SF鈴鹿テスト最終日に登場した高星明誠&名取鉄平。ニッサンドライバーふたりが得た“収穫”は

2023年12月8日(金)16時17分 AUTOSPORT web

 12月8日、三重県の鈴鹿サーキットで、全日本スーパーフォーミュラ選手権の合同テスト/ルーキーテストの3日目が行われた。この日はルーキードライバーのみが走ることができるセッションだったが、KONDO RACINGからは3号車に高星明誠、4号車に名取鉄平と、スーパーGTではニッサンをドライブするふたりが参加した。


 多くの話題がある今回のスーパーフォーミュラ合同テスト/ルーキーテストだが、その中でも注目のひとつとなったのが、KONDO RACINGのニッサンドライバー2名の起用。その理由については既報のとおりだが、迎えた走行3日目のルーキー枠に、高星と名取のふたりが登場。晴天のもと行われた9時30分からのセッション5に出走した。


■「緊張感のなかでマイルを稼げることは大きい」と高星明誠


 今季、スーパーフォーミュラの開発テストのドライバーも務めている高星だが、SFのレースを実際に戦ったのは、コロナ禍でBuzz Racing with B-Maxから戦った2020年第2戦岡山、平川亮の代役として戦った2021年第4戦SUGOのみ。ルーキーテストの参加に必要な4レース未満に該当する。


「僕の場合、開発ドライバーですが2レースしか出走していません。その中で、来季に向けダンパーが新しくなりますが、チームもマイレージを稼ぎたいでしょうし、近藤真彦監督がJRPの会長になり、そういった活動もアピールしたいという、さまざまな利害関係が一致したのではないかと思います」と今回の参加の経緯を語った。


 テスト参加の打診は11月下旬に行われ、開発テストの際に決定。この日は晴天に恵まれた走行1回目では、3〜5周のショートランを繰り返しながら、終盤に1分38秒426というタイムを記録。6番手で終えた。午後の2回目は30周を走り、1分38秒675で終えている。


「シンプルに、レギュラードライバーの山下健太選手が抱えている『こうしたい』という内容を昨日聞いて、クルマがフィーリングどおりになっているかの確認、そして僕の慣熟がメインでした」と午前の内容について高星は語った。


 ただその慣熟については「ぜんぜん(苦笑)」と高星は語る。「運動性能も高いので、自分が思ったところでステアリングを切ると縁石の内側を走ってしまいそうな感覚で、まだまだ車速が足りないんだと思います」と振り返った。


「もてぎとは速度域も違います。低速コーナーはともかく、S字など、車速が高いところでアクセルを踏まなければいけないところは、やはり次元が違うと思いましたね。クルマのポテンシャルを考えても少しナーバスなところはあるので、そこでアクセルを踏んでいくのはやはり慣れが必要になると思います」


 ただ、やはりどうしても自分のクルマではないところ、鈴鹿というリスクが高いコースではミスがアクシデントに直結する部分も多い。「代償が大きいので、そこは慎重になっています」と高星は語った。


 とはいえ、一日のみながら今回の経験は今後にも繋がるものになりそうだ。「スーパーGTは8戦しかないですし、1時間半の公式練習をふたりで走り、予選、決勝をやって終わりなので、スーパーGTだけをやっていると、走っている時間が圧倒的に少ないのは明確なんです」と高星は語った。


「やはり同じ車両でタイムをガチガチに追い求め、競い、ニュータイヤ一発でタイムを出さなければいけない緊張感、そしてマイルも稼げることはやはり大きいですね」

2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 高星明誠(KONDO RACING)
2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 高星明誠(KONDO RACING)


■「ドライビングの幅を広げられる」と名取鉄平


 一方の名取は、実は直前に参加が決まったのだという。「突然、月曜日(12月4日)のエントリーリストが出る直前に『どう?』と聞かれ、『乗りたいです』と答えました」とわずか数日の準備でのテスト参加となった。


 名取の場合、2020年のスーパーフォーミュラ第1戦もてぎにBuzz Racing Team with B-MAXから参戦したのみで、こちらもルーキーテストの資格を満たしていた。高星同様、経験もあるドライバーでマイレージを伸ばすことを考えれば、チームの思惑としては理想的なドライバーだろう。


 ただ、名取にとってフォーミュラは2021年にスーパーフォーミュラ・ライツに参戦し、そのオフにFIA F2のテストに参加して以来。午前中のメニューについて聞くと「人間の慣らしをしていました(笑)。エンジニアさんと相談しながら、いくつかメニューをこなしてはいましたが、とりあえず自分の慣れでした。今年はGT300しか乗っていなかったので『なんだこの景色は』という感じでした」とひさびさのビッグフォーミュラに身体を慣らすところからスタートしたと語った。


 名取は4〜7周のランを繰り返しながら走行を重ね、午前の1回目は1分38秒768というベストタイムで9番手で終えた。午後の2回目は31周を走り1分38秒881を記録した。「まだまだ全体的に余ってます(笑)。探りながら走っていますが、クルマを壊さないようにしないといけませんからね。人のものなので……」と高星同様、クラッシュ等がないように、慎重にテストを進めた。


「自分としてはまだ全力を出し切れていませんし、こうしてスーパーフォーミュラに乗ったことでドライビングの幅も大きく広げられると思います。スーパーGTに活きることもたくさんあると思いますので、頑張って繋げたいですね」


「もちろんフォーミュラはチャンスがあればまた乗りたいですが、今回はこうしてチャンスをくださった近藤監督に感謝したいです」


 2023年はスーパーGT、そしてスーパー耐久とハコでの戦いがメインとなっていた名取だが、ひさびさのフォーミュラは大きな刺激となったようだ。

2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 名取鉄平(KONDO RACING)
2023スーパーフォーミュラ合同/ルーキーテスト 名取鉄平(KONDO RACING)

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