下部組織出身の有望株たちの今 ~アトレティコ・マドリード編~

2018年11月27日(火)17時14分 サッカーキング

アトレティコ・マドリードの下部組織で育った選手たち [写真]=Getty Images

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 サッカークラブの運営において、重要な役割を占める「育成」。移籍金が高騰し続ける今では、欧州のビッグクラブでさえ下部組織に多額の資金を投じるようになってきた。ただし、トップチームは世界各国のスター選手で構成されているため、ユース時代に“有望株”であったとしても長く活躍できるとは限らない。プロデビューを果たしたあと、不動のレギュラーに成長した者もいれば、正式な昇格を勝ち取れなかった者、あるいは伸び悩んだ末に退団を余儀なくされた者もいる。

 そこで今回は、欧州トップクラブの下部組織で育ち、“期待のホープ”と称された選手たちの現況を紹介する。セレクトしたクラブは、コケやサウール・ニゲスなど、近年優れた選手を輩出するアトレティコ・マドリードだ。

*2011年にクラブの下部組織に在籍し、今も現役を続けている選手を対象とした
*カッコ内は(生年月日/国籍/所属クラブ/ポジション)

写真=Getty Images

■ジョエル・ロブレス



(1990年6月17日/スペイン/ベティス/GK)
経歴:アトレティコ・マドリード→ラージョ・バジェカーノ(レンタル)→ウィガン(レンタル)→エヴァートン→ベティス

2005年にアトレティコの下部組織に入団すると、2010年5月、当時19歳でトップチームデビュー。その後、ヨーロッパリーグやコパ・デル・レイでもプレーした。しかし、ダビド・デ・ヘア、ティボー・クルトワ、セルヒオ・アセンホとのポジション争いに敗れ、2013年に完全移籍でエヴァートンに加入。5シーズン在籍したのち、再びスペインに帰国し、今季からベティスに所属する。

■リュカ・エルナンデス



(1996年2月14日/フランス/アトレティコ・マドリード/DF)
経歴:アトレティコ・マドリード

4歳でフランスからスペインに移住し、2007年にプロサッカー選手だった父ジャン・フランソワの古巣アトレティコの下部組織に入団。2014年12月のコパ・デル・レイでトップチームデビューを果たした。本格的なブレイクを遂げたのは昨シーズンのこと。公式戦44試合に出場すると、ヨーロッパリーグを制覇。さらに今年3月にデビューしたフランス代表で左サイドバックのレギュラーの座を掴み、ロシアW杯優勝に貢献した。

■ハビエル・マンキージョ

(1994年5月5日/スペイン/ニューカッスル/DF)
経歴:アトレティコ・マドリード→リヴァプール(レンタル)→マルセイユ(レンタル)→サンダーランド(レンタル)→ニューカッスル

地元マドリードの出身で、レアル・マドリードの下部組織にも在籍したことがある。アトレティコでトップデビューを果たしたのは17歳のとき。しかし、直後に就任したディエゴ・シメオネ監督のもとでは出場機会を得られず、2014−15シーズン以降はリヴァプール、マルセイユ、サンダーランドへとレンタル移籍を繰り返した。結局、出戻りは叶わず、2017年夏にニューカスルへ完全移籍。現在は武藤嘉紀のチームメイトである。

■ホルヘ・プリード



(1991年4月8日/スペイン/ウエスカ/DF)
経歴:アトレティコ・マドリード→ラージョ・バジェカーノ(レンタル)→レアル・マドリード・カスティージャ→アルバセーテ→シント・トロイデン→ウエスカ

2008年、チアゴ・アルカンタラ(現バイエルン)らと共にU−17欧州選手権を制覇。将来を嘱望され、19歳でトップチームデビューを果たしたが、その後は長く苦しんだ。レアル・マドリード・カスティージャへ転籍するも、トップチーム昇格は実現せず。2016−17シーズンにはベルギーリーグへの挑戦を決意した。そうして迎えた昨季、2部ウエスカに入団すると、センターバックのレギュラーとしてクラブ史上初の1部昇格に貢献。今年8月に5年ぶりのリーガ・エスパニョーラ出場を果たした。

■テオ・エルナンデス



(1997年10月6日/スペイン/レアル・ソシエダ/DF)
経歴:アトレティコ・マドリード→アラベス(レンタル)→レアル・マドリード→レアル・ソシエダ(レンタル)

兄リュカとともにアトレティコの下部組織で育つと、2016年夏にアラベスへレンタル移籍。ここでリーグ戦32試合1得点の好成績を残し、才能を証明してみせた。しかし、復帰したアトレティコで試合に出ることなく、昨年夏にレアル・マドリードへの“禁断の移籍”を決断。「恩をあだで返した」とアトレティコのファンから大きな非難を浴びた。ただ、レアルでは思うような活躍を見せられず、今季はレアル・ソシエダへレンタル移籍中だ。

■ナチョ・モンサルベ



(1994年4月27日/スペイン/トゥウェンテ/DF)
経歴:アトレティコ・マドリード→デポルティーボB→ラージョ・バジェカーノ→レクレアティーボ(レンタル)→トゥウェンテ

12歳からアトレティコの下部組織で育ってきたが、トップチームではリーグ戦1試合の出場にとどまった。2016年の退団後は、デポルティーボBやレクレティーボでプレー。今季からオランダ2部のトゥウェンテに在籍し、自身初の海外生活を送っている。

■サウール・ニゲス



(1994年11月21日/スペイン/アトレティコ・マドリード/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード→ラージョ・バジェカーノ(レンタル)→アトレティコ・マドリード

もともとレアル・マドリードにスカウトされて、故郷エルチェからマドリードに上京したが、「いじめを受けた」としてアトレティコに移籍した過去を持つ。才能は抜きんでており、10代から各年代別代表の常連メンバー。アトレティコでも17歳でトップチームデビューを飾った。今ではクラブでも、A代表でも、代えの利かない存在となっている。

■ルベン・ペレス



(1989年4月26日/スペイン/レガネス/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード→デポルティーボ(レンタル)→ヘタフェ(レンタル)→ベティス(レンタル)→エルチェ(レンタル)→トリノ(レンタル)→グラナダ(レンタル→完全)→レガネス(レンタル→完全)

リーガ・エスパニョーラでの通算出場数は「200」を超える。しかし、アトレティコでの出場は1試合のみ。トップチーム初出場となった2009−10シーズンのリーグ最終節が、“赤・白”のユニフォームを着用してプレーした唯一のゲームだった。その後、2015年に完全移籍でグラナダに加入するまで、5シーズンで計6度のレンタル移籍を経験。“パートタイマー”として行く先々で活躍し、現在はレガネスを職場とする。

■トーマス・パルティ



(1993年6月13日/ガーナ/アトレティコ・マドリード/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード→マジョルカ(レンタル)→アルメリア(レンタル)→アトレティコ・マドリード

2012年からアトレティコに在籍し、2度のレンタル移籍を終えた2015年夏にトップチームへの昇格を果たした。長らくサブメンバーの域を出なかったが、昨季は公式戦50試合に出場して5得点を記録。高いフィジカル能力と威力抜群のミドルシュートで、ヨーロッパリーグ優勝にも貢献した。2016年にデビューを果たしたガーナ代表でも主軸を担う。

■アルベルト・ペレア



(1990年12月19日/スペイン/カディス/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード→ラージョ・バジェカーノ→ジャゴステラ→オロト→バルセロナB→カディス

2010年10月にトップチームデビューを果たしたサイドアタッカー。Bチームでは、プリードやルベン・ペレスらが同僚。コケやサウールと共にプレーしたこともある。しかし、トップチームへの昇格は叶わず、2011年にラージョ・バジェカーノへ移籍してからは下部リーグのクラブを転々としている。2016年1月から約1年半はバルセロナBに在籍。2016−17シーズンには、主力のひとりとしてチームの2部昇格に貢献した。

■ロドリゴ・エルナンデス



(1996年6月22日/スペイン/アトレティコ・マドリード/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード→ビジャレアル→アトレティコ・マドリード

マドリードで生まれ、2007年からアトレティコの下部組織に在籍していたが、「線が細い」という理由で6年後に退団を余儀なくされた。しかし、移籍先のビジャレアルでめきめきと頭角を現すと、2015年にトップチームデビュー。その後も順調に成長を遂げ、今夏5年ぶりの古巣復帰を果たした。「セルヒオ・ブスケツ2世」の異名を取り、次代のスペイン代表を担う選手としても期待されている。

■オリベル・トーレス



(1994年11月10日/スペイン/ポルト/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード→ビジャレアル(レンタル)→ポルト(レンタル→完全)

アトレティコ下部組織が輩出した“最高傑作”と称され、2012年8月に当時17歳の若さでトップチームを果たした。同年生まれのサウールと共に「クラブを背負って立つ逸材」と期待されたが、シメオネ監督が求める堅守速攻型のサッカーとの相性の悪さは否めず。2017年にレンタル先のポルトが2000万ユーロ(現レートで約26億円)を支払い、完全移籍が成立した。

■コケ



(1992年1月8日/スペイン/アトレティコ・マドリード/MF)
経歴:アトレティコ・マドリード

2000年の入団以降、アトレティコ・マドリード一筋を貫くMF。2009年のバルセロナ戦でトップチームデビューを果たすと、昨年2月にクラブ史上最年少で公式戦300試合出場を達成した。それでもまだ26歳。クラブとは2024年まで契約を結んでおり、アデラルド・ロドリゲス氏が持つ最多550試合を塗り替えるのも夢ではない。

■ボルハ・バストン



(1992年8月25日/スペイン/アラベス/FW)
経歴:アトレティコ・マドリード→レアル・ムルシア(レンタル)→ウエスカ(レンタル)→デポルティーボ(レンタル)→サラゴサ(レンタル)→エイバル(レンタル)→スウォンジー→マラガ(レンタル)→アラベス(レンタル)

下部カテゴリーのあらゆる得点記録を塗り替え、2009−10シーズンのリーガ・エスパニョーラ最終節でトップチームデビュー。しかしその試合で、ひざの前十字じん帯を断裂する大ケガに見舞われると、復帰後はレンタル移籍を繰り返した。2015−16シーズンには、エイバルで公式戦19得点をマーク。その活躍を認められ、プレミアリーグへの移籍を勝ち取ったが、英国ではわずか1得点しか奪えなかった。

■ロベルト・ニュネス

(1996年1月3日/スペイン/ラス・パルマスB/FW)
経歴:アトレティコ・マドリード→ロイヤル・アントワープ→ラス・パルマスB

2015−16シーズンに、19歳以下のクラブチームによって競われるUEFAユースリーグで得点王に輝いたこともあるストライカー。2016年11月には、トップチームデビューも飾っている。しかし正式な昇格は叶わず、2017年夏に退団を余儀なくされた。昨季はベルギーのロイヤル・アントワープに在籍したものの、カップ戦2試合に出場したのみ。今夏、スペインに帰国し、現在はラス・パルマスBでプレーする。

(記事/Footmedia)

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