ABS付きで“政治が絡む”GT3に興味なし。トップアマのベン・キーティング、2023年でWEC参戦は終了へ

2022年11月17日(木)17時51分 AUTOSPORT web

 2022年のWEC世界耐久選手権LMGTEアマクラス王者となったベン・キーティングは、新たにシボレー・コルベットC8.Rを走らせることになる2023年シーズンが、WECフル参戦最後の年になる見込みであることを明らかにした。


 11月12日に行われた最終戦バーレーン8時間レースでは、TFスポーツの33号車アストンマーティン・バンテージAMRを駆り、マルコ・ソーレンセンとともに2022年のタイトルを獲得したキーティング。アストンマーティンのマシンで2シーズンを戦った彼は、既報のとおり来季はシボレー・コルベットC8.Rをドライブする。


■GT3レースに感じている“不満”


 プラット&ミラーがオペレートするコルベット・レーシングと新たに関係を築くことになったキーティングだが、これがシボレーの新しいコルベットZ06 GT3.Rなどの他のプログラムへと派生していくとは考えていないという。2024年からは、WECのGTカテゴリーはGT3車両をベースとしたクラスに生まれ変わることになっている。


「そこにチャンスはあるのか? もちろんだ」とキーティング。


「来年は彼らと素晴らしい関係を築き、彼らのために良い仕事ができればと思っている」


「だが、2024年もそれが続くとは考えていないんだ」


「つまり、来年が僕のWECでの最後の年になるだろうと思っている。(GTEマシンに)ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)がないのは本当に楽しいし、このクラスには実質的に3つのマニュファクチャラーしかいないというのも、本当に楽しいよ」


「2019年に僕がIMSAを去った理由のひとつは、GT3におけるレースの側面だけでなく、GT3の中での政治だったり、10もの異なるマニュファクチャラーがいるなかで(BoP=性能調整で)バランスを取ろうとすることに、不満を感じたからだ」


 当初、将来の参戦カテゴリーとして照準を合わせていたLMP2プロ/アマクラスが、2023年に廃止されることも、自身のコミットメントを見直すきっかけとなったと、キーティングは述べている。


「昨年の今頃、僕はLMP2プロ/アマに移ると言っていたよね」


「それ(プロ/アマ)がなくなったいま、その考えに戻ることはない。したがって、僕の推測では、IMSA(LMP2のフルタイム)に戻ることになると思う」


「現在、僕の人生におけるこの場所は、金銭的なものだけでなく、時間的なものも含めて非常にコストがかかる」


「一般的には、どのレースでも1週間は家を空けている。今年は13レースに出場したが、13レースは52週間のうち25パーセントにあたる。1年のうち25パーセントはサーキットで過ごしていることになるよね」


「僕にとって、これは本当に大きなコミットメントなんだ。チャンスがあり、かつそれがフェアな戦いである場合のみ、その状況に身を置きたいと思う」


「その時間を、GT3レースに捧げることはしたくない」


 なお、キーティングは2023年も、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の長距離耐久戦で構成される『ミシュラン・エンデュランス・カップ』に、LMP2のPR1/マティアセン・モータースポーツから出場する意向であることを明言している。

2022年、WECのLMGTEアマクラスでベン・キーティングがドライブしたTFスポーツの33号車アストンマーティン・バンテージAMR


■コルベットのドライバーに選ばれた背景


 現在51歳のキーティングは、コルベット・レーシングから来季のGTEアマ・プログラムに抜擢されたことに、大きな誇りを持っているという。


 キーティングは来年、ニッキー・キャッツバーグと、まだ決まっていないシルバー・ドライバーとともに、シボレー・コルベットC8.RでWECに参戦する予定だ。


「明らかに、名誉なことだ」と彼は言った。


「コルベットがここにいるのは、それでお金を儲けたいからじゃないんだ。彼らは勝ちたいからここにいるんだ」


「2024年に向けてカスタマー・チームを用意する一方で、彼らはカスタマーとして迎える相手を選びたいのも確かだ。なぜなら、彼らは集団の後方を走るようなことはしたくないからだ」


「この数年間を振り返ってみると、面白いことが分かるんだ」


「2013年にALMSのGTCクラスを選んだのは、バイパーに乗ることが目標だったので、SRTの近くにいたかったし、GT3マシンを作ってもらいたかったからだ。そして、僕はそれに成功した」


「成功の理由は、バイパーでワールドチャレンジに参戦することではなく、SRTが参戦している同じレースであるALMSを選択したことで、彼らとの距離を縮めることができたからだ。1年間、一緒にレースをしてきた関係があったからこそ、すべてがうまくいったわけだ」


「また、フォードGTで参戦する唯一のプライベーターとしてチャンスを与えられたのは、長年にわたって築き上げたフォードとの関係が大きかったと思う」


「そして、コルベット・レーシングが(2022年の)WECでフルシーズンを過ごし、僕のパフォーマンスにずっと注目してくれたからこそ、僕がここにいるんだと思う。昨年までは、僕はただコルベットに乗りたいと思っている、ひとりのアメリカ人ブロンズ・ドライバーに過ぎなかった。彼らのレーダーからは、外れていたんだ」


「でも、WECでフルシーズン、一緒にレースができると、彼らの目に留まるようになった。その大きな要因は、1年を通して関係を築き、ドアに足を踏み入れ、ドアを開けるためのくさびを作ることができたからだと思うんだ」

2022年はLMGTEプロクラスに参戦していたシボレー・コルベットC8.R
2023年、コルベットからのLMGTEアマ参戦が決定したベン・キーティング

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