【神保町グルメ】明治から続く老舗洋食店『ビヤホール ランチョン』で味わえる絶品オムライスの魅力とは?

2025年2月1日(土)12時0分 食楽web


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●本の街・神保町で明治時代から愛される洋食の名店『ランチョン』訪問記です。

 東京の神田・神保町といえば、世界的にも有名な“本の街”。書店や古書店が、このエリアだけでなんと約130店もあります。特に、本好きにとっては、靖国通り沿いに軒を連ねる古書店を巡って、昔の本のタイトルや表紙デザインを眺めているだけでも、つい時間を忘れてしまうくらい楽しいです。

 とはいえ、時間を忘れてもお腹は空くもの。神保町はカレー屋が多いことでも有名ですが、古書店巡りの後は、そのレトロな気分の延長で、趣ある老舗レストランに足を運ぶのもオススメです。

 神保町には明治、大正時代に創業したお店があちこちに点在しています。そこで今回は、そんな老舗レストランの中から、一度は行く価値のある一軒、1909(明治42)年創業の洋食屋『ビヤホール ランチョン』をご紹介したいと思います。

界隈の学生が教授と訪れるお店として有名


靖国通り沿いにあります。店先に立っているコックさんのお人形が目印

 筆者が『ビヤホール ランチョン』を初めて訪れたのは学生の頃。当時、ゼミの教授に連れられて、仲間と一緒に訪れました。安い定食ばかり食べていた筆者は、こんな歴史のあるビヤホールの存在を知らず、教授に「まさかランチョンを知らないなんて……」と、笑われました。

 神保町界隈にはたくさんの大学キャンパスがあり、学生や先生たちが行き交う場所。特にこの『ランチョン』は、教授に連れてきてもらう学生が多い店としても知られています。皆でテーブルを囲み、ビールを飲みながら課題について話をしたり議論を交わす、そんな場所としても使われることの多い店なんです。


入口を入ると階段があり、飲食フロアは2階にあります

 というわけで、久しぶりに『ランチョン』を訪れてみることに。お店の構えは昔とまったく変わらず、重厚感たっぷり。学生時代はあまり周囲を見る余裕がありませんでしたが、お客さんは“婦人”や“紳士”と呼んだほうがよさそうな上品な方が多く、学生や、若手の意識高い系ビジネスマンたちの醸し出すわちゃわちゃした雰囲気はなし。非常に優雅な空気が流れています。


階段の途中に昭和2年からの店の歴史が写った写真が飾られています。ちなみに店名の『ランチョン』の意味は、「ちょっと気取ったランチ」という意味だそうで、まさにそのものです

 心を落ち着けて、メニューを開きます。以前は教授のおごりだったので、値段など気にせず食べたいものを好き勝手に注文しましたが……。昔の記憶によれば、「エビフライ」、「アイスバイン」、そしてつまみの「メンチカツ」や「ソーセージ」など、何もかも特別感があって、非常に美味しかった印象があります。


『ランチョン』のメニュー。日替わりランチ(〜15時まで)は1300円とお手頃

 しかしメニューを見ると、「エビフライ」(特大天然海老使用)が3600円、「アイスバイン」が3000円……と、由緒正しい老舗レストランだけあって、さすがにお高め。今回は誰の奢りでもないので、庶民的な「オムライス」は1100円とランチビール480円を注文しました。

老舗のオムライスの味わいとは?


何をオーダーしても、この特製ドレッシングが最初に運ばれてきます

 さて、オーダーの直後、最初に運ばれてきたのは、ランチョン特製ドレッシングです。記憶が鮮明に甦ってきます。これこれ……! このドレッシングがめちゃくちゃ美味しくて、帰りにテイクアウトした覚えがあるんです。

 オムライスやメンチカツなどの付け合せの千切りキャベツにかけていただくのですが、これ正直、これまで食べたドレッシングの中でも最高峰だと思います。注文したオムライスが登場したら、すぐにキャベツにドレッシングをたっぷりかけて、スタンバイOK!

 早速、いただきます。みずみずしくシャキシャキしたキャベツの食感と特製ドレッシングのポタージュのようななめらかでもったりっした食感。なんと繊細な味でしょう!人参色したドレッシングですが、実はこれ、素材はトマト。その旨みが凝縮していて、これさえあれば、どんな野菜も無限に食べられそう!

 そして肝心の「オムライス」ですが、とろとろの半熟玉子のオムライスではなく、昔ながらのかっちり玉子でホールドしたタイプ。好みは色々あると思いますが、このクラシカルな洋食店の空気からは、きちっと折り目正しい優等生の学級委員のような正統派オムライスがしっくりきます。


スプーンを入れてみると、ご覧の通り。玉子はあくまで包みに徹しているのです

 上にかかっている優しい味のケチャップと、ライスの薄味のケチャップライス。これをつなぐのが、丁寧に焼かれた薄焼き卵。この三者が、口中で初めて一体となるのです。味ですか? 最高のひと言です。

 というわけで、ランチョンの正統派オムライスはやっぱり絶品でした。お店の雰囲気も味わいのうちと言いますが、完食した後も、なんとなく背筋が伸びるような大人っぽい感じがあります。


 メニューの裏面には店名の由来がかかれています。創業当時(1909年)は店名がなく『洋食屋』だったそう。『ランチョン』は常連の音大生(現在の東京芸大)が名付けたそう 

 神保町に行って本を買ったら、カレーもいいけど、ぜひ老舗『ランチョン』で優雅なランチもオススメですよ。

(撮影・文◎土原亜子)

●SHOP INFO
店名:ビアホール ランチョン
住:東京都千代田区神田神保町1-6
TEL:03-3233-0866
営:11:30〜21:30
休:日曜

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