井上尚弥の圧巻のKO劇にも「デービスは完全ミスマッチだ」 元Sバンタム王者が“妄想”に警鐘「勝てるかどうか」

井上との対戦が囁かれたデービス。この両雄が対戦するとなれば、話題沸騰となるのは必至だが……。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

　井上尚弥（大橋）は改めて世界に怪物たる所以を見せつけた。

　12月26日、世界スーパーバンタム級の4団体王座統一戦12回戦（有明アリーナ）で行われ、WBC＆WBO王者の井上は、WBA＆IBF王者でマーロン・タパレス（フィリピン）に10回1分2秒でKO勝ち。史上2人目にして、史上最速となる2階級での4団体統一を成し遂げた。

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　頑丈な守備をブロックの上から破壊した。4回にダウンを奪っていた井上が一気呵成に攻勢を強めたのは10回だ。鋭いワンツーで相手をローブ際まで吹き飛ばすと、畳み掛けるように右ストレートをヒット。タパレスはたしかに腕を上げ、ガードを構えていたが、想像以上に強烈な一打に、膝から力なく崩れた。

　井上の秘める破壊力の凄まじさを物語る一戦だった。一方で海外の識者からは高まり続けるファンの期待に警鐘が鳴らされている。元WBA＆IBF世界スーパーバンタム級王者カール・フランプトン氏は、試合後に自身のX（旧ツイッター）を更新。「イノウエが世代を超えた偉大なファイターであることに疑いはない」と前置きしつつ、こう続けた。

「話題となっている“タンク”との戦いは、もはや完全にミスマッチだろう。彼（井上）がフェザー級のトップ選手に勝てるかどうかさえ、わからない」

　元王者が綴った“タンク”とは、現WBA世界ライト級レギュラー王者ガーボンタ・デービス（米国）だ。今年7月に井上がスティーブン・フルトン（米国）を倒した直後から一部のファンや識者の間でメガマッチの実現が囁かれ続けている。

　ただ、デービスはスーパーバンタム級からは3階級も上に属している。「最強を決めるべき」と、ある種の妄想を広げるファンには警鐘を鳴らす声も小さくはなかった。

　もっとも、井上はタパレス戦後に「今の適正階級はスーパーバンタム級」と明言。「この階級でもっと強い姿を見せられるように精進していきたい」とし、4団体統一王者としての立場を守っていく意向を明らかにしている。こうした言動を考えても、一部で噴出したデービスとのマッチアップは、非現実的と言わざるを得なそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]