なぜ「自分に価値がない」と思う人ほど<インテリア>に気を配るべきなのか…心理カウンセラー「家の中で目に映るものはすべて自己肯定感に関係する」
2024年3月13日(水)13時5分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
内閣府発表の「子ども・若者白書」(令和元年版)によると、日本の若者の「自己肯定感」は諸外国に比べて低く、欧米など6か国との比較でもっとも低いといいます。どうすれば自分自身を肯定し、前向きな気持ちやチャレンジ精神を保つことができるでしょうか。15000人以上のメンターをつとめる中島輝氏いわく、こうした状況を乗り切る方法のひとつが、安心できる部屋を持つことだそう。今回その中島さんが、自己肯定感とインテリアの意外な関係について解説します。
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自己肯定感は幸せに生きる力。誰でも高くキープできる
まずは最初に少し、自己肯定感についてお話ししましょう。
自己肯定感というと難しい感じがしますが、自分は自分のままでいいと受け入れている感覚のことです。自己肯定感が高いというのは、どんなことがあっても自分に「YES! OK!」と言える状態です。
このように言える人は自分を信じる気持ちが根底にある人。周囲からどう思われていても気になりませんし、他人に注意されても落ち込まず、自分はもっと成長できる!と前向きにとらえることができます。
物事がうまくいかなかったり失敗をしたりすると、誰もが「自分はダメな人間だな」と凹みますが、自己肯定感が高いと、たとえそのような感情を抱いたとしても、その思いに押しつぶされることはありません。
立ち直りが早いのです。自己肯定感が高いほど生きやすく、幸せに生きていくことができるんですね。
「疲れた」「いやだ」が口癖になっている人は自己肯定感が下がっているかも
逆に、自己肯定感が低い場合は、ささいなことで「自分はダメな人間だ」「自分には価値がない」という認識に陥りがち。
自己肯定感を上げるインテリアブック(中島 輝著/朝日新聞出版)
いつも他人と自分を比べたり、他人の目を気にしたりしているので、心はヘトヘト状態です。そして、自分の人生を悲観的にとらえるようになります。これでは毎日が楽しいはずはありません。
本書を手にとっている方の中には、私は自己肯定感が低いほうかも……と思っている人がいるかもしれません。
自分のSNSにつく「いいね」が気になって仕方がない、嫌だ、つらい、疲れたといったネガティブな言葉をつい発してしまう、恋人がいないと不安になってしまう、毎日が忙しく健康や美容にあまり興味が持てない、他人が思い通りに動いてくれないとイライラする、一度決めたことに迷うことが多々ある、
新しいことにトライしたいと思っても、どうせ自分にはできないと勝手に限界を決めてしまっている、鏡を見るといつも自分の欠点を探してしまっている、などなど。
こうした状態がいつも出ている、強く出てしまうといったとき、あなたの自己肯定感は低くなっている可能性大です。
人の心は揺らぎやすいもの。だからこそ対策もうちやすい
でも、安心してください。生まれつき自己肯定感が低いという人はいません!
また、自己肯定感はさまざまな要因によって浮き沈みのあるもの。毎日ゆらいでいるということも知っておいてください。自己肯定感が低いと思い込んでいる人でも、ちょっとしたことがきっかけで、自己肯定感は簡単に上げることができるんです。
みなさんに言いたいのは、大人になってからでも、自己肯定感はいくらでも高めることができるということです。
自己肯定感は簡単に高くなったり低くなったりします。それは自己肯定感=心というのはさまざまな要因から影響を受けるからです。
その要因を大きく分けると、人間関係を含めた周囲の環境、体調や自律神経の状態、気候や季節といった外的な要因、といったものです。人からしかられれば凹んで自信をなくしますし、体調が悪いと心も弱くなります。
また、雨の日は気分が落ち込んで気分の切り替えができずに不安になったり……このように自己肯定感との関係を知っておけば、自己肯定感が低いからといって必要以上に悩むことなく、適切な対処ができます。
人気のソファーがかえって自信喪失に繋がることも
さて、本書で扱う住居空間やインテリアも自己肯定感に影響する環境のひとつです。
少し考えてみてください。たとえば、部屋の中が汚かったり、散らかって足の踏み場もない状態だったら? 家に帰りたくなくなりますよね。
また、たとえ人気のソファーを買っても、自分にはしっくりこなかったら、家にいても居心地は悪いですよね。
こうした嫌悪感やちょっとした違和感を覚えると、掃除が不得手な自分が悪い……、何でこんなソファーを選んじゃったのかな、ダメな私……といった気持ちに。これが毎日続けば、自信喪失や自己否定につながり、自己肯定感は徐々にダウン。
ですから、住まいを自分が心地よく感じるきれいな環境にしておくことが大切なんです。
心地よい住まい空間はポジティブ思考をつくる
自分がほっとする心地よい部屋にいると、心は安定し、思考も前向きになります。
居住環境がよい→心地よさを実感→心の状態は良好→心の免疫力が高くなる→自己肯定感を高いままキープできる、となり、たとえ外で落ち込むことがあっても家で過ごすことで、心地よさを実感→心の状態は良好……という循環になります。
逆に居心地の悪い部屋はストレスになり、イライラしたり心が不安定となり、ネガティブな考えにとらわれるようになって自己肯定感も低下します。
整理整頓されていない部屋、汚れた部屋も居心地の悪い部屋です。外で嫌なことがあって家に帰ってもそんな部屋では、心はさらに落ち込むだけ。
前述したように居住空間がよいケースではポジティブ循環になりますが、これがネガティブ循環になってしまうのです。こうしてみると、部屋を心地よくキープしておくことの大切さを理解いただけるのではないでしょうか。
インテリアが脳と心に与える影響は大きい
本書ではおもにインテリアを取り上げているので、それにフォーカスして少し考えてみましょう。インテリアを整えるとなぜ、自己肯定感が高まるのかということについてです。
たとえば、みなさんの部屋にあるソファーを見てください。何色ですか? デザインはどのようなものですか? 手触りや座り心地はどのような感じですか?
家の中にあるインテリアに目を向けてください。ソファーや棚などの大きな家具、カーテンやカーペット、テーブルや椅子、小物類もたくさんありますね。置物や絵画などのアート系インテリア、また、タオルやスリッパ、食器類など日常使いする物もたくさん。
インテリアを構成するのは、色や色彩、デザイン、素材。手触り感や使用感、香りなども含みます。実はこれらの要素はすべて五感に訴えかけるもの。脳、つまり心に働きかけてきます。中でも目から得られる情報は心に大きな影響を与えます。
なぜなら、人間が得る情報の約8割は目から得ているからです。家の中で目に映るものはすべて自己肯定感に関係するといえます。
少し話はそれますが、実は大人になると自己肯定感が下がりやすくなります。過去の失敗へのこだわりやトラウマが強く影響するからといわれます。
誰でもそうですが、失敗した経験は強く心に残りますよね。同じ失敗は繰り返したくないという意識が強くなり、これが自己肯定感を低くしてしまうきっかけをつくります。
こうした状況を乗り切る方法のひとつが、自分が安心できる部屋を持つことです。自分らしくいられる部屋を持ち、そこでリラックスすることが失敗への恐怖を打ち消します。
※本稿は『自己肯定感を高めるインテリアブック』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。
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