予選順位など関係なし。ペナルティ多数の“フェイク・グリッド”【F1ゴールデンラズベリー賞 2017】

2017年12月18日(月)12時33分 AUTOSPORT web

 これを選ばないと年が越せない。F1ジャーナリストの今宮純氏がちょっと辛口にノミネートした『17年シーズン各賞』を発表。 
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☆マシン ウイリアムズFW40・メルセデス
 開幕前バルセロナ合同テストでフェラーリ、メルセデスに続く3位タイム、初戦を中間チームのベスト6位発進。新規定に対し信頼性を重視したSWBパッケージでまとめ上げ、前半はマッサがコンスタントにQ3進出。曲がり角は第9戦オーストリアGP、大幅なアップデートが不発、しだいに戦力低下・・・。直線主体の高速コースでの長所も薄れ、チームは早々に2018年に向けシフト。結成40周年の“FW40”、41年目から出直す。

次第に競争力を失っていったウイリアムズFW40

☆ドライバー マーカス・エリクソン
 いつもTVカメラ目線でニコニコ、F1ドライバー・ライフを満喫している。15年イタリアGP9位後、48戦未入賞でも2018年アルファロメオ・ザウバーのシートは安泰。昨年はナッセ、今年はウェーレインが得点ゲット、彼はゼロでもここにいられる。
2018年も安泰のマーカス・エリクソン

☆ルノー・スポールF1チーム
 最終戦すべりこみ6位逆転。PUユーザーのトロロッソが、その信頼性不安を抱える間隙を突いた。ちなみに入賞回数は10回で8番目、完走回数も27回で同じ8番目。トロロッソとハースより低いのだ。それでも彼らより上位にランクインできた理由は6位(8点)が5回あったから。中間チーム勢ひしめくなか、ルノーは壊れても“一点突破型”の戦いで低予算チームを負かした。ワークスならではの戦い方だが2018年もこれが通用するとは思えない。
2017年F1第20戦アブダビGP ニコ・ヒュルケンベルグが6位入賞


☆コメント キミ・ライコネン
「おい、ステアリングホイールだ、早くよこせ、誰かそいつに言ってくれよ、早くしろって!」


 アゼルバイジャンGP、赤旗のときの無線会話だ。タイヤパンクでピットイン、フロアにダメージがあり万事休すかと思えたときに赤旗。修理を急ぐメカニック達、作業は間に合ったがガレージから押されるマシンにステアリングホイールが装着されていない。キミは叫んだ。


「早くよこせ!」と、嗚呼ドタバタのフェラーリ……。このレース47周目にアクシデントがあり、次のようなコメントも言っている。


「ひとつのレース中に2度も“リタイア”するとは、(くそ)なんてひどい日なんだ」

アゼルバイジャンGPでは散々な結果に終わったキミ・ライコネン

☆カラーリング マクラーレンMCL32・ホンダ
 オレンジはけして悪い色ではない。ブラックもそう。けれどその“ツートーン・カラー”に白色をまぜこぜにしたから統一感がないだけだ。第101回インディ500、アロンソのオレンジ一色カラーリングがなんと(普通に)きれいに見えたことだろう。
フェルナンド・アロンソのインディ500挑戦は無念のリタイア

☆レース アメリカGP
 一度でもインディ500決勝を午前中から現地で観た方ならば、オースティンのアメリカGPスタート前セレモニーは、本物には到底かなわないと思ったはずだ。(アロンソさえそう言った)。ドライバー紹介の段取りが悪く、全員が長い間ずっと待機スペースで待たされた。


 そしてボクシング・リングアナウンサーのあの“コール”、個人的には古館さんならもっと盛り上げてくれたと思う(各国語を少しアドリブで入れたりして)。国家独唱は、鈴鹿では三重県出身の平井堅さんを推す。

一方でウサイン・ボルトなど多くの有名人がサーキットを訪れている

☆ルール “フェイク・グリッド”
 PUペナルティによるグリッド・ダウンが今年だけで累計685。そのうち最多バンドーン218、アロンソ160、過半数以上をひとり占めのマクラーレン。予選タイム順位で決定するはずのスターティング・グリッドが“改ざん”され続けた。


 トランプ大統領ではないが今年のこれが「フェイク・ニュース?」

2017年のF1もグリッド降格が多発


☆ピットワーク ザウバーF1チーム
 ピレリによれば今年のピット・ストップ総数は533回、アゼルバイジャンGPが最多41回(ウイナーのダニエル・リカルドが今季唯一の“3ストップ”)。DHLによると年間を通じて最も速いピットワーク王者はこれもメルセデスチーム。最下位はこれまたザウバーチーム。

ピットワークの速さでも苦戦するザウバー

☆タイヤ インターミディエイトとハード
 あっという間にすり減るインター、そこそこもつが遅いウェット、ウェット状況でのチョイスには制約が。チームもドライバーも批判的、それはコチコチに硬いハードも。結局スペインGP一度だけで供給されずじまい。生産コストを考えるともったいないことだ。
2018年はさらに2種類のタイヤが増えることに

☆ファミリー ストロール家とパーマー家
 サーキット・パパの“親子F1参観”はほほえましい。でもランス・ストロールやジョリオン・パーマーの父親はいつもサーキットにいらして、仕事関係に支障はないのだろうか。1月に勇退したエクレストンさんからリバティ・メディア社の仕切りに変わり、頻繁にファミリー観戦の様子がテロップ入りでOAされるようになった。そのスイッチングの間、コース上ではリアル・レーシングが続けられていた……。
ランス・ストロールと父親のローレンス・ストロール


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