計画通りに生きたい“時間割”夫…息子の人生も「まず野球をやらせ、私立中へ」と決定済でモヤる

2024年3月7日(木)22時5分 All About

正反対の性格をしている夫は、何から何まで先んじて計画を立てないと気が済まない。旅行くらいならまだいいが、最近は小学校にあがる直前の息子の生活時間割をすでに作っている。しかも融通がきかないときている。

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性格が似ていても、夫婦はうまくいくとは限らない。いっそ違いがはっきりしているほうが妥協点を探りやすいような気がするが、違いが顕著すぎると、それはそれで問題が起こるようだ。

何でもきちんと計画的な夫と結婚

「2年ほど付き合って結婚したので、性格の違いは把握していました。彼は何でもきちんと計画を立てるのが好きで、その計画に則って行動する。私は計画をたてること自体が好きではない。だから結婚前はよく話し合いましたよ。
それぞれの仕事や生活は、それぞれの価値観でやっていこう、だけどふたりに関わること、そしてもし子どもができたら、その場その場で価値観を共有しあって妥協点を探ろうと」
カヨさん(42歳)は、そんな話し合いを経て9年前に結婚した。結婚後に旅行をしたときも、夫は夫の計画通りに行動、カヨさんはその計画のおもしろそうなところだけ合流、あとはひとりで街歩きや美術館巡りを楽しんだ。
「その程度なら問題なかったんですが、3年目に息子が生まれてからはぶつかることも多くなりました。わかってはいたけど、いちいち妥協点を探るのもめんどうになることがありますね」

家族旅行も「時間割を決める」夫

たとえばふたりとも三連休がとれたとき。息子を連れてどこかに行こうとすると、夫はかなり前から場所、時間割を決めてしまう。
「1泊や2泊で行くなら、当日になってから行きたいところを決めてもいいと思うんですよね。旅ってハプニングが楽しいんだし、国内ならそんなに困った事態に陥ることもないでしょう。
でも夫は子どもには規則正しい生活をさせないといけないからって、旅でも時間をきちんと決めておくんです。子どもだから眠くなればどこでも寝ちゃう。私は3食きちんと食べさせれば、多少寝る時間が遅れてもいいんじゃないのと思うんですが……」
一般的にはどちらの言い分もわかるが、その場によって対応していけばいいのではないかと考えるところだろう。だが、夫が頑固で、子どものことに関してはほとんど譲る姿勢を見せないのがカヨさんの目下の悩みとなっている。

頑固で細かい夫は昭和というより「明治の男」

「なんだかね、昭和を通り越して明治の男みたいになってきているんですよ、夫が。といっても明治の男ってよくわからないけど、昭和よりもっと頑固で堅苦しい感じ」
笑いながらそう言うカヨさん。保育園のお迎えは、完全フレックス制で仕事をしているカヨさんが行くことが多いが、ときには仕事が詰まって間に合わないこともある。
そんなときは延長を頼めるので、カヨさんはすぐに依頼するのだが、それを知った夫は不機嫌になる。生活のリズムが乱れるからだ。
「だけどこれから大きくなっていく上で、毎日、同じ時間帯で生活できるとは限りませんよね。そろそろそういうことに対応していける強さも必要だと思うんです」

夫は妻の「夕食作りの時間」も設定

今年から小学校に入るのだが、夫は今から子どもの生活時間割を作っている。カヨさんがそれを見ると、翌日の時間割に合わせて準備するのは、夕方5時からの15分間と決まっていた。
「まだ学校にも行ってないのに何がわかるんだと私は思いましたね。でも夫は『あとから微調整するとしても、今後の生活はこうなると明確にわからせておいたほうがいい。子どもはまずきちんとした生活が必要だ』って。
学校へ行くって、ただでさえ時間に縛られることだから、帰ってきても縛るのはかわいそうだなと私は思いますね。
私、完全フレックスになってからものすごく仕事の効率がよくなったんです。今は在宅で仕事をしてもいいことになっているので、ますます私に向いているなあと思っています。
きっちり計画をたてて暮らすのが向いている人もいれば、私みたいに無計画のほうが快適な人間もいることを夫には理解してもらいたいですね」

息子は「まず野球、そして私立中」と計画済

夫の計画によれば、本来はもうひとり子どもがいるはずだったのだが、それは無理だった。そのため夫は子ども代わりに、来年、子犬を飼おうとしている。ひとりっ子だとかわいそうだから、犬を弟か妹のように育てたいのだという。
「いや、犬は人間の代わりにはならないから……。ペットはあくまでもペット。家族だけど人ではないからと私は言いました。さらに夫の計画だと息子には野球をやらせ、中学は私立に入れると。息子は野球が好きじゃないかもしれない、他の選択肢はないのかと聞いたら、まずは野球だと。
こうなると計画的に生きている人というより、自分の人生に息子をまきこもうとしているようにしか見えない。私は息子の自由を守り抜くつもりですけどね」
すでに始まっている夫婦の不毛ともいえるバトル。まずは息子の意志を尊重するところから始めないと、思わぬしっぺ返しがあるかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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