ETRC:第7戦ル・マン。帝王ハーンが2勝を挙げ、自身5度目のチャンピオン獲得
2018年10月6日(土)10時0分 AUTOSPORT web
2018年シーズン後半戦は短い開催スパンで怒涛のようにレースが開催されてきたETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ。9月29〜30日に第7戦がフランス・ル・マンで開催され、土曜のレース1、日曜のレース3を制したヨッヘン・ハーン(ヨッヘン・ハーン・レーシング/IVECO)が最終戦を前に自身5度目のシリーズチャンピオン獲得を決めている。
8月のサマーブレイクが開け9月1〜2日に第5戦チェコ・モスト、15〜16日に第6戦ベルギー・ゾルダーと開催されてきたシーズンは、9月3戦目となるル・マン、ブガッティ・サーキットが舞台に。
世界的で最も有名なサーキットのひとつ、24時間レース開催のホームストレートからユノディエール進入前で最終コーナー方面に折り返すパーマネント・レイアウトの全長4185mのサーキットでの勝負に。
そこで週末最初のポールポジションを獲得したのはサッシャ・レンツ(SLトラックスポーツ/MAN)となったが、“帝王”ハーンは続くレース1のスタートで早々にポールシッターを仕留めると、そのままレースを支配。
後続とのギャップを保ち、チェッカーを受ける際にはお馴染みとなった“パワースライド”を決める余裕を見せ今季9勝目。これで20ポイントを加算し、選手権ライバルの現王者アダム・ラッコ(バギラ・インターナショナル・レーシング・システムズ/フレートライナー)に対して80点差とし、早々にタイトル王手を掛ける状況となった。
続く午後のレース2は、リバースポールから戦ったアンドレ・クルシム(Don’t Touch Racing/IVECO)が首位を堅持し今季3勝目。2位にシリーズ紅一点の実力者、シュティフィ・ハルム(チーム・シュワーベントラック/IVECO)が続き、最後の3位表彰台にはラッコが入ったものの、その後方4位には8番グリッドから挽回を見せたハーンが入り、ディフェンディングチャンピオンの追撃を許さない勝負強さを見せつけた。
その勢いのまま臨んだ日曜早朝のスーパーポールセッションでは、ハーンが今季6度目のポールポジションを獲得すると、前日の逆襲に燃えるフロントロウ・スターターのレンツを完全に封じ込め、老獪なディフェンスを披露。
一方、ラッコのフレートライナーは上位進出を目指したものの、レース後半はレネ・ラインアート(ラインアート・レーシング/MAN)とのバトルでタイムを失い、11周のチェッカーを受けたときには9位止まりに。この瞬間、ハーンのETRC前人未到となる5度目のドライバーズチャンピオン獲得が決まった。
「もちろん、5回もチャンピオンが獲れるなんて最高の気分だ。でも一番大切にしなくちゃいけないことは、レースを楽しみ、競争相手との勝負を満喫することだ」と、ベテランらしい矜持を語ったドイツ人王者ハーン。
「イタリア・ミサノでの開幕戦時点で、我々のIVECOとチームのパッケージングは本当に強力だと感じていた。だから今季はシリーズチャンピオンを獲りに行く、と公言することができた。こうしてチャンピオンになり有言実行できたことは最高の気分だね」
「ル・マンに来た時はラッコと66ポイント差があったので、あまりプレッシャーを感じてはいなかった。しかしミスを避け、レースで勝たなくてはならないことに変わりはない。我々はすでに来季に向けてのチームビルドを始めているし、IVECOとともに今後の数年間もこのリピートを狙っていくと宣言しておこう」
ブガッティ・サーキットでの週末最後のレース4は、スペイン出身のアントニオ・アルバセテ(トラックスポーツ・ルッツ・ベルナウ/MAN)が勝利を飾り、2位にライアン・スミス(OXXOハンガリー・トラック・レーシングチーム/MAN)、そして3位表彰台にハーンが上がり、選手権リードを100ポイント以上に拡大している。
残る最終戦もタイトなカレンダー構成での連戦となり、この週末となる10月6〜7日にスペイン・ハラマでシーズンフィナーレを迎える。