電気関係以上に「あること」がリスク…DIYソーラー設置工事の“意外な落とし穴”

2025年3月7日(金)12時0分 文春オンライン

〈 「テレビが3時間タダで観れる」? 高騰する電気代に約6万円で挑戦する“DIYソーラー発電” 〉から続く


 上がり続ける電気代が家計を直撃する昨今。DIYで自宅を建てたカメラマン・阪口克氏は、かつてモンゴル取材中に出会った、ソーラー発電で電気を起こしていた一家を思い出し、DIYソーラー発電に挑むことにした。


 材料費は約6万5000円。準備に必要な一式を揃えたところで、作業に取りかかることにした。





◆◆◆


ソーラーの設置工事は電気関係以上に「あること」がリスクに


 作業にあたって、ソーラー発電システムのDIYで最もリスクが高いのはなんだろうか。


 調べてみると電気関係の失敗で火災のリスクももちろんあるのだが、それ以前に「屋根からの雨漏り」が非常に多いという。ソーラーパネルにはネジ穴が開いているが、そのまま屋根にネジ止めすればそこから雨水が入り込むのは当然だ。


 一番安全なのは家の屋根以外に設置すること。しかし言うほどそれは簡単ではない。パネルは結構デカいので、庭などに平置きにするとかなり邪魔なのだ。


 ではベランダの柵などにぶら下げるかとなるが、地面に対し縦に立っていては、太陽の光を十分に受けられない。


 太陽光パネルの性能を最大に活かすには、太陽光に対しパネルが直角になる角度を保つのが良い。当然、季節や時間によって太陽の高さや向きは変わる。モンゴルのベギさんはそれを手動で行っていた。


 ただやはりそれは面倒なので、オールシーズントータルで考えた場合、「南向きに30度の角度」でパネルを置くのがベストらしい。


 そこで我が家の場合は南面に設えたウッドデッキの屋根にパネルを設置することにした。屋根の角度は15度くらいと少し緩いのだが、ウッドデッキなので多少の雨漏りリスクは問題ないだろうという判断だ。もっといえば、そもそもこのウッドデッキも以前DIYで作ったものなので、何かあれば修理もできる。


いよいよパネル設置工事スタート!


 ホームセンターで見つけたダクターチャンネルと呼ばれる金属製のレールを2本、屋根にネジで固定した。電線管やダクトなどを壁や天井に這わせる際に使うレールらしく、非常にしっかりした作りで安心感抜群だ。


 このレールにパネルをネジ止めしたら、設置工事はいったん完成。全部で3枚の黒いソーラーパネルが、太陽の光を反射し輝いている。屋根一面にパネルが設置されたオール電化住宅に比べれば貧弱かもしれないが、目の前で見ればなかなかの大迫力で、自分で設置した満足感はなかなかのものだった。


 なお、私が購入した270Wタイプのソーラーパネルの大きさは77cm×172cmで、ほぼ畳1枚と同じ大きさ。


 重さも14.5kgなので、片手で持てないことはないが、ハシゴでこれを屋根上に持ち上げるとなると話は別だ。もし挑戦する場合は、なるべく二人以上で安全対策をしっかりして作業してくださいね。


ソーラーパネルはあくまで「電気を作る」だけ。なので…


 ソーラーパネルは、光が当たった分だけの電気を生み出してくれる。ただ、逆に言えばやってくれるのはそれだけで、メーカーごとにパネルの発電性能は異なるし、太陽光の強さも一定ではない。


 そこで登場するのがソーラーチャージコントローラーと呼ばれる機械。このコントローラーがパネルで発生した電気を適切な電圧や電流に調整し、電気を貯めておくバッテリーへ送り出してくれる。


 まずコントローラーを壁にネジ止めしバッテリーと繋ぐ。続いてソーラーパネルから下ろしたケーブルを、ブレーカー経由でコントローラーの端子にネジ止めし配線完了だ。


 準備が整ったところで、恐々とブレーカーのハンドルをONに入れる。するとコントローラーの液晶画面にソーラーパネルのアイコンが出現し、電圧が表示された。現在のパネルの発電電圧は22.8V!!


「おー発電されてる!」と一人で小躍りしてしまう。これは今までのDIYにはなかった喜びだ。どちらかと言えば家庭菜園で野菜を収穫した時の感動に近いかもしれない。


◆◆◆


 ついに発電を始めたソーラーパネル。しかし、いざ自前の電気を使おうと思うと実は大きな問題が……。続く記事ではその問題を解消し、いよいよDIYソーラー発電は果たしてどれだけの電気を生み出せたのかに迫る。

〈 「発電した電気がそのまま使えない!」DIYソーラー発電で高騰する電気代はいくら補えたのか?《ヒーター、炊飯器、レンジは動く?》 〉へ続く


(阪口 克)

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