心理カウンセラーが部屋全体でなく一部分を徹底的に片づけるのをお勧めするワケ。すっきりした!という満足感が次のやる気を生み出す

2024年3月14日(木)12時30分 婦人公論.jp


まずは一か所、片づけをがんばってみる(写真提供:Photo AC)

内閣府が発表する「子ども・若者白書」(令和元年版)によると、日本の若者の「自己肯定感」は諸外国に比べて低く、欧米など6か国との比較でもっとも低いといいます。ではどうすれば、自分自身を肯定でき、前向きな気持ちやチャレンジ精神を保つことができるでしょうか。経営者やトップアスリートなど15000人以上のメンターをつとめる中島輝氏いわく、部屋の片づけは成功体験の第一歩だと。その理由を詳しく解説します。

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インテリアを変えてポジティブに!


居住空間をよくするための方法がインテリアを変えることです。部屋の掃除や片づけも居住環境をよくするためにはもちろん必要になるので、そのことについてものちほど触れることにしますね。
心地よい空間にするためにインテリアを変えることは、気分転換の意味があります。この気分転換が自己肯定感と関係します。
自己肯定感を高めるためには、これまで否定的に見ていたものを肯定的にとらえるようになることが必要。それが心の視点移動です。たとえば、今コップに半分まで水が入っているとします。
「もう半分しかない」とネガティブに思うのではなく、「まだ半分も入っている」とポジティブに考えられるようになるということです。
人間は1日6万回も思考しているといわれますが、悲しいことにこのうち約80%はネガティブ思考になっています。人はもともとネガティブ思考に傾きがちなので、毎日少しずつ心の視点移動をしてあげることが必要なんですね。
心の視点移動は、旅行に行ったり、趣味に没頭したりして気分転換することでもできますが、家にいながらできるのがインテリアを変えたり、模様替えをすることです。居心地のよい部屋で過ごすことで、少しずつ心の視点移動も素早くできるようになります。

脳はマンネリが嫌い


脳は繰り返し同じものを見たり、繰り返し同じ体験をするとマンネリ化し、どんどんネガティブ思考になっていくというやっかいな性質があります。インテリアを変えるのは、これを防ぐことになります。インテリアを変えて脳をリフレッシュさせてあげましょう。
たとえば、階段の踊り場に、いつもなかった好きなオブジェをおくだけでもOK。それが脳への刺激となり、心の視点移動が起こることで自己肯定感がアップします。

洋服を変えて気持ちを奮い立たせることってありますよね。今日は会社で大事なプレゼンがあるから赤い洋服を着て自分を勢いづかせたい、今日はデートだから普段は着ないワンピースを着て気分を上げたい……。
洋服を決めるようにインテリアを扱ってみる。このように考えて、インテリアを活用するのもあり!なんです。

好きなインテリアに囲まれて暮らすと、それが自分の視界に入るたびに心地よさのスイッチがオンになり、無意識にポジティブなメッセージを受け取ることができます。気持ちが前向きになことで自己肯定感が高くなっていくのです。

インテリアを整える前に掃除と片づけでリセット!


インテリアを整える前にぜひ取り組んでいただきたいのが、掃除と片づけです。きれいになった部屋が心地よさや安心感をもたらし感情もポジティブになります。
部屋がすっきりすると気持ちまですっきりする!という掃除や片づけの心理的なプラス効果にはすでにお気づきかもしれません。生活がマンネリ化すると感情が停滞します。掃除や片づけはよどんだ心をリフレッシュする有効な手段になり、もちろん自己肯定感アップにつながります。

片づけは必要な物とそうでない物とを取捨選択し、整理整頓をすることですが、そのためには捨てるという行為が必要です。自分にとって必要な物と必要でない物を見極めて、何を残すか決めること。

これは自分の心と向き合う作業になり、頭の中がクリアになって思考がシンプルになり心が整います。記事の最後に、捨てどきの見極め方を解説しているので参考にしてください。

物を丁寧に扱う人に人気が集中する


掃除や片づけが苦手な人、面倒だなあと思う人は、一度に部屋全体を片づけ、家中すべてをきれいにしよう!としているのでは。まずは小さなことからでOKなので手を動かしましょう。


小さなことからでOKなので、まずは手を動かす!(写真提供:Photo AC)

掃除ならキッチンのシンクをスポンジで磨くだけ、片づけなら引き出しの中、机の上などをきれいにします。小さい所から始めるそのメリットは? ずばり、ゴールが見えやすい点です。

小さな課題を自分に課して、それをクリアすることで小さな達成感を得られます。できた! すっきりした!という満足感が次の行動へのやる気につながるのです。今やることに集中することで心が少しずつ落ち着いてくるはずです。こうした経験が思考を柔軟にもしてくれ、苦労や困難に遭遇してもうまく対処できるようになります。

片づけをして必要な物がわかると、その物を丁寧に扱うようになります。丁寧に物を扱っている人は言動も穏やか。そんな人は周囲へも気配りができ対人関係も良好に。
すると周囲に気持ちのいい仲間が集まってきます。
そんな仲間に囲まれると自分が大切にされていると感じ自己肯定感もアップ→心に余裕が生まれる→周囲へもやさしくなれる→対人関係も良好……と好循環が生まれるのです。

迷ったときの中島流・片づけスタイル


ポイント1:過去1 年以内に使わなかった物
シーズン中一度も使わなかった洋服や靴、財布の中にあるだけのポイントカードなどなど、こうした物を見るたびに、「こんな物をとっておくなんてダメな自分」とがっかりして、自己肯定感が少し傷つきます。無駄な物でも捨てられないのは、「保有効果」といって、自分が保有する物に高い価値をおき手放したくなくなる心理が働くから。
でも、こうした物を見るたび嫌な気持ちになれば、メンタルにも悪影響! 引き出しや押し入れの中、キッチンや玄関などをチェック。「来年は使うかも」「いつか使うかも」と思った物は即捨てましょう。
ポイント2:ダブっていたり、同じような使い方ができる物
同じような色やデザインの洋服やバッグ、ベルトなどのたくさんのおしゃれ小物、いつの間にかたまってしまう針金ハンガー、気がついたらたまっていたビニール傘……本当に使う物、使いやすい物を選んで数を減らしましょう。
ポイント3:見ると気持ちがダウンする物
知人や友人からのプレゼントだけど自分の趣味ではない物、太って着られなくなった洋服、衝動買いして後悔している高級バッグなどなど、その物を見ると、もやもやした気分になったり、自己嫌悪に陥ったりする場合は目の前からなくしましょう。気持ちがダウンすれば自己肯定感も下がります。
ポイント4:壊れている物

伝線したストッキング、ファスナーが壊れたバッグ、片方しかない靴下やイヤリング……こうした物をすぐに捨てられずためこんでいませんか? 壊れた物はネガティブなイメージがあるので、それを見れば気持ちは落ち込む物。物は壊れたり、なくしたりする運命にあるものと割り切って捨てましょう。

ポイント5:「期限切れ」の物
首回りがよれた黄ばんだTシャツ、カビのはえたハンドバッグ、流行遅れのアウターなど、「もういいや」とその物に未練もなく、気持ちが離れてしまった物は整理するタイミングです。でもいくら流行遅れの洋服であっても自分が好きで着たり、使いたい物はまだ“ 旬の物”。捨てる必要はありませんよ。
ポイント6:なくても困らない物
なければないで平気な物って意外とあるんです。引き出物でもらった食器類が棚の奥に眠っていませんか。また、炊飯器がなくてもごはんは鍋で炊けますし、こまめに掃除をすればトイレのマットやカバーはいりません。椅子やソファーがあっても、結局は洋服置き場と化しているというケースもありますよね。お部屋を見直して物を減らしましょう。

※本稿は『自己肯定感を高めるインテリアブック』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

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