【崖っぷち折原コラム】チャンピオンチームのカメラマンとして感じる誇りと寂しさ

2017年11月14日(火)18時43分 AUTOSPORT web

 GOODSMILE RACING & TeamUKYOのカメラマンになってから、3度のチャンピオン獲得を目撃してきた。2011年に最初のチャンピオンを獲得した時は、チームを追いかけ始めた1年目だった。F1をメインに活動していた時期だったので、ドライバーやスタッフとの交流も少なく、嬉しくはあったがカメラマンとして冷静に見ていた記憶がある。


 2度目のチャンピオンは2014年だったのだが、この時は最初のチャンピオン獲得とは大きく変わっていた。オフィシャルカメラマンとしてチームにも認知されていたし、谷口(信輝)選手や片岡(龍也)選手とも話す機会が増え、僕がピットに居ることが当たり前になってきた。


 そんな中での2度目のチャンピオン獲得は、感動も味わえたし撮影していて楽しくもあった。思えばこの頃から僕の意識が、カメラマンと被写体の関係を越え出したのかもしれない。

 今回、3回目のチャンピオンを獲得したわけだが、僕とチームの関係も当然濃いものに変わっている。撮影したいことや撮影しなければならないことに対し、メカニックさんは面倒な事案やタイミングでも嫌な顔ひとつせず協力してくれる。


 ミクサポーターズのみんなの表情も柔らかく、仕事がしやすくなっている。ドライバーのふたりも、僕がどれだけ近づいて撮影しても気にならない様子。プライベートでも、一緒にゴルフをしたりと関係は濃くなっている。


 プロモーションサイドのスタッフも、食事の面で最高のサポートをしてくれて、表には出ない話や苦労を見聞きすることも多くなり、それぞれの立場のスタッフやドライバーがどんな思いでレースに臨んでいるのか、肌で感じられるようになる。


 1981年からレース写真を撮るようになり、MotoGPやF1などさまざまなレースを30年以上撮り続けているが、これほどチームと近い関係でレースを撮影したことはなかった。


 レースに勝つことやチャンピオンを獲ることの重さを、今まで以上に実感できるようになっている。そんな中での3度目のチャンピオン獲得は、自分でも信じられないくらい興奮し、喜びが込み上げてきた。


 チェッカーを受けてから、パルクフェルメでふたりのドライバーの喜びと高揚を撮影し、表彰式、記者会見時で笑顔を撮り、ピットに帰ってスタッフと一緒に喜びを爆発させた姿を撮影して、最後にチームの集合写真を撮るのだが、自分は撮影する側で映される側にいないことがなんとも誇らしく、そして同時にチョッピリ寂しくもあった。


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折原弘之 1963年1月1日生まれ
1980年の東京写真専門学校中退後、鈴鹿8時間耐久レースの取材を皮切りに全日本ロードレース、モトクロスを撮影。83年からアメリカのスーパークロスを撮影し、現在のMotoGPの撮影を開始する。90年からMotoGPに加えF1の撮影を開始。現在はスーパーフォーミュラ、スーパーGTを中心に撮影している。


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