富山発の純米大吟醸酒「リンク 8888」の魅力とは? 富山県・東岩瀬の美食スポットを巡ってきた
2020年3月15日(日)10時50分 食楽web
食楽web
2018年12月に250本限定で瓶詰めされた純米大吟醸酒「リンク 8888」をご存知でしょうか? 「満寿泉(ますいずみ)」で有名な富山県の桝田酒造店の日本酒を、スコットランドのキースに醸造所を構える「シーバスリーガル」のウイスキー樽で熟成したこのレアなお酒。本年度は製造本数が1万本に拡大され、昨年12月から数量限定販売中です。
そんなリンク 8888のルーツを探るべく、桝田酒造店のある富山県富山市の東岩瀬に足を運んでみました。岩瀬地区の名店で味わう富山県ならではの食事と、満寿泉、リンク 8888とのマリアージュの魅力をご紹介しましょう。
1日1組限定のレストラン『カーヴ・ユノキ』で生酒を堪能
乾杯の音頭を取るのが、桝田酒造店の代表取締役社長である桝田隆一郎氏
最初に足を運んだのは、築100年の蔵を改造したフレンチレストラン『カーヴ・ユノキ』です。こちらは1日1組限定のために開かれるレストランで、使用される食材は地元富山のものを約9割ほど使用しているのだとか。お酒も富山にちなんだ銘柄をラインナップしています。
今回は通常メニューではなく、プレスツアー用に特別に食事を用意してもらいました。合わせたお酒は、「満寿泉 純米大吟醸 生酒」。
生酒ならではの新鮮な香りと米の旨みが感じられる1杯
最初に提供された料理は、アオリイカのおき火焼き。アオリイカの旨みが日本酒の旨みを増幅させ、まさに最高の組み合わせです。もちろんこのアオリイカも富山産で、地元の食材を地元でいただくことの魅力をスタートから感じさせてくれました。
おき火とは、火勢が盛んで赤く熱した炭火のこと。ほぼ半生のアオリイカは火入れの仕方が絶妙だった
続いて出てきたのは、メジマグロ。クロマグロの幼魚であるこの魚、筆者は初めて食べたのですが、ジューシーかつ脂が程よく乗っており、大トロや中トロとは違った良さがありました。味が強すぎないからこそ日本酒との相性も良く、やっぱり日本酒には魚だなと思いながら次のお店に向かいます。
普段、赤身の魚はほとんど口にしない筆者も、この脂の乗り具合には驚いた。シンプルな調理法だからこそ、魚のおいしさが際立っていた
『ピアット スズキ チンクエ』でワイン酵母で仕込んだ日本酒とペアリング
続いて足を運んだのが、麻布十番にあるミシュラン1つ星の『ピアット スズキ』で修業したシェフが手掛けるイタリアンのお店『ピアット スズキ チンクエ』です。
壁一面がガラスになっているので、庭を見ながらゆったり食事が楽しめる
こちらで提供されたのは、ワイン酵母で仕込んだ純米生酒「満寿泉 Green 生 ワイン酵母仕込み」。満寿泉といえば「伝統」に重きを置く老舗なのかと思いきや、日本酒をワイン酵母で仕込むというユニークな試みをする一面もあるんです。だからこそ今回の「リンク 8888」のような新たな試みも実現したのでしょうね。
りんごのような柑橘系の甘い香りが感じられ、まるで白ワインのよう。飲んでみると酸と果実味もあり、日本酒の奥深さを思い知らされた
この日本酒に合う料理として用意されたのが、青唐辛子のペペロンチーノ、子羊と子ヤギのグリル、グリル野菜の3品です。先ほどは魚と日本酒のペアリングを楽しみましたが、ピアット スズキ チンクエではイタリアンとの組み合わせ。これまでイタリアンに日本酒を合わせるなんて考えたことがありませんでしたが、これが想像以上に合うんです!
青唐辛子の爽やかな辛味と、日本酒の酸味がとてもマッチしている
豪快過ぎる肉料理が登場。子羊、子ヤギはいずれも臭みをほとんど感じず、日本酒の果実味との相性がいい
地元産の野菜をグリルに。素材のおいしさを存分に味わえる
とくに、子羊や子ヤギを日本酒と一緒にいただくのは生まれて初めて。「日本酒=和食に合わせるお酒」というイメージを大きく覆す経験になりました。
富山湾名物・白エビのお寿司をワイン樽仕込みの日本酒で
次に訪れたのは、今年1月にオープンしたばかりの「GEJO」という鮨屋。こちらで振る舞われたのは、ワイン樽で仕込んだ「満寿泉 純米大吟醸スペシャル」です。ボトルからしてもワインのようにしか見えないですよね。きれいな吟醸香が立ち、ワインのような華やかな香りがしながらも、味合いは立派な日本酒。
半年間樽で熟成したあと、ワインボトルに詰めて火入れを行う。樽香は強すぎず、鮨ネタの旨みを引き出してくれる
GEJOでいただいたのは、白エビとヒラメのお寿司です。とくに富山といえば白エビが名物なので、ここで地元らしいお寿司が出てきて、思わずガッツポーズ。
白エビはぷりぷりとした身の歯ごたえが感じられ、噛むほどに甘みが出てきた
ヒラメは昆布締めしたものを使っており、これもまた日本酒に合う
お寿司と日本酒といえば「ド定番」。しかし、そこにワイン樽で仕込んだ日本酒を出してくるのが桝田酒造店の提案するペアリングの妙ですね。
桝田酒造店の酒バー『沙石』でリンク 8888が登場
お寿司を食べて満足したあとは、桝田酒造店が営む酒バー「沙石(させき)」へ。こちらは同蔵の日本酒をバー感覚で楽しめるだけでなく、グッズなどのお土産も買えます。
開放感のある店内はスタンディングで満寿泉100種類を有料で試飲できる
ここでようやく今回のプレスツアーの目的である「リンク 8888」が登場。昨年の発売時にも試飲会でいただいたのですが、1年振りのご対面です。
リンク 8888の希望小売価格は5500円(720ml)
香りは少しミルキーなのですが、スコッチウイスキーのような香りもします。味わい自体はフレッシュで、ほんのり甘みもあるんです。個性と個性がぶつかるのかと思いきや、お互いに上手く引き立て合っている印象です。
そんなリンク 8888をスタンディングでいただきく際のおつまみは、ホタルイカやイワシのアンチョビ。日本酒だけで味が完成していると思っていましたが、旨みの強いおつまみとの相性も文句なし! この組み合わせにどハマリし、思わず自分へのお土産としてホタルイカを買って帰りました。
富山といえばホタルイカも有名。こちらはホタルイカを酒粕に漬けて干したもの
「リンク 8888」を『御料理 ふじ居』で地元の食材と大満喫
東岩瀬でのリンク 8888を巡る旅のラストは、『御料理 ふじ居』です。こちらは廻船問屋の建物を改築した建物で、カウンター席では美しいお庭を眺めながら食事が楽しめます。
富山の食材にこだわるのが同店の特徴。次回はプライベートで訪れようと心に決めた
こちらでは、氷見から届いた10kg超えのブリと、ツキノワグマを使った氷見うどんをいただきました。もちろんこれらの料理に合わせるのはリンク 8888です。ウイスキーの香りが料理の邪魔をするのではと思うかもしれませんが、その心配は一切不要! ブリは魚の旨みに、うどんは出汁によく合い、香りがそれぞれの料理のおいしさを引き立てています。
氷見のブリはそろそろ終わりの季節だったが、今回のために特別に用意してくれたそうだ
ツキノワグマのロース肉を使用したうどんは初めて見る。ケモノ臭がなく、脂身が甘かった
プレスツアーの締めに、「シーバスリーガル 18年 ミズナラ カスク フィニッシュ」をロックで味わった
日本酒はシンプルなものこそ、料理を引き立ててくれると思っていました。しかし、それは勘違いで、今回の多様な満寿泉のラインナップを飲めば飲むほど、「こんな料理にも合うのか!」と驚くことばかり。とくに、イタリアンに合わせるというのは知らない人もまだまだ多いと思います。
リンク 8888の「8888」は、スコットランドの蒸溜所と桝田酒造店の距離。そして、人と人や職人芸といったさまざまな“リンク”を「8」の数字が表しています。ぜひリンク 8888と富山の味覚を組み合わせて、そのつながりを感じてみてください。
●DATA
桝田酒造店
http://www.masuizumi.co.jp
◯「リンク 8888」に関するお問合せ先
ペルノ・リカール・ジャパン株式会社
TEL:03-5802-2671
https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZNGH14N/
●著者プロフィール
今西絢美
編集プロダクション「ゴーズ」所属。デジタル製品やアプリなどIT関係の記事を執筆するかたわら、“おいしいものナビゲーター”として食にまつわる記事も執筆中。旅先でその土地ならではのローカルフードを探すのが好きで、利酒師とフードツーリズムマイスターの資格も持つ。