ルノーが表彰台独占、ペーニャが2度目の王座を獲得。シリーズは来季以降SUV化を検討へ/STC2000第11戦

2022年10月27日(木)16時54分 AUTOSPORT web

 南米アルゼンチンを代表するツーリングカー選手権、新生TC2000(旧スーパーTC2000)の第11戦が、10月22〜23日にコルドバ州北部アルタグラシアに位置するアウトドローモ・オスカー・カバレンで争われ、TOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)が、痛恨のジャンプスタート・ペナルティを受けたこともあり、日曜ファイナルはアクシオン・エナジー・スポーツSTC2000陣営が表彰台を独占。エースを務める2019年王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が自身2度目のシリーズ制覇を達成した。


 また、レースウイーク会期中にはトヨタ、ルノーに加えて、ホンダ陣営のプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングら参戦各マニュファクチャラーの現地法人重役やチーム代表級のメンバーが会合を開き、2023年以降もシリーズ継続を支持する意思を全会一致で確認。さらに来季を移行期間と位置づけ、将来的には「SUVをベースとした競技車両の技術開発と製造」に取り組む方針も示した。


 これまで4年にわたり定期的に実施されてきたシリーズ運営側ディレクターとチームオーナー級メンバーによる会合だが、今回はエントラントによるイベント管理、共同作業、および将来的な開催トラック数の増加と“SUVの導入”に関する一歩踏み込んだ議論が行われた。


「会議は非常に前向きなもので、すでに初会合から4年以上が経過したが、出席したすべてのチームが継続する意思を表明した」と語るのは、ルノー陣営アクシオン・エナジー・スポーツ代表のアレハンドロ・レジ。


「また自動車業界が向かっている場所に対し、我々としてもアクションを起こす必要がある。そのため、現在の市場で主流派を占めるSUVをレース車両に発展させるのに掛かる時間に関し、具体的に把握するべく近日中にテクニカルレポートを作成する予定だ」


 同じくTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのオーナーであるダリオ・ラモンダも「SUVに関しては、技術面での解決を待ってから、その実現可能性とその後の開発・製造の期限を評価することが期待されている」と発言し、ホンダ現地法人のコマーシャルディレクターで、さらに支援が強化された新体制でのチーム代表も兼任するビクトル・プルヴォアも「ホンダとしてもTC2000のSUV化に同行する。今日のアルゼンチン市場ではSUVが人々に好まれ、主流なスタイルであることを示しているなら、TC2000はそれに追随しなければならない」と、早くも2023年半ばから開発作業に取り組むことを示唆した。

将来的には「SUVをベースとした競技車両の技術開発と製造」に取り組む方針も示したTC2000シリーズ。ホンダは直近にもアルゼンチンでの4輪生産撤退を発表したが……
逆転王座に向け重圧の掛かる週末となったTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)
スプリント戦ではマティアス・クラヴェロ(ホンダ・シビックSTC2000)がスタートで抜け出し、シリーズ初優勝を達成した
昨季まではスポットでFDCモータースポーツのシトロエンC4ラウンジをドライブしていた22歳のクラヴェロが、今季初優勝組の仲間入りを果たした


■日曜ファイナルはルノーが1-2-3。ペーニャが自身2度目のチャンピオンに


 こうして始まった第11戦のレースウイークは、最初のフリープラクティスからホンダ陣営が先行し、エースカーの83号車をドライブするチャンピオン経験者、ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)がトップタイムをマークする。


 続く予選こそ5番手に沈み、マティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)にポールを譲ったものの、そのまま土曜午後に開催されたリバースグリッド採用のスプリント戦では、同じくホンダ・シビックの24号車に乗るマティアス・クラヴェロ(ホンダ・シビックSTC2000)がスタートで抜け出し、チリのフェリペ-バリオス・ブストス(ルノー・フルーエンスGT)やジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)らを抑え、シリーズ初優勝を達成した。


 週末を前にランキング2位のサンテロに41点差、同3位のシボレーYPFチーム所属ベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)に対して、45点差のマージンを構築していた選手権首位ペーニャは、この日曜ファイナルを前に自身の史上最年長チャンピオン獲得記録を更新する期待が集まったが、その肝心なレースは予想外の決着を見せる。


 ポール発進のミラとフロントロウ2番手に並んだ18歳の新鋭ホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)に対し、2列目に並んでいたペーニャ、サンテロのタイトル候補は、スタートから1コーナーに到達するまでに対照的な運命を辿り、5番手アルドゥソとFDCモータースポーツのフランコ・ビビアン(シトロエンC4ラウンジ)に絡んだサンテロのカローラ68号車は、競技続行不能なダメージを負い、ここでレースを終えてしまう。


 これで楽になったミラがトップチェッカーをくぐり、トヨタの新型TCR車両開発とデビューも任されたバリオが2位、そしてペーニャが3位でフィニッシュしたが、レース後にスポーツコミッショナーからの通達により「バリオのジャンプスタートに対し10秒加算のペナルティを課す」との宣告を受け、カローラの41号車は4位に降格。


 代わってこちらも弱冠17歳のイグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)が3位となり、ルノー陣営がポディウム独占の1-2-3を達成。この瞬間にペーニャが2019年以来自身2度目のチャンピオンを決め、最年長王者記録を47歳に更新する結果となった。


 これで残るはマニュファクチャラー・タイトルのみとなった2022年のTC2000シーズン。続く最終戦は、首都ブエノスアイレスから北に約320kmのエントレリオス州、アウトドローモ・コンセプシオン・デル・ウルグアイで争われる。

日曜スプリントで期待された王者争いは、意外なかたちで決着。ファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)もマシンを止めた
序盤は首位を快走した18歳の新鋭ホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)も、ジャンプスタートで10秒加算に
予選でポールを得ていたマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)が、日曜ファイナルも制する結果となった
最終的にルノー陣営が1-2-3を達成し、ペーニャが2019年以来自身2度目のチャンピオンを決め、最年長王者記録を47歳に更新する結果となった

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