日本ハム新球場のファウルゾーン規定問題 公認野球規則の盲点つけば、こんな球場もできるかも

2022年11月16日(水)16時30分 ココカラネクスト

 日本ハムの新本拠地となる北海道北広島市の「エスコンフィールド北海道」のファウルゾーンのサイズが公認野球規則の規定を満たしていない問題について、日本野球機構とプロ野球12球団による臨時12球団代表者会議で特例で来季は現行の球場で公式戦を行うことが認められた。

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 日本の公認野球規則2・01には「本塁からバックストップまでの距離、塁線からファウルグラウンドにあるフェンス、スタンドまたはプレイの妨げになる施設までの距離は、60フィート(18.288メートル)以上を必要とする」とあるが、新球場は本塁からバックネットまでの距離が50フィート(15.24メートル)しかなく、3メートル近く足りていなかったことが7日のプロ野球実行委員会で他球団から指摘されていた。

 日本ハム側はファウルゾーンを狭くした意図について、ボールパークともいわれるメジャーリーグの球場のように「多くの人に臨場感を感じてもらえる」と考えていたという。実際に60フィートに満たないメジャーリーグ球団の本拠地は多い。

 ただし、メジャーリーグの場合、原文の公認野球規則ではファウルゾーンの規定について厳密には違反していないことが確認されている。

 原文の公認野球規則「OFFICIAL BASEBALL RULES」の「2・01」には60フィート以上の規定について「It is recommended that(推奨する)」とあり、「必要とする」と明記されている日本の公認野球規則とはニュアンスが異なるのだ。その経緯は不明だが、日本に導入された際に何らかの意訳が働いたとみられる。

 それでも日本ハム側は公認野球規則を順守すべく、2023年オフ、2024年オフを球場の改修期間に充当し、足りなかった距離を変更する計画をNPB側などに伝えたようで、規定を満たした球場になるのは2025年シーズンからになる見通しだ。

 ちなみにメジャーリーグでもファウルゾーンの広い球場は存在した。シカゴ・ホワイトソックスが1990年まで本拠地としていたコミスキーパーク(現存せず)はバックネットまで約26.2メートルもあった。これは日本のプロ野球本拠地球場で最も距離が長かった札幌ドームの24.5メートルをはるかにしのぐサイズだ。

 一方で公認野球規則には盲点もある。本塁からバックネットまでの距離が60フィート以上と定められているだけで、3次元では捉えられていない。立体的にフェンスを設置することも可能といえる。例えば、60フィート奥から本塁と等距離にフェンスをアーチ状の構造にすれば、理論上は本塁の真上の60フィートの高さにフェンスを構えることもできる。

 もちろん、この形状ではバックネット裏からグラウンドを全く見通せない。ただ、強化ガラスを使ったスケルトンのような材質のフェンスにすれば、視認も可能かもしれない。このようにルールを逆手に取ったこともできるわけで、何らかの条文の修正は必要といえる。

 メジャーリーグでも、エンゼルスの大谷翔平のような投打の二刀流選手が活躍できる機会を増やせるように、今年は先発投手が降板後も指名打者を兼任していれば、打者として試合を続けられるというルールに改められた。しゃくし定規に原稿の規定に縛られるよりもその時代にマッチした臨機応援な対応は必要のように思う。

 ファウルゾーンの規定も原文通りに「推奨」にすれば、簡単に片付く話ではないか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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