最終戦はタイヤ4本交換が義務付けに。GT300チャンピオン候補5台、それぞれのタイトル獲得条件
2021年11月26日(金)10時18分 AUTOSPORT web
4月に開幕した2021年シーズンのスーパーGTは、11月27〜28日に富士スピードウェイで開催される第8戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 300km RACE』で最終戦を迎える。シリーズチャンピオン決定の舞台となる第8戦富士を直前に控え、改めてGT300クラスのタイトル獲得の可能性を残す5台の、それぞれのドライバーズタイトル獲得条件をみてみよう。
まず、タイトルの可能性を残すのは、第7戦もてぎ終了時点で55ポイントを獲得し、ランキングトップにつける61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)を筆頭に、49ポイントでランキング2番手にディフェンディングチャンピオンの56号車リアライズ 日産自動車大学校 GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)、3番手の55号車ARTA NSX GT3(高木真一/佐藤蓮)、4番手の244号車たかのこの湯 GR Supra GT(三宅淳詞/堤優威)、そして35ポイントを獲得し、5番手で続く11号車GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信)までの5台だ。
そのうち、自力タイトル獲得の可能性を残すのは上位の2台のみ。61号車BRZはP.P.+決勝2位(16pt獲得で71pt)以上、56号車リアライズはポール・トゥ・ウイン(21pt獲得で70pt)で、ライバル勢の順位に関わらずタイトルを手にする状況だ。
なお、6ポイント差で2年連続のタイトル獲得に挑む56号車リアライズは、最低でも予選P.P.+決勝5位(7pt獲得で56pt)以上、かつ61号車BRZの前でフィニッシュすることがタイトル獲得に向けた最低条件となる。なお、56号車リアライズがポール・トゥ・ウイン(21pt獲得で70pt)、61号車BRZが決勝2位(15pt獲得で70pt)で第8戦を終えると2台は同ポイントで並ぶこととなるが、この場合、優勝回数の多い56号車リアライズがタイトルを獲得することとなる。
ランキング3〜5番手につける55号車ARTA、244号車たかのこの湯、11号車GAINERの3台は、すでに自力でのタイトル獲得は不可能な状況だ。55号車ARTAは3位(11pt獲得で56pt)以上、244号車たかのこの湯は予選P.P.+2位(16pt獲得で56pt)以上、11号車GAINERはポール・トゥ・ウイン(21pt獲得で56pt)というそれぞれの最低条件をクリアした上で、61号車BRZ、56号車リアライズといったライバル勢の順位次第となる。
なお、56号車リアライズはポールを逃せば自力タイトルの可能性が消滅するため、ポール獲得で得られる1ポイントの存在はより重要度を増している。迎え撃つ61号車BRZにとっても最大のライバルの自力タイトルのチャンスを奪い、王座獲得を確固なものとするべく是が非でもポールを手にしたいところだ。富士で開催された第2戦を含め、今季3度のポールを獲得しているだけに、61号車BRZのポール獲得の可能性は高いだろう。さらに、11号車GAINERはポールを逃せば、その時点でタイトルへの望みを失うこととなる。それゆえに、27日(土)の公式予選から目が離せない展開となる。
ランキングトップかつ、今季のポール獲得回数トップの61号車BRZが悲願のスーパーGT初タイトルに向けて有利な状況で最終戦に臨むことには変わりはない。しかし、富士で開催された過去5戦の車種別決勝ウイナーをみてみると、GTA-GT300車両のトヨタGRスープラが3勝、FIA-GT3車両のニッサンGT-RニスモGT3が1勝、GT300-MC(マザーシャシー)車両のロータス・エヴォーラMCが1勝という状況だ。
過去の戦いを見ても56号車リアライズ、11号車GAINERのニッサンGT-RニスモGT3勢、GRスープラの244号車たかのこの湯、そして富士での過去5戦で3度の表彰台を獲得している55号車ARTAにとっても富士は相性のいいサーキットだということは間違いない。2021年第1戦岡山でデビューを迎え、1シーズンをかけて熟成を重ねた新型BRZが、全車がノーウエイトで挑むなかで、富士を得意とするライバル勢とどのように対峙するかは大いに注目すべきところだ。
なお、第8戦富士の大会特別規則書の第5条『大会特別条項』に記載された「決勝レースをドライタイヤでスタートした場合、決勝レース中に1回のタイヤ交換を義務付ける。なお義務付けされたタイヤ交換は、ドライバー交代を行うピットストップ時に4本のタイヤを交換しなければならない」という条項を受けて、今大会ではこれまでGT300で広く見られたタイヤ無交換、タイヤ2輪交換といった作戦が展開できなくなった。そのため、これまでタイヤを保たせる作戦、保たせる走り、セットアップを得意としていたチームは、これまでとは違ったアプローチが必要となるだろう。
ノーウエイト、タイヤ4本交換義務、そして今大会をもってスーパーGTでの活動を終える星野一樹(GAINER TANAX with IMPUL GT-R)のラストランを含め、見どころの尽きない第8戦『FUJIMAKI GROUP FUJI GT 300km RACE』は、記録、そして記憶に残る一戦となりそうだ。