GPDA会長ブルツ「レース後の様子は決して素晴らしいものではなかった」F1の暑さ対策として『冷却シート』に注目

2023年10月13日(金)12時3分 AUTOSPORT web

 グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)の会長を務めるアレクサンダー・ブルツは、先週末のF1第18戦カタールGPで大きな影響を及ぼした極端に気温の高いコンディションにドライバーが対処する際の一助として、冷却シートが実現可能な解決策になると考えている。


 3度の世界チャンピオンのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、ロサイルの酷暑と高い湿度のなかでの57周は、これまで耐えたなかでも最も過酷なレースのひとつだったと言い表した。他のドライバーは、過酷なレース終了後に脱水症状と熱疲労に見舞われて、自力でマシンを降りるのに苦労する始末だった。


 ウイリアムズのルーキーであるローガン・サージェントは、さらに運が悪いことに心臓に影響が出て体調を崩し、医療支援が必要になって40周目にリタイアを余儀なくされた。




 FIAは月曜日、先週末にF1ドライバーたちが経験したひどい身体的負担の再発を今後どのように防ぐことができるか調査を行うと発表した。ブルツは、ドライバーがさらされる暑さの限界を決めることに、F1は目を向ける時だと主張し、「複数の要因があり、全員が理解する必要がある」と『BBC』のF1特派員アンドリュー・ベンソンに語った。


「最初に私が考えたのは、ドライバーを阻害する要因として暑さが挙げられる他のカテゴリーでの教訓を巡るものだ」


「たとえば冷却シートは非常にうまく機能するし、製作と設置もそれほど難しくない。これにはすべてのチームがすでに注目しているはずだ」


「非常に高温になる電気系統のボックスのために、より優れた絶縁体あるいは空冷が必要だ。ボックスはドライバーのシートの近くに設置されることが多い。もしくは、今後は高温の油圧ラインのルートを変更して、ドライバーのシート環境がオーバーヒートしないようにすることだ」


「ルール全体では、マシンの多くの部分にテストと制限が設けられている。ドライバーがあらゆるパフォーマンス要素のひとつであることを考えると、彼らがさらされる暑さの限界を決めることに目を向けるタイミングだろう」

2023年F1第18戦カタールGP スタート


 ブルツは、少なくともF1ドライバーが行う身体的準備を考慮すると、健康レベルは身体的な抵抗力を制限する要因ではないと退けた。特に暑さの影響への耐性は、身体的健康と必ずしも関連しておらず、「『ジムの会員証をやる、さっさと行け』と言うのは単純すぎる」と述べた。


 また、新しい耐火素材がドライバーの安全性を向上させる一方で、熱疲労を引き起こす要因であることを指摘した。耐火素材の一部は2020年にバーレーンで起きた、火災を伴ったロマン・グロージャンのクラッシュを受けて開発された。


「あれは身体を熱くする。最近私は新たに義務付けられた耐火素材を身に着けてマシンのテストを行ったが、その暑さにショックを受けた」


「もちろん耐火素材は非常に正当な理由があって存在しているし、耐火基準をふたたび低くすることを提案しているわけではない。しかし何が起きているのか知らない人々に言うならば、これは多くの要因のうちのひとつだ」


 先週日曜日にドライバーの抵抗力が試された要因は、カタールの猛暑と湿度だけではなかった。FIAがタイヤ寿命を制限するために、複数のスティントが必要になったレースは全開のペースで展開したため、ドライバーは余力まで使い果たさなければならなかった。


「アスファルトはひとたびダストがなくなると、非常にグリップが高くなることがわかった。レースはいつものように熱によるタイヤの摩耗を管理するものにはならなかった。それ自体が非常に興味深い事実だ」


「しかし暑さについての議論にとって、このことはさらに重要な側面だ。つまりレースのラップタイムとドライビングスタイルはラップごとにプッシュされ、より多くの力とストレスを生み出すことになる」

2023年F1第18戦カタールGP 順位を争うニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)と角田裕毅(アルファタウリ)


 ブルツは、自身のグランプリドライバー時代には体力的に厳しいレースに相応に耐えていたが、ロサイルのコンディションはかつてないほどの厳しさだったと純粋に考えたという。


「彼らは激しい戦いをするドライバーたちだと私は保証できるし、このレース後の様子は決して素晴らしいものではなかった」


「この件は、チームのみが緩和策を取る必要があるのか、もしくはルールの修正や策定が必要なのかということを決めるために、フォローアップされなければならないと私は確信した。この件についての議論をいくつか目にしているが、冷静になって系統的に進めていきたい」

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