「一口ちょうだい」常習犯の夫、娘7歳に全力で拒否される→夫は「社会に適応できない」と主張

2024年3月17日(日)22時5分 All About

夫は、なにかと「一口ちょうだい」というタイプ。ある日とうとう娘におこられる羽目に。

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仲のいい友人と別々のケーキを頼んで「一口ちょうだい」はよくある話。ただ、コロナ禍を経て、人々の意識が変わってきたこともあって、「一口ちょうだい」は迷惑だと考える人も増えている。

もともと嫌だった「一口ちょうだい」

シェアする前提で料理を頼んだのならともかく、ランチや一品料理、ケーキなどを「一口」と言われるのが、もともと大嫌いだったというナナコさん(39歳)。
「自分が食べたいものを頼んでいるのに、横から一口と言われるのはストレス。ラーメンなどでも一口って言う女友だちがいて、熱々を食べたいのに時間をとられるのが嫌でした。彼女とはいつの間にか疎遠になりましたけど(笑)」
そんなナナコさんは、8年前に3カ月足らずの交際で結婚した。彼女の一目惚れから猛アプローチ、恋人がいた彼の心を見事に射止めた。
「その後はさっさと妊娠して、今はふたりの子を育てながら共働き。夫のことは変わらず大事に思っています。でもねえ、どうも食に関してはあまり相性がよくないんです」
苦笑いするが、食は毎日のこと。それなりに些細なストレスがたまっていくようだ。
「7歳と5歳の子がいるんですが、夫は子どもより子ども料理をほしがるんですよ。カレーにしても子どもには少し辛いという程度に作るんですが、夫は『もっと甘いのがいい』って。だからルーを入れるときに夫のは別にしておいて、自分でやってもらっています。
それなのに食べる段になってから、子どもに向かって『一口ちょうだい』と。で、食べて『ダメだ、やっぱり辛い』と。だったらもらわなくてもいいじゃないかと思うんですが」

「一口ちょうだい」夫に子どもが爆発!

これは外食時にも変わらない。ときどき子どもたちと近所のファミレスやカフェに食事に行くが、どこへ行っても夫は子どもたちから一口奪う。
もちろん自分の分も提供しようとするが、子どもたちからは「いらない」と言われるのがいつものことだ。
「つい先日、家族で外食をしてデザートのとき、上の娘は大好きなプリンを注文。食べようとしたとき夫が『一口ちょうだい』とやったら、『イヤ。私はこれを食べたくて頼んだの。パパがプリンを食べたいなら頼めばいいじゃん』と。ついに自分の意志を爆発させたんです。
すると夫は『きみは、自分の喜びを人に分け与えるという気持ちがないのか』って。私はつい吹き出してしまいました。明らかに夫のは屁理屈ですから」
娘からプリンをもらえなかった父は、自分が頼んだチョコレートケーキを分けようとしていらないと言われていた。それぞれが好きなものを頼んだのだから、これでいいはずなのだ。

「一口ちょうだい」の重要性を主張する夫

だが、夫は「自分が食べたいものを頼んだのだから、誰にもあげない」という娘の姿勢を、これでいいのかとずっと考えているようだという。
「私自身、一口ちょうだい攻撃が苦手で、子どもが産まれてからの夫のそれを面倒だなと思っていたので、娘に賛同しているんです。
でも夫は『他人ならいざしらず、家族なんだから一口ずつ同じものを食べて共有したい』と考えを崩さない。何が正解かという話ではないけど、なんとなくお互いにモヤモヤしているんですよね」
コロナ禍で、人と料理をシェアすることが減ったのはナナコさんにとっては喜ばしいことだった。
あれ以来、「まあ、いろいろあるからシェアはやめよう」と言ったり、「状況が状況だから鍋料理はやめよう」と気軽に言えるようにもなった。彼女は人とシェアするのが原則の鍋料理も嫌いなのだという。
「家では鍋をしますが、それでも取り分け用のお玉や菜箸を用意して、鍋に直接、自分の箸は入れないようにしています。夫に言わせれば、私がもともと神経質すぎるんだと。だから子どもたちも神経質になってしまう。
このままじゃ社会に適応できないぞというんですが、直箸のやりとりや“一口ちょうだい”を嫌がることで適応できないなんてこと、あるわけじゃないでしょ。私は夫が無神経すぎると思っています」

「神経質すぎる」「社会に適応できない」

時代の流れとしては、「一口ちょうだい」はなくなっていく方向なのかもしれない。あとは個人間の感性や親密度によるだろう。
「夫には、せめて外ではやめてもらいたいですね。他人にはやらないでよと言っていますが、同僚とランチに行ったらやっているんじゃないかと不安も感じます。そういう人、今の時代ではきっと嫌がられると思うから」
ナナコさんの心配を夫は笑い飛ばしているようだが、密かに嫌がられている恐れはある。その人にとっては当然だった習慣のようなものが、今は通らないこともあると心しておいたほうがいいのかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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