猫が高価なベッドより段ボールを好きな理由は?深夜の大運動会をやめさせるには?不可解だけど世界一かわいい愛猫の謎を獣医師が解説

2024年2月28日(水)12時30分 婦人公論.jp


段ボールに吸い込まれる猫の不思議(写真提供:Photo AC)

誰よりもかわいい「うちの子」を世界一幸せな猫にしたい。猫の飼い主(と書いてげぼくと読む)全員の願いではないでしょうか。いったいうちの子は何を望んでいて、どんなことを考えているのかーー。SNSを中心に、猫の気持ちを知りたい飼い主たちに圧倒的な支持を受けるのが、獣医学博士の資格を持ち、現在は難治性疾患の基礎研究に従事する獣医にゃんとす先生です。自身も愛猫家である氏が、猫との暮らしの「わからない!」にお答えします。

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猫はなぜこんなに段ボール箱が好きなの?


せっかくお高い猫ベッドを購入したのに、ベッドが入っていた箱のほうを気に入ってしまう…猫飼いさんには「あるある」ではないでしょうか。
でも猫はどうしてこんなに段ボールが好きなのでしょうか!?

A においが好きだから
B 狭くて安心できるから


猫が安心できる場所の条件とは…

あらためて「猫が段ボール箱を好きな理由」は、Bの「狭くて安心できるから」です。

段ボール箱好きは、狭くて暗い場所を好む猫の本能!


その理由をより細かく言えば、それは「安心感があるから」。

猫は狭くて暗い場所が好きですよね。これは猫の祖先が主に樹洞や岩穴で休んでいたことの名残りだと考えられています。
そのため、狭くて暗い段ボール箱の中は猫にとって本能的にくつろげる場所なのでしょう。
ある研究によると、動物病院に入院した猫に段ボール箱を与えると、多くの時間をその中で過ごし、心拍や呼吸が落ち着き、ストレススコアが有意に低下することが報告されています。
また、保護施設でも箱を与えられた猫のほうが箱を与えられなかった猫に比べて、保護施設の環境に適応するのが早かったことが報告されています。

猫ベッドを選ぶなら段ボールに近いものを


猫が段ボール箱を好むもう1つの理由として、「段ボールの素材が好き」という可能性もあるでしょう。
猫にとっては肌触りが良いと感じるのかもしれません。また、段ボールは断熱性が高いため、暖かい場所が好きな猫にとってはきっと居心地が良いのでしょう。
このような猫の特性を考えると、猫ベッドを選ぶ際は、布製のものよりも段ボール製のものを選ぶのが無難でしょう。爪研ぎと兼用できるものも便利ですね。
さらに隠れ家としても使用できるような形状のほうが気に入りやすく、ストレス軽減にもなるのでおすすめです。

SNSで話題になった、猫の転送装置って?


ところで、少し前に「猫の転送装置」がSNSで話題になりました。
これは床にテープやひもで描いた円や四角にさえ、ホイホイと入ってしまうというもので、猫は平面の箱にさえ一度は入ってみようとするようです。
猫の箱好きが本能として備わっていることを示す現象でしょう。
さらに、別のある研究によると床面に錯覚でできた四角にも猫はホイホイされてしまうこともわかっています。猫の箱好きは異常ですね…(笑)。

深夜の運動会に困っている…。やめさせる方法はある?


深夜や夜明け前に、急にテンションがあがって大運動会を始める猫ちゃん。飼い主の安眠のために…時間帯によっては対策があるかも。

A 猫は夜行性なのであきらめるしかない
B 飼い主の夜更かしをひかえ、生活リズムをととのえる
取るべき対策は上記のどちらでしょうか?


夜になると急に元気になるのは、なぜ?

あらためて深夜の運動会をやめさせるためには、Bの「飼い主の夜更かしをひかえ、生活リズムをととのえる」がオススメです。

真夜中の大運動会は、体内時計のズレが原因かも


猫は本来、朝日が昇る前や夕方の薄暗い時間に活動的になる傾向があります。
この特性は、「薄明薄暮性(はくめいはくぼせい)」と呼ばれ、昼行性や夜行性とは異なる活動パターンです。そのため、愛猫が夜明け頃に大運動会をしたり、飼い主さんの足や耳をガブッとしたりすることは、ある程度仕方のないことかもしれません。
しかし、明け方ではなく真夜中に猫が活発になる場合は、もしかすると体内時計のズレが原因かもしれません。
例えば、猫が通常眠るはずの日中に飼い主さんがかまい過ぎてしまったり、飼い主さんが夜更かしをしがちだったりすると、猫の生活リズムにズレが生じ、真夜中に活動のピークが来てしまうことがあります。

暗闇での視力が優れている分、照明に敏感


また、部屋の明るさも猫の体内時計の調整に影響を与えます。
実際に、げっ歯類の研究では、明暗リズムをずらすだけで体内時計が狂ってしまうことがよく知られています。
夜間に豆電球をつけていたり、帰宅が遅くなるために電気をつけたままにしたりしていると、明るい時間が増え、暗い時間が減ってしまいます。
猫は暗闇でも視力が非常に優れているため、真っ暗な部屋でも問題ありません。就寝中や留守番中は電気を消し、日中は自然光を取り入れることで、猫の本来の生活リズムに近づけることができるでしょう。

ぐっすり眠るための工夫と注意点


深夜や朝方に起こされないための対策はいくつかあります。例えば、食いしん坊な猫ちゃんで、「お腹がすいた!」と早朝に起こされる場合は、食事のタイミングや量を調節してみることができます。
就寝前に少し多めにごはんを与えたり、自動給餌器を使って、いつも起こされる時間に自動でごはんを与えたりすると改善するかもしれません。また、就寝前に知育トイにカリカリを入れておく方法も効果的です。
さらに、猫と遊ぶ時間を十分に確保することも重要です。仕事や学校から帰宅して、夕方から夜にかけて何度か遊んであげることで、夜間はぐっすりと眠ってくれる可能性があります。
注意が必要なのは、甲状腺機能亢進症や認知症でも夜間に鳴いたり、活動的になったりする場合があることです。高齢の猫ちゃんでこのような行動が見られた場合は、かかりつけの先生に相談して、必要な検査を受けるようにしましょう。

※本稿は『どっちが正しい? 幸せになるねこ暮らし』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

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