実戦に勝る練習はなし　下部ツアー最終戦をキャンセルして松山にやってきた神谷和奏の思惑

神谷和奏はウェイティングからの出場（撮影：上山敬太）

写真を拡大

＜大王製紙エリエールレディス 初日◇14日◇エリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)◇6575ヤード・パー71

昨年11月のプロテストに合格したママさんルーキーの神谷和奏が、“ギャンブル”に成功した。前日の13日に現地ウェイティングによる繰り上げ出場が決定。10月の「富士通レディース」以来となる今季11試合目のレギュラーツアーでプレーした。

4バーディ・1ボギー・2ダブルボギーの「72」で64位タイと出遅れたが、「試合でしか試せないことがある。来てよかったです」と納得顔だ。今季12試合に出場した下部のステップ・アップ・ツアーは今週の「京都レディース」が最終戦。プロ1年目はステップには全試合に出場できるが、「最終戦には最初から出るつもりはなかった」と明かす。

週初めの11日にいたのは福島・五浦庭園カントリークラブ だった。メルセデス・ランキング131位、下部の明治安田ステップ・ランキングは118位。来年の職場を確保するには予選会（QT）で上位に入るしかない。1次QTのA地区にエントリーしているルーキーは、その会場となる五浦で2日連続の練習ラウンドを行っていた。

「最初の予定では、きょうは最終QT会場の葛城ゴルフ倶楽部を回るつもりでした。でも、空きがあってエリエールに出られるかもと聞いたので、来ることにしたんです」

自宅のある埼玉・三郷市から羽田空港に向かい、松山に入ったのが前日の水曜。ウェイティング登録を済ませた数時間後の午後5時には繰り上げ出場が決まった。今週は一打ごとに自分のやることを決め、その成否をメモに書き込む「メンタルスコア」を取り入れた。「初めてなので何度か忘れたしまった」と照れ笑いしたが、QTを前に実戦で試せたことに意義があった。「90％できたら合格。まだほど遠いけど、少しずつ手ごたえをつかんでいきたいです」。

もちろん出るからには予選は通りたい。「そうですね。ここまで来るのにお金もかかっているし、元は取って帰りたいです」。2021年9月に出産した長女・咲凛（えみり）ちゃんは3歳になった。自宅で帰りを待つ娘のためにも、ただでは帰れない。（文・臼杵孝志）