スーパーGT:チャンピオン争い天王山の第7戦オートポリス。山本、野尻、キャシディに聞く週末の展望

2018年10月19日(金)19時16分 AUTOSPORT web

 10月20〜21日に大分県日田市にあるオートポリスで開催されるスーパーGT第7戦。このオートポリス戦も含めて、シーズンは残すところあと2戦でシリーズチャンピオン候補も絞り込まれてきた。また、これまで積み重ねてきたハンデウエイトが半分となるのも、最終戦の1つ前となる今レースのキーポイント。そこで、搬入日となる19日(金)、現在スーパーGT500クラスのランキング上位につけるドライバーたちに、週末への意気込みと展望を聞いた。


■唯一、燃リス調整を受けるRAYBRIG山本「今年は過去一番影響が少ないシーズンかも」


 前回の第6戦SUGOで今季初勝利を挙げた上、開幕戦と第3戦ではいずれも2位表彰台を獲得して、現在ランキングトップにつけているRAYBRIG NSX-GT。シリーズ初フル参戦のジェンソン・バトンをリードする形で、チームを引っ張る山本尚貴は今回も“いつも通りに戦うだけ”だという。


「もちろんタイトルを争っているので、まったく(タイトル争いを)考えていないということはないですけど、考えたところで何も始まらないですから。ただ勝った後のレースということで、より気を引き締めて、より一層仕事がうまくはかどるように。さらにいい結果を続けられるように努力していきたいと思っています」


「今回、他のタイトルを争っているクルマよりは、当然前でゴールしたいですし、それができれば最終戦がより楽になります。でも、それを計算しながらレースを戦っているわけではありませんし、勝つことだけを考えていれば。シンプルに考えればいいと思いますし、勝ったものがチャンピオンになると思っているので、それだけです」


 そのRAYBRIG NSXは、8月28〜29日に行われたタイヤメーカーテストでオートポリスを走っている。その時の感触や手応えはどうだったのだろうか?


「メーカーテストの時は、あまり良くなかったですね。気温・路面温度がかなり高かったですし、持ち込んだタイヤがレンジからちょっとハズレ気味だったので」


「もちろん走らないよりは走った方が良かったんですけど、そのデータが丸々生かせられるかというと、そういう感じでもないので、またリセットされちゃうかなと思っています」


「今回の大会に向けては、クルマのセットアップも含めて、タイヤもなるべくピックアップが少ない物を持ち込んでいますが、そこは走ってみないと分からないですね。ただ、週末の天気を見ていると、あまり気温が上がらないようなので、それほどピックアップは心配しなくていいコンディションになるかなと思います」


 また、RAYBRIG NSXは、今回の搭載ウエイトが61kgで、唯一燃料流量リストリクター(燃リス)による性能調整を受けるが、その影響はどのように捉えているのだろう。オートポリスのコースは前半と後半、2カ所の上り区間があるわけだが、そのあたりで影響はないのか。


「そこはあまり関係ないんじゃないですかね。関係あったら、(燃リス調整を受けて臨んだ)前回のSUGOで勝っていないですし、今年は特に、うまくセットが決まって、エンジンのパフォーマンスが引き出せれば、あまり燃料リストリクターだったり、ウエイトが効く感じでもないのかなと思います」


「物理的には軽いクルマが有利ですし、僕たちが不利なのは不利なんですけど、過去何年かと比べても、一番(燃リスやウエイトの)影響が少ないシーズンなのかな? と」


「ただ、実際には走って見ないと分からないですね。前回のSUGOも正直勝てるとは思っていませんでしたけど、いざ走り出したら(マシンの)グリップレベルが高くて。それで『うまくいけば勝てるかもしれないな』と思いました。今回も、それぐらい最初の走行が重要だと思います」


■野尻智紀「重いからといってQ1で落ちるつもりもポイント圏外でレースするつもりもない」


 そのRAYBRIG NSXを12ポイント差で追っているのがARTA NSX-GT。今季は第3戦鈴鹿での優勝だけでなく、前戦SUGOでも2位表彰台を獲得するなど、安定して上位で戦っている。若きエースとして、そのARTAを牽引している野尻智紀は、今回のオートポリスに向けても気合充分だ。


「ランキングも2位で、これまで順調といえば順調ですし、みんな手応えも感じています。チームとして、いい雰囲気のなかでここに来ています。そういう流れとか、チームとしての勢いをここでもう一発出したいですし、オートポリスでしっかり結果を残すことによって、もてぎに向けての流れをしっかり作っていかないといけません」


「落とせるレースはもうないので、今回ももてぎもしっかり獲っていくつもりで戦いたいと思います。現状、僕たちはランキングトップでもないので、挑戦者、チャレンジャーとして臨むレースになりますが、今回100号車(RAYBRIG NSX-GT)よりは上でゴールしなければいけないと思っていますし、12ポイントという差を縮めなければならない」


「最終戦のもてぎで勝てば、その時点でチャンピオンになっているという状況に持ち込みたいですし、それが可能になるような位置で今回のレースを終えられれば、僕たちにとって非常にいいレースができたと言えるでしょうね」


 そのARTAは、ここまで49ポイントを獲得しているため、今回は49kgのウエイトを搭載。これはARTA NSXがもっとも車重の重いクルマということを意味する。その影響について、野尻はどう考えているのか?


「もちろんウエイトがある分、難しい戦いになるのは間違いないと思います。ただ、タイトルを獲っていくようなチームというのは、ウエイトを積んでいても、決勝になったらしっかり上位に上がったりというところが非常に重要です」


「また、今のクルマはホンダさんが開発面ですごく頑張ってくれて、ポテンシャルが非常に高いと思うので、重くてもしっかり上位で戦えるんじゃないかという期待感もあります。重いからといってQ1で落ちるつもりもないですし、ポイントを獲れない位置でレースをするつもりもありません」


「表彰台に絡んでいくようなところでレースできるんじゃないかと思っています」


■SUGOはノーポイントに終わった王者KeePer。「そこまで悪いことだったと思わない」とキャシディ


 ホンダの2台に続いて、現在ランキング3位につけているのは、ディフェンディングチャンピオンのKeePer TOM’S LC500。前回のSUGOではレース終盤にストップしてしまい、ノーポイントに終わったため、追いかける立場となったニック・キャシディだが、「前回、SUGOでポイントが獲れなかったのは、僕たちにとっては、そこまで悪いことだったとは思っていない」という。


「あのまま8位になっていたら、今回のオートポリスで燃料(流量)リストリクターの調整を受けなくてはいけなかったからね。燃リスの影響というのは、(各メーカーの)エンジンごとに違っているものだけど、僕の感触ではホンダやニッサンと比べて、レクサスの方が燃リスが入った時に厳しい状況になると感じている」


「逆に燃リスが入っていない場合には、とてもいいんだよね。だから今回はチャンスがあると思っている。基本的に、このサーキットではミッドシップのホンダがすごくいいと思う。特に、セクター3の上り区間でね。だから、彼らを倒すのは、とても大変だと思う。だけど、ベストを尽くすよ」


「なかでも、僕がもっとも起こって欲しくないと思っているのは、ピットストップの問題だ。去年、このサーキットでは、すごくいい結果が得られそうだったけど、ピットストップでの問題(ピットアウト後、運転席のドアが開いてしまうアクシデント)があったから、その点には気をつけないとね」


「クルマの速さ自体は、あまり気にしていないんだけど、ストラテジーやピットストップに関しては、とても気にしている。もしタイトルを狙うとしたら、ここで優勝を狙わないとダメだろうね。優勝できるかどうかは分からないけど、とにかく優勝を目指してプッシュしたい」


「条件が良くて速いクルマが多いと思うから、とてもタフだけどね。とにかくポイントリーダーとの差を9点以内には縮めて、最終戦に向かえればと思っているよ」


 各車が走り始めるのは、20日(土)の9時にスタートする公式練習からとなるが、一体勝負の行方はどうなるのか? まずはこのセッションでの勢力図が気になるところだ。


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