夢プロジェクト・01年チャンピオン)がマークした15勝だ。なおトムス勢では2003年にジェームス・コートニーが、13年には中山雄一が年間13勝を記録している。
もし第18戦で坪井が優勝を飾れば、11連勝となり連勝記録を更新するほか、第18戦/第19戦のどちらかで優勝できれば、年間最多勝更新となる。ちなみに、トレルイエが最多勝を獲得した2001年も年間19レースが開催されている。ただ03年は20レース、13年は15レースと異なっており、イコールではないこともお断りしておこう。
なお、チーム部門とエンジンチューナー部門のタイトルもすでにカローラ中京 Kuo TEAM TOM’Sとトムスが獲得しているが、チーム部門はカローラ中京 Kuo TEAM TOM’Sが全戦フルポイントの10点を加算し続けている。2013年は中山と勝田貴元により15戦中13レース、2010年は国本とラファエル・スズキにより16戦中13レース、09年は井口卓人、国本、マーカス・エリクソンにより16戦中14レースでフルポイントを獲得しているが、今季19戦すべてで10点加算となるのかも注目のポイントだろう。
2016年にF3にステップアップした坪井は、1年目はチームメイトでもあった山下健太が、2年目にはライバルとして高星明誠が前に立ち塞がり、タイトルには手が届かなかった。その時の思いを「昨年は高星選手の記者会見を聞いている立場でした。あのときの悔しさは覚えています」と振り返っている。
今季の坪井は、これまでの2年の悔しさを返すべく「3年目でチャンピオンを獲れなければ先は無いと思っていました」と、速さに加え強さを身につけているのが感じられる。ただもちろん、ライバルたちも決して坪井の逃げ切りをただ許していたわけではない。
宮田はいつも坪井との僅差の戦いを演じているし、後半戦に調子を上げている笹原右京(THREEBOND)も、もてぎ戦以降良好なセットアップを見出した金丸悠(B-MAX RACING F3)も表彰台圏内をうかがい続けている。「勝って当たり前の状況ではなかったですし、難しいところもありました」と坪井は第17戦の後に語ったが、決して見た目以上に“楽勝”ではなかった中でのこの数字は、賞賛されるべきものだろう。
果たして第18戦/第19戦も、すでに将来を見据え「勝ち続けたい」という坪井が記録更新を果たすのか、それとも、このままでは終われないライバルたちが一矢報いるのか。全日本F3選手権の今季最終ラウンドは、“消化レース”ではない戦いが展開されそうだ。