日本でも大人気の韓国コスメ、発案から販売まで1カ月のスピード経営の「K-Beauty」は日本メーカーの更なる脅威に

2025年2月3日(月)6時0分 JBpress

(橋本優香:美容ライター)


フランスを越して、化粧品輸入金額は韓国がNo.1に

 日本における韓国のエンタメに劣らず人気の韓国コスメ。財務省が発表する貿易統計によると、韓国からの化粧品輸入金額は2023年に959億6200万円となり、国別でフランスなどを抑えて1位となった。フランスには、シャネル、イヴ・サンローランをはじめ、ゲラン、ランコム、パルファム ジバンシイというコスメ業界を牽引してきた錚々たるブランドがあるのにもかかわらず、だ。  

 その原動力になったのは2013年。韓国政府は化粧品を「重点輸出品目」に指名し、化粧品を国策にしたことが始まりだ。

 クッションファンデーション(ちなみにクッションファンデのケースのクッション部分の技術は韓国で特許があるため、世界中のケースのほとんどが韓国製になる)やセリ科の植物ツボクサから抽出されたCICA(シカ)やティント(色を浸透しやすい成分を配合することによって、肌の内側から発色させるリップなど)などのブームが追い風となり、化粧品輸入金額は2016年に155億2700万円から6.18倍へと急増している。

 驚くべきは、2020年、韓国コスメの輸出額は前年比35%増と成長し、コロナ禍でもその数値は落ちなかったのだ。2019年と2021年対比では1.5倍も日本への輸出額が増加している。


大手2社のほか、続々と増える中小企業の勢いが止まらない

 韓国の化粧品業界は主に、自社ブランドを持つ化粧品メーカーと、化粧品ブランドを持たない化粧品OEM(設計や製造のまで委託企業が準備し、受託企業は製品を製作するのみ)、ODM(製品の開発から製造に至るまですべて受託企業が担当。時にはマーケティングや販売まで受託側が行うケースもあり)の2つに分類される。

 韓国での化粧品メーカーは大手が2社ある。「ラネージュ」「HERA」「イニスフリー」などのブランドを持つアモーレパシフィック社が第1位、第2位は「シーエヌピーラボラトリー」「SU:M37」「ザ・フェイスショップ」などをハイエンドなブランドを持つLG生活健康だ。

 ちなみにLG生活健康は、2023年末に日本でもMZ世代(ミレニアル世代とZ世代の二世代)に人気のブランド「hince(ヒンス)」をVIVAWAVEから買収したことでも話題となった。その理由は、MZ世代のメイクの強化と客層獲得があげられるだろう。  

「hince」は独自の世界観と、MZ世代が何を求めているかをキャッチアップする力が長けており、企画力もある。「hince」を獲得することで、LG生活健康が苦手としていたMZ世代の客層を伸ばすのが目的とされている。

 この2社が国内生産の約半分近くを占めているが、数多くの中堅中小企業が勢いをつけ、2022年まででの10年間で約7倍に増えたという。2025年はインフルエンサーコスメなども多く発表され、今後も企業買収が活発化するだろうと言われている。


韓国が世界的ブームを作る!2025年のK-Beautyのトレンドとは?

 今や韓国がBeautyのブームを作っているといっても過言ではない。昨年の2024年は、「リジュラン」、「ペプチド」、「ブラーポット」「天然のニードル」など話題のコスメが続々と海を越えてやってきた。

 そして、2025年、流行の兆しを見せているのは、サケの精巣に含まれる成分「PDRN」をはじめ、「ヴィーガンコスメ(クリーンビューティ)」「パーソナルカラー」「チャームコスメ」などが挙げられる。また、30代以上は、「水光肌」トレンドはそのままに、皮膚科学をベースに医師や製薬会社が監修した「ダーマコスメ」や「3時間以上密着させるシートマスク」、「肌管理」なども注目されている。

 瞬発力のある韓国コスメは発案から製造・販売までが実に早い。発案から1カ月以内で完成してしまうこともあるという。ブランド内では、他社が真似しないように内部への発表も2〜3日前ということも多い。

 そんなバイタリティとスピード勝負のK-Beautyは、ますます日本メーカーの脅威となることは間違いない。

筆者:橋本 優香

JBpress

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