2020年に必ず行っておきたい東京の「最旬バー」3選
2020年1月29日(水)10時50分 食楽web
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バーへ足を運ぶ目的は人によって様々ですが、お酒や、人、お店との出合いを求めて扉を開く人も多いのではないでしょうか。今回はそこでしか飲めないお酒、独自のコンセプトを貫いた空間や異文化交流など、唯一無二の体験を提供するバーを3店紹介します。
世界一のマデイラワインの品揃えを誇る『cafe+bar Leandro』(大塚)
マデイラワインは1杯300円〜
「マデイラワインは神様のいたずらでできたワインなんですよ」と話すのはマデイラワインを世界一揃える店としてギネス世界記録を持つ東京・大塚の『cafe+bar Leandro』の店主・鈴木勝宏さん。マデイラワインの魅力に取りつかれた鈴木さんは、マデイラ島に通い、ワイナリーで修業もし、その作り方を学んできた唯一の日本人。そして、コツコツと買い集めたマデイラワインの数は130本を超え、ギネスの記録まで持つことに。
店主の鈴木勝宏さん
マデイラワインとはポルトガル領のマデイラ島で造られる、ポートとシェリーと並ぶ世界三大酒精強化ワイン。コロンブスの大航海時代、船に積んだヨーロッパ各国のワインが船旅の中で高温にさらされ味が劣化する中、マデイラ島のワインだけはその熱にさらされることで熟成し、芳醇な味わいに変化したと伝えられ、まさに、偶然の産物によって発見されたワインなのです。
(左)「1720Pather」300年ほど前のマデイラワインは、世界でここでしか飲むことができない。20ccで10万円。(中)「1820“R”」 ブドウ品種も分からない正体不明な1本は、ドイツのインポーターから購入。20ccで5万4千円。(右)「1920 BUAL」マデイラ島で購入した1本はアントワープオリンピックの年のもの。30ccで1万4850円
「マデイラワインは、三世紀を超えて楽しめる唯一のアルコール飲料です。300年前に造られたお酒も出回っているほど、時を味わえるワインなんです。自分と同じ歳を重ねたワインは、まるで人生を飲んでいるようですよね」(鈴木さん)
「ニンジンサラダ」300円は、くるみのオイルとフランボワーズのビネガーで仕上げた一品
世紀をまたいで大塚の地にやってきたマデイラワインに思いを馳せてみませんか?
●SHOP INFO
店名:cafe+bar Leandro
住:東京都豊島区北大塚2-8-6 第2不二ハイツ 1F
TEL:03-3576-5778
営:12:00〜14:00、18:00〜翌2:00、土・日曜12:00〜16:00、18:00〜翌2:00
休:なし
土足厳禁の観音裏の民家バー『FOS』(浅草)
地域に溶け込んだバー。目印は、小さく光る看板のみなので見逃さないように
世界中から観光客が集まる浅草。裏浅草と呼ばれる観音裏エリアは、喧騒から離れた地元密着の名店が集まる地域としても知られています。そんなエリアの、千束通りから一本路地を入った場所に、築50年ほどの古民家を改装したバー『FOS』があります。目印はほんの小さな看板のみ。暖簾をくぐり、扉を開くとバー空間が広がりますが、ここは土足厳禁。靴を脱いで上がるバーなのです。
築50年を超える古民家は、かつて置屋だった家を改装。趣ある落ち着いた空間です
店名の『FOS』とは、“Forest On the Sea”という意味を持ちます。現役のヨットセーラーに付けてもらった名だそうですが、海から陸に戻った時に木の香りをかぐとホッとすることから、そんな森のような場所になって欲しいと願いを込めて付けたそうです。靴を脱いでイチョウの一枚板で作られたカウンターに座ると、不思議と落ち着いた気持ちになります。
(左)すりおろした梨のジュースを加えた「梨のジントニック」1200円は、秋らしい味わい(右)「柿とアマレットのカクテル」1200円は、柿のペーストにアマレットとダークラム、オレンジジュースを合わせた1杯。※メニューは全て撮影時のもの
カウンターの奥にはバーボンやスコッチ、ジャパニーズウイスキーなどが500種類ほど並びます。お酒のメニューはなく、バーテンダーの森崇浩さんとの対話でウイスキーやカクテルを注文するスタイル。
チーズがトロリとあふれ出す「チーズオムレツ」800円
浅草の粋な人々が集まるリラックスした空間のバーで、バーテンダーとの会話を楽しみながらゆったりと杯を傾けてください。
●SHOP INFO
店名:FOS
住:東京都台東区浅草3-37-3
TEL:03-3872-8804
営:19:00〜翌2:30LO
休:火
世界の旅人が集まるゲストハウス併設のバー『FOCUS kuramae』(蔵前)
DJブースもあるおしゃれな店内
目前に迫るオリンピックに向けて、今ゲストハウス業界が盛り上がっています。宿泊施設を提供するだけでなく、カフェやバー、ラウンジやイベントスペースなどを併設したゲストハウスが続々オープンしているんです。
ここ、『FOCUS kuramae』もそんな1軒として2018年にオープン。もともとカメラの部品製造を行っていた工場を改装したというゲストハウスは、旅人が集いそれぞれが“FOCUS”したモノやコトを共有して繋がることをコンセプトにその名が付けられました。
イギリスのサイレントプール蒸溜所で造られるクラフトジン「サイレントプール」880円
「ケイジャンスパイスでマリネした鶏モモ肉のグリル」1120円
1階のカフェ・バー部分は、宿泊者が自炊できるスペースもあり、旅人と地元の人々が交わることのできるオープンな場所。メロウな音楽に包まれながらこだわりの空間でいただけるのは、写真映えも抜群の和と洋が融合した料理や酒の数々。アルコールのラインナップは、日本酒から焼酎、クラフトジンやワインなどバリエーションも豊富です。
夜9時を過ぎると続々と人が集まってきます
さまざまな言語が飛び交う店内にいると、ここが蔵前であることを忘れてしまうような錯覚にとらわれます。日本にいながらにして旅の雰囲気を感じられるカフェ・バーで、旅人たちと交流を楽しみながら、プチトリップ気分を味わってみてはいかがでしょうか?
●SHOP INFO
店名:FOCUS kuramae
住:東京都台東区蔵前4-21-2
TEL:03-5829-9980
営:12:00〜23:00
休:なし
(文◎千葉泰江 撮影◎大星直輝/久保田敦)
※当記事は『食楽』2019年冬号の記事を再構成したものです