WRC:ラトバラ、2020年スポット参戦計画。Mスポーツは10年以上在籍したエバンスに「これからも家族」

2019年11月28日(木)18時37分 AUTOSPORT web

 WRC世界ラリー選手権を戦うMスポーツ・フォードが、2019年限りでチームを離れるエルフィン・エバンスに対するコメントを発表し、長年の功績に対する感謝を伝えた。また2019年限りでトヨタのワークスシートを失ったヤリ-マティ・ラトバラは2020年に向けて水面下で作業を進めていると自身のTwitterで明かしている。


 1988年、イギリス・ウェールズ出身のエバンスは、イギリス/アイルランドのラリー選手権でチャンピオンを獲得して頭角を現すと、2012年にはWRC育成カテゴリーだった『WRCアカデミー』へ。


 ここでも着実な走りで王座を手にすると、2013年からはMスポーツの一員としてWRC2に参戦、マシンの開発ドライバーも務めた。


 そして2013年のシリーズ第7戦イタリア・サルディニアで、エバンスは最上位クラスへスポット参戦。代役参戦で、その決定を知ったのは開幕2日前という状況だったが、総合6位でラリーを終えている。

エバンスは2017年の最終戦ラリーGBでWRC初優勝


 この走りも評価され、2014年にはMスポーツのレギュラードライバーとして最上位クラスへ。以降、2016年に一度最上位クラスでのシートを失ったものの、2017年には最上位クラスへ返り咲き、母国ラウンドの第12戦ラリーGBで悲願の初優勝を遂げた。


 2019年はシーズン途中の怪我で3戦欠場を余儀なくされたものの、2度の表彰台フィニッシュを飾り、ドライバーズランキング5位を獲得している。


 そのエバンスは2020年、これまでラリーキャリアをともにしてきたMスポーツを離脱。トミ・マキネン率いるTOYOTA GAZOO Racing WRTへ移籍する。


 Mスポーツ・フォードのマネージングディレクターを務めるマルコム・ウィルソンは「10年以上もの間、エルフィンが我々のフォード・フィエスタ・ラリーカーをドライブしながらワールドクラスのドライバーへ成長していく様子を見守ってきた」とコメントしている。


「彼は、フォードが若手ドライバー育成のために構築している“成長の階段”を使い成功を収めたもっとも代表的なドライバーだ。今後も彼の成功が続くことを心から願っているよ」


「もちろん2020年に向けて、エルフィンにはチームへ留まって欲しかった。残念ながら叶わなかったがね。それでも、彼とこれまで一緒に成し遂げてきたこと、Mスポーツとして彼の育成を助けられたことをうれしく思う。ラリー競技の頂点であるWRCにおいて、彼は欠かせない存在になったんだ」


「そして、たとえチームを離れたあとでも、彼がMスポーツ・ファミリーの一員であることに変わりはないよ」


 エバンス自身も「Mスポーツ・フォードは僕のラリーキャリアにとって大きな部分を締めている。2007年にフェエスタSTをドライブしてから、Mスポーツが手掛けたほぼすべてのフィエスタ・ラリーカーをドライブしてきた」とチームに感謝を伝えた。


「チームと一緒に仕事をするなかで、素晴らしい才能の持ち主やモチベーションに満ち溢れた人々と知り合うことができ、その多くとは一生続く友人関係を築くことができた」


「WRCに参戦している多くのチームと同じく、Mスポーツ・フォードも情熱にあふれたチームだった。彼らとは素晴らしい思い出を作ることができたし、マルコムをはじめ、僕に素晴らしい機会を与えてくれたチームの人々すべてに感謝している」

2020年、トヨタ入りを果たすエルフィン・エバンス


2019年、エバンスは2度の表彰台フィニッシュを飾った。(写真は総合3位に入った第4戦ツール・ド・コルス)

■トヨタ離れるラトバラ「2020年のWRC数戦へ参戦を計画」


 また、2020年のトヨタWRC起用ドライバーから漏れ、来季に向けたシートを失う形になったラトバラは自身のTwitterを更新。2017年からの3シーズンをともにしたチームへ感謝を伝えるとともに、2020年シーズンへのスポット参戦を計画していると明かした。


 2017年にトヨタがWRCへ復帰参戦当初からチームをけん引してきたラトバラ。トヨタでの参戦2戦目だった2017年第2戦スウェーデンで総合優勝をもたらした。

ヤリ-マティ・ラトバラはトヨタのWRC復帰2戦目だったラリー・スウェーデンで優勝。チームに勝ち星をもたらした


 2018年は最終戦オーストラリアで優勝を飾り、ドライバーズランキング4位を獲得。しかし、2019年は苦戦が続き、ベストリザルトは第9戦フィンランド、第10戦ドイツでの総合3位で優勝を手にすることはできず、ランキングも7位だった。


 そして27日に発表された2020年のトヨタ起用ドライバーはセバスチャン・オジエ、エバンス、カッレ・ロバンペラの3名でラトバラの名前はなく、3シーズンを過ごしたトヨタでのシートを失うこととなった。


 この発表を受けてラトバラはTwitterに「トヨタの発表を受け、まずはこの3年間、ともに素晴らしい成功を収めてきたチームに感謝したい」と投稿。続けて2020年に向けたプランを明かした。


「今、2020年のWRC数戦に参戦するべく作業を進めている。これについては続報を待ってほしい。そして僕をサポートしてくれているファンのみんなには心からの感謝を伝えたい」




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