驚きの6割「既婚レス」はどう定着していく?「“したい”はむしろ非難の対象では」との声も

2024年2月24日(土)22時5分 All About

既婚者の6割がセックスレスだという。「きっかけは特にない」というのが実態のようだが、はっきりとわかるという夫婦もいる。たとえば、育児疲れ。たとえば、夫の浮気などがきっかけになることも多くある。

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既婚者の60%以上がセックスレスだという調査結果が、「【ジェクス】ジャパン・セックスサーベイ2024」で明らかになった。ではその原因は何なのか、何をきっかけにレスになっていくのだろうか。

既婚者間のセックスレス「きっかけ」は?

調査結果を補足するような興味深いデータがある。レゾンデートルがレス当事者を対象に実施したアンケート「夫婦のセックスレスに関する実態調査」によれば、男女ともに「妊娠、出産」をあげている。ただ、それ以上に多いのが、「きっかけは特にない」だった。
つまり、結婚して子どもが生まれて、ふたりとも忙しく、なおかつ子ども中心の生活になってハッと気づいたら「してなかった」ということなのだろう。
一方で、「自分の性欲減退」をあげている女性が多いのも注目される。その理由は「疲れているから」で、子どもをもつ女性がどれだけ大変な思いをしているのかが浮き彫りになった。
もし安価で安心できるベビーシッターなどを頼めたりするなら、夫婦の関係はもう少し変わってくるのかもしれない。

CASE.1|40歳、2児の母「“したい”はむしろ非難の対象」

「うちの場合は、いろいろな理由がありますね」
レス歴5年だというエミさん(40歳)はそう言う。29歳で結婚し、30歳、33歳で出産。産休と育休を駆使しながら共働きを続けてきた。
「下の子が小学校に入ってようやくほっとしました。ただ、公立の学童が早い時間で終わってしまうので保育園時代より時間管理は大変になりました。大学生の従姉妹と地域ママに週数回、助けてもらっています」
夫の仕事も、ここ数年多忙を極めているから、家事は手抜きが当然となっている。食事はなるべくきちんと作るが、掃除は週1回でじゅうぶんだと割り切ることにした。
「それでも疲れ果てているので、セックスなんて考えたこともありません。1分1秒でも寝かせてほしい(笑)。夫もその気はないんじゃないでしょうか。うちのこの状況で、レスが夫婦関係を悪化させるとも思いませんね。むしろ『したい』と言ったほうが、相手への思いやりがないと非難されそう」
子どもたちと過ごせる週末は、夫婦ふたりとも親モード全開で子どもと過ごす。中学生になれば部活や友だちとの付き合いのほうが重要になるはず。今しか子どもたちと遊べないと、夫婦は競って子どもたちと楽しいイベントを考えている。

「セックスできるなんて贅沢な話」とも

「細かいことを思い出せば、確かに私が性欲減退したこともあるし、夫が職場で誤解からいろいろつらい思いをして心療内科に通っていた時期もある。私と夫の母がぶつかって同居話がなくなったり、私の父が病気で急死したり……。いろんなことがあって、セックスそのものへの関心がなくなっていったこともあるんです。
毎日の生活を守ること、夫婦の健康を守ること。そのほうが重要だった。それが定着して、しないのが当然になっていったのかもしれません」
ようやく落ち着いてきた家庭生活をこれからも守っていきたいとエミさんは言う。「セックスするには、夫婦が仲良くないといけないし、重い心配ごともないのが前提。もはやセックスできるなんて贅沢な話なのかも」と彼女は笑った。

CASE.2|39歳、浮気性の夫には「最低限の情しかない」

もっとも、仲がいいけどレスという夫婦ばかりではない。家庭を壊すつもりはないが、「親」以外の役割は果たしたくない、パートナーへの最低限の情以外はないと話してくれたのは、カホリさん(39歳)だ。
「夫は私が第一子を妊娠中に浮気していました。本人はしらを切り通したけど証拠もある。でも子どもが生まれたので、そこは水に流そうと決めました。私も仕事を続けたけど、3年後に第二子を妊娠、このときちょっとした病気も見つかって仕事を続けられなくなったんです。
夫とも相談して、いずれ仕事復帰するとしても今はやめたほうがいいということになり、泣く泣く退職しました」
第二子出産直後、またも夫が浮気。そのときも夫は認めなかったが、相手の女性が幼児と乳飲み子を抱えるカホリさんの自宅までやってきた。さすがに夫も焦ったらしいが、それでも「彼女はストーカー気質なんだ。ごめん」と言っただけ。
「この時点で、夫への信頼や愛情はなくなりました。ただ、私も失職中だったし、子どもたちを飢えさせないためには結婚を続けるしかなかった。その後、再就職しましたが、ひとりの経済力でふたりの子を育てていくのはむずかしい」

第二子妊娠以降「夫婦の肉体的接触は一切ない」

夫から日常的にモラハラがあったりはしない。夫はむしろ低姿勢で、カホリさんが命じれば家事にも育児にも動き回ってくれる。それでも下の子を妊娠してから4年間、夫婦の肉体的接触は一切ない。夫も二度目の浮気の件以来、求めてはこない。
「もしかしたらどこかでレスを解消しているのかもしれませんが、もうそれでもいいやというのが今の心境です。7歳と4歳の子が元気に育ってくれれば、夫がどこで何をしていようがかまわない。家計に悪影響があったり、子どもの環境が損なわれたりしない限り、夫の気持ちや体が別の女性に向いていてもいい。
夫に対して恋愛感情も愛情もありませんから。子どもたちの父としての存在は認めますけど」
夫婦間での温かな会話もカホリさんは求めていない。夫から話しかけられても、当たり障りのない受け答えをするだけだ。夫もそれで諦めているようだとカホリさんは言う。
「まあ、果たしてこのままでいいのかと思うことはありますが、私の当時の絶望感を夫が理解してくれる日が来ない限り、関係改善はむずかしいでしょうね」
レスになったきっかけがこういう問題だと、確かに改善はむずかしい。だが夫婦の人生、先は長い。まだ何があるかはわからない。
<参考>
・「夫婦6割がセックスレス 性の実態調査で判明 若年男子の〝絶食化〟裏付けも」(産経新聞)
・「夫婦のセックスレスに関する実態調査」(2023年11月、レゾンデートル株式会社)

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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