16歳から15年間悩まされた頭痛やむくみを「呼吸法」で改善。息を吐くほど体は緩む、0円でできる健康法!

2024年2月8日(木)8時0分 婦人公論.jp


「ZEN呼吸法」を書籍やレッスン、講演を通して伝えているZEN呼吸法呼吸アドバイザーの椎名由紀さん(撮影◎本社 奥西義和)

10代半ばから原因不明の頭痛や心身の不調に長年悩まされてきた椎名由紀さんは、江戸時代の禅僧である白隠禅師の呼吸法により健康を取り戻した。自身の体験から得た学びを「ZEN呼吸法」としてメソッド化し、書籍やレッスン、講演を通して伝えている。2024年1月24日(水)に、「ZEN呼吸法メソッド 自然な姿勢と呼吸で心を調える」CDを発売。苦難の半生と、呼吸法との出会いにより取り戻した“健康”の秘訣についてうかがった。(構成◎碧月はる 撮影◎本社 奥西義和)

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16歳から15年間続いた体の不調


16歳から15年間の長きにわたり、原因不明の頭痛や心身の不調に悩まされてきた椎名由紀さん。過去に抱えていた不調と、当時の心境はどのようなものだったのか。

16歳の頃、突然原因不明の頭痛に悩まされはじめました。下を向くと余計に頭痛が悪化するので、学生時代は机に向かうことさえままならなかったですね。頭痛以外にも、倦怠感、低血圧、冷え性、便秘、肩こりなど、ありとあらゆる体の不調を抱えていました。太っていたことも悩みの種で、どんなに運動しても全然痩せられなかったんです。

大きな病院を何軒もハシゴして、鍼治療もカイロプラクティックも試しました。でも、どれも効果がなくて。施術中は気持ちいいのですが、帰る途中で元に戻ってしまう。どの病院に行っても、何の検査をしても「なんともない(異常はない)」と言われる。「いや、“なんともある“から来てるんじゃん!」と、病院の帰り道はいつも泣きじゃくっていました。

頭痛がはじまったのは16歳からでしたが、私はもともと極度の上がり症で、いつも体に力が入っている子どもでした。水泳部に所属していたのですが、水泳大会の本番などは特に大変でしたね。自分の番がきて名前を呼ばれている間、後ろで吐いていたんですよ。それぐらい緊張しいで、本番に実力を発揮できないタイプでした。

そうやってずっと自分の体に緊張を強いていたから、人より早く疲れちゃった。その結果、さまざまな症状が出てしまったのだと思います。

私が抱えていた症状は珍しいものではなく、頭痛をはじめとして多くの人が抱えているものです。だからこそ、みんな「これが普通」「しょうがない」と考えてしまう。まさに、私自身がそうでした。自分は呪われた体なのだと思い込んで、早くも10代にして健康になることを諦めていたんです。症状が辛すぎて生きているのが苦痛で、毎日どうやって死のうかと、そればかりを考えていました。でも、ZEN呼吸法に出会って、それが間違いであったことに気づいたのです。

呼吸法との出会い


椎名さんが呼吸法と出会ったのは、31歳の頃だった。半信半疑で試してみたら、たったの2週間でたしかな効果を実感。その後、知人から勧められたフランス式呼吸のルーツを辿るうち、白隠禅師の存在にたどり着く。

大学に進学して、学生時代には第40代ミス東京第1位になることができました。それもあって卒業後は芸能事務所に所属。テレビやラジオなど人前で話す仕事をする一方で、不調にはずっと悩まされる日々。そんな時にとある女性に出会い、体調不良の悩みを相談したところ、フランス式の呼吸法を勧められました。その方もずっと体調が悪かったのだけど、その呼吸法を続けたら元気になったと聞かされて。でも、最初は正直「超怪しい」と思っていました。これまで何度も病院に通い、どれだけお金を使っても改善しなかったのに、呼吸なんかでどうにかなるわけがない、と。

でも勧めてくれた人が、すごくきれいな人だったんです。その女性の健康的な雰囲気に惹かれて、騙されたと思って試しにやってみました。呼吸なら無料でできますしね。そうして半信半疑でとりあえず2週間続けてみたら、いろんな人から「すごい痩せたね。何のダイエットしているの?」と聞かれて。「え、呼吸……?」と、私自身が一番戸惑いました。(笑)

そこから真面目にやり始めて、2〜3ヵ月後には長年悩まされてきた不快症状がすべてなくなりました。もうびっくりですよ。それをきっかけに最初はフランスの呼吸法として検索し、英語でも調べてみたのですがあんまり出て来なくて。さらによく調べたら、白隠禅師が健康法を説いた『夜船閑話』に行き着いたんです。

白隠禅師は江戸時代の禅僧で、個性的な禅画などから世界的にも親しまれている存在です。実は、白隠さんは「健康」の名付け親でもあり、ご自身も健康長寿をまっとうされました。84歳まで生きられているので、当時ではありえないぐらいの長寿ですよね。高齢になってから、「気力も体力も若い時より今のほうがある」とおっしゃっていて、通常では考えられない感覚だと思うのですが、自分がその呼吸法をはじめてから、その言葉の意味を理解しました。

そんな白隠禅師が残した『夜船閑話』に記された呼吸法である「軟酥(なんそ)の法」が、私が教わったフランス式呼吸の起源だったんです。フランスではなく、日本が生み出していたことを知り、驚きました。


ZEN呼吸法を教える椎名由紀さん

正しい呼吸法の良さ


白隠禅師が残した呼吸法により、健康を取り戻した椎名さん。心身の変化に伴い、不調が起きていた原因は“内側”にあったのだと気づいたという。

呼吸法を行い、これまで抱えてきた症状が全部なくなったことで、これまで自分の体に無理を強いてきたことにようやく気づきました。私が体の使い方を間違い続けるから、それを教えようとして頭痛が起きたり、関節が腫れて歩けなくなったりしていたんです。それぞれの臓器が社員で、私が社長とするなら、社員みんながクレームを送り続けていたんですね。彼らから送られる愛のメッセージに15年間気づけなかった私は、ダメな社長でした。(笑)

要するに私は、ずっと無理に力を入れてがんばってしまっていたんです。胸を張ってお尻をプリッとさせる姿勢も、それこそがいい姿勢だと思って一生懸命やっていた。でも、実はその姿勢が最悪だったわけです。不要な力を入れてしまっていたから、老廃物を出せないほど血流が滞っていたんですね。

呼吸法の基礎は腹式呼吸なのですが、人間本来の正しい姿勢でなければできません。それで人間本来の楽な姿勢に戻したら、血液がビュンビュン流れるようになりました。ZEN呼吸法は、「吐くこと」がメインです。息を吐くことで身体が緩むので、ちゃんとできている人は、むくまないんですよ。

姿勢をととのえて、鼻からゆっくりと息を吐くことからスタート。個人に合った自然な呼吸をするために、吐く・吸う時間も特に決まっていません。細く長い腹式呼吸を続けることで、要らないものはすぐに出せるようになったので、今は一切むくまなくなりました。こんなに出せる能力があるのに、自ら全然使えない状態にしていた。そのことに衝撃を受けて、これは伝えねばと思い、19年前に自らのメソッドをZEN呼吸法と名付け、伝える活動をはじめました。


「ZEN呼吸法は、『吐くこと』がメイン。息を吐くことがちゃんとできている人は、むくまない」(2023年7/14〜2024年1/28で開催された「TOHAKU茶館」でのZEN呼吸法体験の様子)

姿勢と呼吸を調えれば、自ずと心も調う


古くから日本に伝わる呼吸法——健康の秘訣ともいえる基礎知識を、なぜ誰も教えてくれなかったのか。そのことに椎名さんは長年疑問を抱いていたが、現代の豊かさが起因するのではないかと考える。

私は学生時代から不調に悩み苦しみ、さまざまな治療法を試してきたにもかかわらず、なぜ長年「呼吸法」に出会えなかったのか。いろいろ考えたのですが、やはり現代の便利な生活が身に染み付いてしまったからなのだろうと思います。

なんでもお金を払って人にやってもらう。物を買ってなんとかする。自分の外側にあるものに頼る世の中になって、内側にある力の使い方を忘れがちになってしまったんですよね。本来、人間にはすごい能力があるのに、その使い方を自分で信じられなくなってしまった。結果、何かに頼る、誰かに頼ることばかりに目がいくようになったのではないでしょうか。

禅の教えに、「三調(サンチョウ)」というものがあります。1つ目が「調身(チョウシン)」。これは、「体を調える」こと。次に「調息(チョウソク)。これは「息を調えること」、最後に「調心(チョウシン)」。これは「心を調える」こと。ZEN呼吸法も、この順番に重きを置いています。

正しい姿勢でなければ、正しい呼吸はできません。「呼吸法」というと呼吸にばかり意識が向きがちですが、まずは「姿勢」からです。姿勢を調えれば呼吸が調い、呼吸が調えば心がおのずと調っていきます。息は、「自分の心」と書きますから。

心は、アクセスがすごく難しいんですよ。でも、体はアクセスしやすいわけです。心は体の中に入っているものなので、体を元気にすることが何よりも近道です。体をないがしろにして心だけを元気にすることはできません。昔の人は、そのことに気づいていた。そこがやっぱり先人の知恵ですよね。


「体をないがしろにして心だけを元気にすることはできないことに昔の人は気づいていた。先人の知恵ですね」

稲から脱力を学ぶ


ZEN呼吸法で本来の自分を取り戻した椎名さんは、無農薬農業への取り組みや2拠点生活のスタートなど、興味の赴く方向へためらいなく舵を取る。

以前から、田舎暮らしに憧れを抱いていました。私は東京生まれの東京育ちなので、田舎がないんですよ。それで、元気になった私のエネルギーを使う場所として、9年前に長野の古民家を買いました。やっぱり土に触れていたいなと思って。そこで、無肥料・無農薬の米作りをはじめたんです。

手植え、手刈り、草引きもすべて手で行います。無肥料・無農薬なので、手がかかるぶんもちろん大変です。でも、すごく楽しくて。稲の一生は短いけど、すくすく大きくなって、最後は頭垂れて実りを捧げる。こんなに徳の高いことある?と思いますね。彼らのように自然の生物はみんな、ゆらゆら気持ちよく揺れている。

自分で作ったお米は本当に美味しくて、1食3杯食べられるんです。お酒もたくさん飲むけれど、要らないものはすぐに出せるようになったので、体型も維持できています。

長野と元々暮らしていた湘南との2拠点生活をはじめてから忙しくはなったけど、自然界の生命エネルギーを日々もらって生きているので、すごく元気になりました。この感覚は、お金では買えないんですよね。私は何か特別なことをしたわけではなくて、姿勢も呼吸も本来の自然な状態に戻したら心も穏やかになり、より自然の中で生きたいと思うようになった。ただそれだけなんです。

今回発売するCDには、朝・昼・夜それぞれの呼吸法メソッドを収録しています。本来、ZEN呼吸法は朝にするもの。忙しいと思いますが、6分あればできるので、まずは朝から試してみてほしいです。朝は1日のスタートで、「また1日生きられる」ということですから。心地よい状態でスタートすると、ずっと巡りのいい状態が続くんです。


CD『ZEN呼吸法メソッド 自然な姿勢と呼吸で心を調える』(椎名由紀/株式会社テイチクエンタテインメント)

今、何らかの体の不調に悩まれている方には、「諦めないで」とお伝えしたいです。私もそうだったのですが、もうずっと辛いし、何やってもダメだった。同じような症状で苦しんでいる人の“これはしょうがない”と思ってしまう気持ちは痛いほど理解できます。でも、そのマインドセットを変えてほしい。

呼吸法には天井がなくて、やればやるほど深くなっていきます。どんどん健康になっていく自分の体の10年後、20年後が今から楽しみです。


「呼吸法はやるほど深くなる。どんどん健康になっていく自分の体の10年後、20年後が楽しみ」

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