ソフトバンク・上沢 新天地で「再構築」 「熱意に心打たれた」古巣のライバル球団でらしさ取り戻す
2024年12月27日(金)5時0分 スポーツニッポン
ソフトバンク入りした上沢直之投手(30)が26日、福岡市内のホテルで入団会見を行った。昨オフにポスティングシステムを使って日本ハムから米球界に挑戦し、一年での国内復帰。熟慮の末にかつてのライバル球団入りを決断した。新天地で心技体を再構築し、リーグ連覇、日本一奪回に貢献すると意気込みを語った。4年総額10億円規模で背番号は10。170イニング投球回の目標も掲げた。
髪を切る時間も惜しんで、悩み抜いた末にソフトバンク入りを決断した。上沢は「再構築」という言葉を5度繰り返し、新天地で全てをつくり直す覚悟を示した。
「(米国で)いろいろと吸収しようと試し、自分の強みが分からなくなった。この状態で海外にまた挑戦してレベルアップにつながるかと考えた時、もう一度、日本で挑戦して再構築するのが必要と決断した。ホークスさんの熱意にも心が打たれた」
メジャー挑戦の継続ではなく、23年まで在籍した日本ハムでもなく、かつてのライバル球団を選んだ。「僕がアメリカに挑戦できたのもファイターズの皆さまのおかげだと思っている」と古巣に感謝し、「何度も対戦し、手ごわい、素晴らしいチーム」に飛び込むことを決めた。
開幕ローテーション入りに照準を合わせている。9月に右肘を痛めたが、遠投ができるまで回復。「1月からは傾斜に入って強く投げたい」。来春キャンプから先発枠入りをアピールしていく。
日本ハムでは通算70勝を挙げた。21年から3年連続で規定投球回をクリアし、23年にはパ・リーグ最多170イニングを投げるなど「イニングイーター」としての実績が光る。「けがなく、そのくらいはいけたら」。三笠杉彦GMは「能力は言うまでもない。ローテの一角として回り、リーグ連覇、日本一に貢献してくれると確信していた」と期待した。
米国では主に中継ぎで起用され、本来の自分を見失った。持ち味の投球術から再構築するつもりでいる。「先発から離れた期間が人生で一番長い。データには出ない球持ちだったり、球速よりも速く感じさせるとかの持ち味がアメリカでは消えていた」。温暖な沖縄・宮古島で自主トレし、らしさを取り戻していく。
「日本一の力になってほしいと言われました。それが一番の決め手。一年での帰国は本当に申し訳なかったが、この経験が無駄じゃなかったとの思いで過ごしていきたい。ホークスの日本一のために」。強い信念を胸に新しい舞台で腕を振る。 (井上 満夫)
〇…打線の主軸が上沢の入団を大歓迎した。日本ハム時代の右腕と名勝負を繰り広げてきた柳田は「腕の振りとボールが全然合わないんですよ。変化球も直球も含めて、独特の間合いで来るんです」。山川は「真っすぐとフォークの見分けがつきにくいし、打ちにくかったですね」と独特の投球を振り返りつつ称えた。
◇上沢 直之(うわさわ・なおゆき)1994年(平6)2月6日生まれ、千葉県出身の30歳。専大松戸から11年ドラフト6位で日本ハム入団。14年4月2日ソフトバンク戦でプロ初登板初先発初勝利。18、21、23年に球宴出場。昨年オフにポスティングシステムを使ってマイナー契約でレイズ移籍。開幕直前にレッドソックスにトレードされ、現地5月2日のジャイアンツ戦でメジャー初登板。1メートル85、88キロ、右投げ右打ち。