ETRC:2021年暫定カレンダー発表。欧州トラックヘッド戦の伝統的サーキット全7戦開催へ

　車重5.3t越え、最大排気量1万3000ccのトレーラーヘッドたちが覇権を争う、FIA欧州格式選手権、ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップの2021年暫定カレンダーが発表され、2戦を開催したのみで敢えなくキャンセルとなった2020年シーズンを取り戻すべく、全7戦のスケジュールが策定された。

　新型コロナウイルス感染症（COVID-19）第3波の影響を受け、ETRCも開幕の遅れからシーズン中のキャンセル、そして最終戦中止によるシリーズ不成立という厳しい環境を経験した。

　ヨーロッパの暮らしを支える物流従事者やその家族、そして参戦ドライバー自身もそうした業務に携わる傾向が高いことから、ほかのカテゴリーよりもさらに慎重なイベント開催の是非を判断してきた。そんなETRCシリーズの2021年に向けては、その失われた1年を取り戻すべくオーガナイザーのETRA（トラック・レーシング・アソシエーション／Truck Racing Association）が、ヨーロッパで最も挑戦的なサーキットの全7カ所でレースウイークエンドを実施する方針を固めた。

　すでに2020年のカレンダーに組み込まれていたサーキットのいずれも、シリーズとは2021年の大会開催を優先する約束を交わしており、過去4年間の成功を共にした双方のコラボレーションは引き継がれる形となった。

　シーズンは5月22〜23日のイタリア・ミサノで開幕し、キャンセルされた2020年最終戦の予定地がトップバッターとして登場。トップマニュファクチャラー『IVECO（イベコ）』の本拠地であることに加え、例年このイベントはイタリアのトラック輸送文化とビジネス関係者が多く集う、フェスティバルのような盛り上がりを見せる。

　その後、ETRCのレーシング・トラックヘッドたちは6月にハンガロリンクへと移動。首都ブタペスト近郊のテクニカルコースでは、地元の英雄で2度のチャンピオン経験者、ノルベルト・キス（レベス・トラック・レーシング／MAN）の大応援団が駆け付ける。

■「素晴らしいショーを届けたい」とETRAのマネージングディレクター

　ツイスティな“ミッキーマウス・サーキット”でのホイール・トゥ・ホイールの肉弾戦を経て、第3戦はシリーズ最大のイベントとして知られるドイツ・ニュルブルクリンクへ。

　7月中旬開催の“ADAC Truck Grand Prix”はドイツを拠点とする輸送産業最大の祭典として機能し、かつてはメルセデス・ベンツ・トラックス製のトレーラーや、現在は選手権の盟主であるMANが高い人気を誇る。

　そして8月はFIA ETRCの定番サーキットとしてシリーズに定着したチェコ共和国のアウトドローモ・モストで第4戦が開催され、ここはボンネットキャブ型のフレイトライナーを走らせるバギュラ・ゼロ・マイレージ・レーシングと、そのエースを務めるアダム・ラッコのホームコースとなる。

　終盤3戦は9月に2戦を予定し、11〜12日ベルギーのゾルダー、25〜26日にフランスはル・マンのブガッティ・サーキットで開催。そして2019年と同様にスペインのハラマがシーズンフィナーレを務める。

「誰にとっても非常に困難だった2020年を経て、来季に向けレース主催者からのコミットメントを得ることができ、とてもうれしく光栄に思う」と語るのは、ETRAのマネージングディレクターを務めるロルフ・ウェルナー。

「我々はイベント主催者と緊密に協力し、2020年に開催したふたつのレースウイークエンドで成功を収めた、従来の『COVID-19プロトコル』をさらに強化し、ETRCのパートナーや物流業界の関係者、そしてなによりもファンを歓迎できるようにしたい。彼ら全員のために、トラックとトップドライバーたちの素晴らしいショーをお届けしたいと思っている」

■ETRCヨーロピアン・トラック・レーシング・チャンピオンシップ 2021年暫定カレンダー

ラウンド　開催日　開催地
Rd.1　5月22〜23日　ミサノ／イタリア
Rd.2　6月12〜13日　ハンガロリンク／ハンガリー
Rd.3　7月17〜18日　ニュルブルクリンク／ドイツ
Rd.4　8月28〜29日　モスト／チェコ共和国
Rd.5　9月11〜12日　ゾルダー／ベルギー
Rd.6　9月25〜26日　ル・マン／フランス
Rd.7　10月2〜3日　ハラマ／スペイン