“王者”青森山田に驕りはなし 原点の「気持ちを前面に出す」プレーで“2人の恩師”胴上げを目指す

2022年12月27日(火)19時0分 サッカーキング

2021年度は青森山田の年だった。インターハイ、プレミアリーグEAST、選手権の3冠を達成。選手権は準決勝で高川学園(山口)に6ー0、決勝でもプレミアリーグWESTの強豪・大津(熊本)相手に被シュートゼロの4ー0という完勝を収め、その強さを際立たせた。

 高校サッカー界の“キング”ことMF松木玖生(現FC東京)やMF宇野禅斗(現町田)を中心に非常に意識の高かった3年が卒業して迎えた今年、苦しいシーズンとなったことは確かだ。プレミアリーグEASTは対戦相手が警戒してくれた序盤戦で3連勝したものの、その後は5連敗。昇格組の桐生一(群馬)に初白星を献上した直後、ケガで長期離脱中だった主将の多久島良紀(3年)が指摘したのは、気持ちの部分だった。

「気持ちを前面に出すのが山田の選手だと思うので、初心に戻って次は前面に出せるように準備していきたい」。青森山田は直近6大会の選手権で優勝を3度、準優勝を2度経験している。2018年度大会から続く4大会連続決勝進出は、2000〜2003年度の国見(長崎)に続き戦後2校目の快挙だ。

 現在、青森山田は高校サッカーを代表する存在になっている。だが、強かったのはあくまで先輩たち。青森山田のユニフォームを着たから強くなれるわけではない。それを結果で認識した選手は、自分たちだけでミーティングを実施。どうすれば良い方向へ向かうことができるのか、コーチ陣に頼って甘えの出てしまっていた部分をどうすれば改善できるのかを話し合ったという。続く流経大柏(千葉)戦は、「本当に気持ちが出た」(多久島)という試合で1ー0の勝利。気持ちを前面に出すこと、また一戦一戦全力で戦うことに集中したチームはそこから巻き返した。

 インターハイ初戦の逆転負けやケガ人が続出した夏の不調も経験したが、プレミアリーグは優勝した川崎フロンターレUー18(神奈川)との最終節で勝利するなど、流経大柏戦以降の14試合を8勝3分け3敗で終え、高体連トップの4位でフィニッシュした。

 今回の選手権では、昨年のように大本命という立場ではない。それでも、前回王者として優勝候補の一角を占めている。前回大会3得点のエースFW小湊絆(3年)と、守備の要である多久島が攻守の軸。高速MF奈良岡健心(3年)を中心としたサイド攻撃、DF三橋春希(3年)や190センチのDF小泉佳絃(2年)、多久島の高さを生かした伝統のセットプレーも迫力十分だ。そして、多久島は青森山田の「ゴールを隠す」守備や競争力が高まっていることへの手応えも口にする。

 黒田剛監督(現総監督)は、来季からFC町田ゼルビアの指揮官へ転身する。今回の選手権は、正木昌宣監督のもとで戦う初めての全国大会となる。多久島は「みんなびっくりしていたんですけど、最後の最後で日本一を取って(黒田総監督を)胴上げしようと言っていた」と語る。2人の恩師を胴上げし、名将を笑顔で新天地へ送り出す。

サッカーキング

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